……ユーマ様、助けて!
ファンタジーのあるあるネタです。
その日は、普通に過ごしていた。
朝イチで、中庭の祭壇に行きトリア姉さんとちょっぴりお喋りをしてから、身体を動かして汗を流して朝食を取り、コトネ達と冒険者ギルドに行き、モンスターの討伐依頼を受けて、森に狩りに行く。
そして、討伐依頼を果たした後、コトネ達の魔力系の鍛練をしてから、王都に帰り依頼処理を済まして、屋敷で昼食を取る。
その後、中庭でのんびりしていると、エスリーナが俺の所に来た。
「ユーマ様。」
「どうしたんだ、エスリーナ。」
「実は、お使いに出たクラリーサが予定の時間を過ぎても帰って来ないのです。」
「寄り道とかじゃなくて?」
「クラリーサは、こういう予定は今まで1度も違えた事が無いんです。」
「分かった。」
……ルイからの報告。
フラグが立ちましたってか。
……笑えないな。
俺は急ぎグランブルム商会本店に行き、クラリーサの行方の捜索をお願いした。
更に、「特別報酬として尻尾の毛繕いに加えて、頭を撫で撫でと耳サワサワも付ける!」と、言ったら、俺でさえ、足を1歩後退する程の圧力を一瞬走らせ、10分後には、本店正面玄関口には「緊急閉店」の看板を立てて、来ていたお客さんを退店させ、くじ引きで唯一のハズレを引いたヤナハさんを残して王都在住の全ての白い狐さん達が本気で動いた。
そして、ハズレを引いたヤナハさんがあまりにも落ち込んでいたから、「皆には内緒な。」と言い、頭を撫で撫でと耳サワサワをしてあげた。
すると、ポンっと擬音が付きそうな感じでヤナハさんの尻尾が現れて、犬ばりに左右に尻尾を振っていた。
……待っていると3時間後に報告が上がった。
内容がまあ、特別報酬目当ての「付随する情報」が報告書の8割を占めていた。
クラリーサの居場所から始まり、今回の黒幕の現在の居場所や家族構成、部下の……以下略。
この報告書を使えば黒幕一味の幹部らは、単独で指定した場所に時間通りに来るだろうな。
だって、本人の「黒歴史」まで記入されているんだから。
俺としては、屋敷の周りを「ネズミ」や「黒光りするG」の如く徘徊されるのは嫌だから資料を王宮に送って黒幕一味を確保するまでを、白い狐さん達にお願いして、俺達はクラリーサを迎えに行く事にした。
クラリーサside
今日は、皆で順番で廻している休日。
何処に行こうかしら?
そう言えば、セイラが新しい小物を売っている店の事を話していたから、行ってみようかな?
「いらっしゃい。」
「わあ! 見た事の無い細工物が沢山有るわ。」
「ゆっくり見ておくれ。」
「はい。」
本当に綺麗な髪飾りとか色々と有って目移りしたけど、お陰で良いのを買えたわ。
さあ、時間も迫っているし、帰りましょう。
「ちょっとお客さん。」
「はい。」
「先程、出来たばかりの耳飾りだけど見ていくかい?」
「見たいのですが、時間が……」
「見るだけなら、それ程時間は掛からないよ。」
「……分かりました。」
そして、店員が言った耳飾りを見る為にカウンターに近付くと、いきなり後ろから抱き付かれて鼻と口を塞がれ、何か匂うと思ったら、その後の記憶は無い……
「……此処は?」
今は夜なのか、それとも地下なのか、辺りを見回しても何も見えないわ。
でも、何人居るか分からないけど、私以外に誰か居るみたいで、少し安心したのは良いけれど、私はどれくらい此処に居たのかしら?
1時間?
それとも1日以上かしら?
皆やユーマ様が心配していると思うと胸が痛むけど、私は自身の身体を調べたわ。
幸運にも腕は縛られていなかったから。
でも、右足には多分だけど鉄枷が填められているから脱出は無理みたい。
……良かった。どうやら、穢されてはいないみたい。
ユーマ様は私を探しておられるのでしょうか?
普通に考えたら、居なくなった奴隷1人の為にわざわざ探したりしない。
余程、高額で購入したりしない限りは。
でも、今までのユーマ様を思い出せば、きっと私を探してくださる筈よ。
私は暗闇の中、自身を奮い立たせていると、私の前方からガチャガチャという音がすると、扉が開く音の後、ランプの光が見えたと思ったら、部屋用の照明が灯された。
……眩しい。
「さあて、出荷の準備をしろ。」
「「「へい。」」」
……出荷!?
つまり、私は何処かに売られるの?
私は照明に目が慣れた事で周りを見ると、私以外に捕まっていた人は全て女性で、少女ばかりだったわ。
これって最近、噂になっていた少女失踪事件なの!
「親分、この女は?」
私?
「その女は、特別だ。」
「特別ですか?」
「ああ。だから、その女は大切に扱え。」
「……へい。」
「その必要は無いよ。」
「誰だ!」
「ボクだよ。」
「これはこれは。ようこそ、お出でくださいました。」
「報告を受けて、待ちきれなかったんだ。」
「左様で。」
「はい、代金の金貨20枚だ。」
「……確かに。」
「おい、運び出せ。」
「「「はい。」」」
そして、私は抵抗する事も出来ずに、両手両足を縛られ、猿轡をされて、その上で麻袋に入れられたわ。
……ユーマ様、助けて!
そして、私がすっぽり入る樽に入れられて、多分、馬車で運ばれた私が次に見たのは、何処かの森の中で、祭壇みたいなのが見えた。
「さあ、儀式を始めようか。」
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