……何か、昼ドラだよな。
実際、結婚式をドタキャンされたら、面目丸潰れだよな。
リカルド(16歳)side
我が国で政変からのクーデターが起き、第2王子のサイラス殿下が兄である皇太子を廃して玉座に就いた。
宰相である父さんは処刑された。
本来ならボクも処刑される筈だったけど、母さんと妹が自らの命を捨てて逃がしてくれた。
母さんはその時、抵抗した為に命を失い、妹も軍功を挙げた騎士に褒美として渡されたらしい。
だから、ボクは絶対に死ぬ訳にはいかない!
逃げている途中で熊型モンスターに襲われた所までは覚えているんだけど、気が付けば両足と右腕に右耳や右目を失ったけど生きている。
それに奴隷に堕とされたけど、上手くアピールすれば悪くない扱いを受けれる筈だ。
父さん、母さん、アピラーナ、ボクは生き抜いてみせるから、見ててくれ。
片目片耳片腕両足欠損だけど、奴隷商にはボクは宰相の長男だと言ってあるから、買う人に因ってはボクは有用な筈だ。
……おや、ボクより年下の少年が来ている。
珍しいな。
え!
ボクを買うのか!
……仕方ないか。
ボクには、一切の権利は無いしな。
最悪、攻撃魔法の「的」か、薬物の実験体かな?
……え!
身体を隅々まで洗うんですか?
出来れば、せめて女性の奴隷に……
ダメですか。
え、「オレ達も野郎の身体なんか洗いたくない!」ですか。
それはそうですよね。
お互いに諦めましょう。
そして、ボクを入れた3人が馬車に運ばれたけど、わざわざ欠損奴隷を買ってどうするんだろうか?
やっぱり、攻撃魔法の「的」か、薬物の実験体かな?
しかし、この男性の身体は凄いな。
見た事は無いけどオーガみたいだ。
そして、女性の方も左腕が使えないみたいで、ブラブラ揺れている。
後、この2人は知り合いかな。
知り合いと一緒なら、少しは安心出来るよな。
……あれ?
何故、路地裏に?
……信じられない!
あれ程の肉体の欠損を全て再生復元するなんて!
そして、最初のボク達の命令は、この事を他者に伝えない事だった。
確かに、外部に漏れれば大変な事になるだろうな。
だから、奴隷なんだろう。
更に、ボク達の日用品や服等を買って頂いた。
このボク達の主である少年なら、理不尽な扱いは無いだろうと思った。
……創造神イシュトリア様、ありがとうございます!
最後の心残りだった婚約者に出逢えました。
もう、心残りはありません。
ボクの心からリンスを消して、奴隷として生きていきます。
最後の慈悲を心から感謝します、創造神イシュトリア様。
「リンス。過去は忘れて、これからは同じ主の下で奴隷として生きていこう。」
「……」
「どうしたんだ、リンス。」
「……ごめんなさい、リカルド様。」
「何がごめんなさいなんだ、リンス。」
「私もね、覚悟は決めていたのよ。だけど、実際に出逢えたら……」
「リンス?」
「自分自身を嫌いになりそうだわ。」
「リンス、だから、どういう事なんだ!」
「リカルド様、ごめんなさい。少し時間を頂戴。」
「何に苦しんでいるか分からないけど、リンスが決めた事を尊重するよ。」
「ありがとう、リカルド様。」
ユーマside
歓迎会の後に、リンスが明日のお休みをお願いをされた。
勿論、俺はOKしたけど、その割には暗い表情だったな。
それに、ティリーネ達も「仕方ないわよね。」とか言っているし、どういう事だろうか?
翌日の夕食後に、「ユーマ様、お話がございます。」と言うから、応接室で話を聞く事にした。
内容は、今回購入したリカルドは貴族令嬢の時の婚約者で、将来的にはリカルドとの恋人関係を許して欲しい、との事だった。
基本的には、奴隷には自由意思を認められていない。
だから、例え同じ主でも、奴隷同士での恋愛は認められていなくて、世間一般的には奴隷同士が恋人関係になるのは、主に対して反意有りと判断される。
……要するに、リンスは過去と決別して俺の女になる覚悟を決めていたけど、貴族令嬢の時の婚約者に出逢って、気持ちが揺ぎ、1日考えた結果、奴隷としての立場を越えたお願い「彼の事が忘れられないの!」という訳か。
……何か、昼ドラだよな。
例えると、親が決めた許嫁と政略結婚する事になって、結婚式当日に、元カレが来て、「逃げよう!」と言われて、逃げようとしたら、結婚相手が来て出入口を塞がれた所で、「お願い通して! 私、幸せになりたいの!」みたいな感じか?
「どう思うコトネ。セシリア。」
「……普通に考えたら、無理。」
「うん。普通に考えたら、無理よね。」
普通か……
俺がエロゲーの悪役坊っちゃんなら、リカルドの手足を縛り、話せない様に猿轡をして、リカルドが見てる状態でリンスは俺の手で「あっはんうっふん」になるのだが、俺、そんな役じゃないしな。
「リンス。」
「……はい。」
「最低でも、向こう2年間はリカルドとは『白い結婚』な。」
「……ありがとうございます。」
俺、Nから始まる英単語3文字の属性は無いから。
「後、罰として、今後は浴場はリンスだけ別な。勿論、リカルドもな。」
「はい!」
こうして、リンスは笑顔で退出した。
「ユーマ殿は甘いね。」
「ユーマ様、甘いわね。」
「別に大した問題じゃないしな。」
そして、良い事が有れば、順番待ちをしていたかの様に悪い事が起きた。
「まだ、帰って来ていない?」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




