……全く、怖いねぇ。
天狗小僧は何処にでも居る。
あれから、数日間のんびりしている。
ティリーネ達の「もっと、私達とも交流してください。」というお願いをされたからだ。
そんな訳で、今、ティリーネ達と室内用遊戯で遊んでいると、王宮からの使いが来た。
内容は、「直ぐに王宮に来て欲しい。」だった。
書き方がかなり切羽詰まっていたから行く事にした。
「急に呼び出してすまない。」
今、俺達が居る場所は王宮のプライベート用の応接室で、開口一番に国王の謝罪から始まった。
「それで、俺達を呼び出した理由は?」
「うむ。実はな、2週間後に『魔王の森対策会議』が有るのだが、参加して欲しいのだ。」
「……は?」
「勿論、参加と言っても、ユーマ殿が『誰』なのかを公開する必要は無いが、色々と相談や意見が欲しいのだ。」
「……はあ。」
「本来なら、こういう時の相談役が居たのだが、今は居ないのだ。……頼む。」
「私からもお願いします、ユーマ様。」
王妃も一緒になって頭を下げている。
「分かりました。」
その後は「魔王の森対策会議」の当日まで毎日通い、色々と準備をした。
とりあえず、ルドラ達の「アレ」は、「知らん!」で通す事になった。
そりゃあ、調べようが無いからな。
そして、当日だが、いきなり「会議を始める。」にはならないのが、テンプレだよな。
先ずは、使節団の歓迎会が開かれた。
理由は、「長旅、疲れたでしょう。先ずは旅の疲れを癒してください。」って、やつだ。
そして、この歓迎会で、現在の国力を各国の使節団に見せている訳だ。
因みに、リン、ユズハ、アルは別室に控えている。
各国の使節団の中に人族至上主義が居るかもしれないからで、それで、何か有れば大変だからだ、俺が。
まあ、「リンやユズハやアルを苛める奴が居たら泣くまで許さない!」を、トリア姉さん込みでやっちゃうからだ。
いや、マジで。
アルは、王族だけど、そこら辺をサボっていたから、リンとユズハと一緒に留守番だ。
「……それでは、旅の疲れを癒して欲しい。……乾杯。」
こうして、一見穏やかな歓迎会なんだけど、たまに聞こえる会話に「含み」を持たせた内容が有る。
「いやぁ、我が国で育成中の勇者候補がやんちゃでね。」
「それは大変ですなぁ。我が国も頑張らなくてわ。」
意訳が、「勇者候補がやんちゃ」から、騎士団等が抑えるのに苦労する程、強くなっている、だろうな。
次が、「我が国も頑張らなくてわ。」から、そっちがその気なら我が国でも、育成を強化してやる、だろうな。
……全く、怖いねぇ。
それと、各国の使節団は何人かの勇者候補を連れて来ているけど、多分、本命が最強で、対抗が最弱、大穴が強いけど問題児だと思うが、大穴は嫌だな。
因みに、俺達の歓迎会での立場は、牽制の意味も込めて、この国の勇者候補筆頭になっている。
それと、以前使っていた「仮面」を着けている。
セシリアを知っている者が居た場合の対策の為だ。
「おい!」
しかし、これ美味しいな。
「おいっ!」
あ、これリンの好物だ。
「聞こえているのか?」
なんか、周りが騒がしいな。
「無視するな!」
肩を掴まれたから、俺?
「俺か?」
「そうだ!」
「何の用だ?」
「お前が、この国の勇者候補筆頭らしいな?」
「そうだが。」
「オレ様と戦え。」
「何故だ?」
「この国の勇者候補筆頭の力をオレ様が検分してやる。」
こいつ、馬鹿か?
「する必要は無いな。必要なのは、魔王の森に存在すると言われる『魔王の子』に勝てる強さを持っているか、持っていないかのどちらかだ。」
「だから、オレ様が検分してやる。」
「そんな事を言う程、お前は強いのか?」
「当然だ。オレ様に勝てる者は居ないのだからな。」
「それなら、勝手に魔王の森へ行けば良いだろう。」
「それでは意味が無いだろう?」
要するに示威行為、デモンストレーションか。
「魔王の森に関しては、我が国が最も詳しい。その上で今は時期では無いと判断している。」
「そんなものは、力が無い者の言い訳だ。」
あ、人垣が出来ているわ。
こりゃあ、物理的和平交渉するしかないか?
あ、アイリスだ。
アイリスが、モーゼのアレをしながら俺達の前に来た。
「それならば、親善試合をしましょう。」
こうして、会場の人達は移動した。
そして、各国の勇者候補の代表の試合の準備が整った。
「それでは、制限時間は各5分で、各国の勇者候補が順番に我が国の勇者候補筆頭に挑戦する、という形式になります。」
親善試合に参加する国は5つ。
使節団として来た国はまだ居るが、力の片鱗さえ見せる必要が無いと判断した国が居る訳だ。
まあ、本当に実力不足と判断した国も有るかもしれないが、逆に参加する側は完全な示威行為だな。
「それでは、親善試合を開始します。最初の勇者候補の方、準備はよろしいですか?」
「ああ。」
「では、ペキスダン国の勇者候補『ジオルガ』との親善試合を開始します。……始め!」
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