コトネさんを解放しろ!
美少女と一緒=お約束ホイホイ。
「……コトネ。」
「おお! 貴女の名前は『コトネ』と言うのですか。」
まあ、コトネも無視は無いと思ったんだろうな。
「それでは、お互いを知る為にも、何処かの店に行きませんか? 近くに美味しい紅茶を出す店を知っているのですが……」
「断る。」
「何故ですか?」
「私は奴隷。」
そう言って、コトネは俺の後ろに隠れた。
……分かりました。
最後は、脳筋で押せという希望ですね。
「貴様は誰だ?」
「コトネの主だが。」
「コトネさんを解放しろ!」
「幾ら出す?」
俺は会話のスキップボタンを押した。
「なっ!」
「奴隷は財産だ。財産を放棄しろと言うのなら、その財産分を払って貰わないとな。」
「分かった。払おう。幾らだ?」
「最低、白金貨800枚だ。」
「……ふざけるな!」
「それなら、交渉決裂だな。行こう、皆。」
そう言うと、ダーバの同行者(取り巻き?)が割って来た。
「そんな事を言って良いのか?」
「そうだよなぁ。ダーバの親父は子爵家なんだぜ。」
「だから、何だ?」
「お前、平民だろ?」
「そうなると、貴族に逆らったらどうなるか分かっているよなぁ。」
「馬鹿馬鹿しい。」
「おいおい、良いのか?」
「大切な仲間が、不幸になるかもしれないぜ?」
さて。
どうやって煽ってやろうかと思っていたら、意外な所から横槍が入った。
「それ以上は、止めた方が良いぞ。」
「何だと爺!」
「こやつらは、儂の客だ。その意味が分からんか?」
「爺は黙っていろ!」
「ふん。何を言うのかと思っていたら、一介の鍛冶屋が偉そうに言ってんじゃねぇ!」
「儂は止めたからな。」
更に横槍が入った。
「ダーバ様。時間が迫っております。」
ダーバの家の従者らしき男が入って来た。
「分かった。コトネさん。直ぐにでも解放して差し上げます。今少し耐えてください。貴様の名は?」
「冒険者のユーマだ。」
「ユーマか。もし、コトネさんに何かすれば、貴様の命は無いものと思え!」
取り巻きも何か言った後、出て行った。
「……まあ、頑張れ。」
「コトネ達、絶世の美少女奴隷を連れている以上は諦めているよ。」
4日後の屋敷の応接室には、40歳以上の男性3人が土下座をしている。
その横には、俺を睨むダーバと取り巻き2人も睨んでいた。
「父上! 何故、こんな平民で卑しい冒険者に土下座をしているのですか?」
「お前は、馬車での説明を聞いていなかったのか!」
「……ボクは、これでコトネさんを解放出来ると思って聞いていませんでした。」
「この馬鹿者が! この御方は、国王陛下、神殿長に並ぶ地位を持つのだぞ!」
「……え?」
「そうだぞ。アカブ、お前にも教えた筈だ!」
「……父さん。」
「お前もだぞ、ウーハ!」
「……親父。」
ああ~。
当主達は、きちんと調べたからなんだろうな。
それなのに、息子達は聞いていないと。
「ユーマ様。大変申し訳ありません! 息子には厳しく言って聞かせます!」
「ユーマ様、私もです!」
「ユーマ様、ウーハには徹底的に躾ますから!」
「きちんと説明して、今後、この様な事が無いのなら良いです。」
「ありがとうございます、ユーマ様。」
「……納得出来ない。貴様がどんな立場なのか知らないが、ボク達貴族が何故、平民に頭を下げなければならない!」
「ダーバ、止めないか!」
「止めません! 貴様! コトネさんを賭けて決闘だ!」
あ、言っちゃったよ、禁句を。
「……ダーバ! ユーマ様、ダーバは少々興奮し過ぎているだけです。どうか……」
「分かった。」
「ユーマ様。」
「セイラ、衛兵を呼んで来て。」
「ユーマ様!」
「……どういう事だ?」
「ダーバ、お前と言う奴は……」
「父上、どういう事ですか?」
「お前は、奴隷法を学んでおらんのか?」
「奴隷法? 何です、それは?」
「……はあ。何処で教育を間違えたのだ?」
「父上……」
「2人共、息子の置かれた状況をしっかり教えて、助かった事をきちんと教えるのだな。」
「すまないな、お前だけ犠牲になって。」
「仕方ない。まさか、奴隷法すら学んでおらんとは思わなかったからな。」
「お前も、ダーバに最後の別れの言葉を言ってやれ。」
「父さん、どういう意味だ?」
「お前もだ、ウーハ。」
「親父、どういう事だ?」
「……ダーバは、この後、衛兵に連行されて鉱山行きになるからだ。」
「父上、何故、ボクが鉱山に行くのですか?」
「お前は、奴隷法の強盗罪を犯したからだ。」
「奴隷法の強盗罪?」
「奴隷の主相手に、金銭以外の方法で奴隷を手に入れようとした場合、奴隷法の強盗罪が成立して、その者はその奴隷の購入代金の3倍を奴隷の主に支払う義務が発生する。」
「父上。そんな法律、踏み倒せば良いのです。ボク達は高貴な貴族なのですから。」
「馬鹿者! この奴隷法の強盗罪は、国王陛下でさえ、処罰の対象になるのだぞ!」
「……そんな……」
そして、馬鹿1人が鉱山に送られて行って、残った連中も、90度を越えて頭を下げて謝罪して帰って行った。
「……頼む! ユーマ殿しか居ないのだ!」
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