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お前達は何者だ?

管理職は大変です。

 俺の気配探知とか魔力察知とかに反応が有った。

 改めて調べてみると、俺達の方に向かって結構な数のモンスターが向かって来ている。


「コトネ!」

「なっ! コトネさんを呼び捨てに……」

「黙ってて!」

「……はい。」

「大量のモンスターが向かって来ている。それで、大変、言い(づら)いが『子守り』を頼む。」

「……はぁ。分かったわ。」

「ごめん。」

「……子守り?」


 俺は、それなりに前に出て準備をする。

 周りの安全、クリア。

 前方の人族等の有無、クリア。

 前方のモンスター射程圏内、クリア。


「行けー! 竜閃滅咆哮弾(ドラゴニックバスター)!」


 一瞬、全ての視界を白く染め上げ、その直後に、轟音が鳴り響き、轟風が吹き荒れた。


 攻撃魔法で舞い上がった粉塵が収まり、視界が開けると、前方に存在していた筈の森が消え、横幅30m、奥行きは、1km以上先に有る山まで荒野になっていて、山の(ふもと)は、円形に抉れていた。


「……なななななななななな。」

「……あばばばばばばばばば。」

「……はぁあああーーーーー!」


 以下数人、省略。


 俺とコトネ以外は、こんな感じで現実逃避をしている。


「ちょっとユーマ殿!」

「ごめん、コトネ。」

「私の分が無いじゃない!」

「大丈夫。ボスはちょっとズレていたから、生き残っているし、此方に向かって来ているよ。」

「それなら良いわ。」


 我に返った護衛の仕事を受けている騎士達が、俺に質問をしてきた。


「今の魔法は?」

「亡くなった祖父から学んだ魔法です。」

「……分かった。」

「次に、先程の会話から、ボスが向かって来ている、という事だけど、強さとか到着時間は分かるのか?」

「まあ、強さはワイバーン程度で、到着時間は……ああ、土煙が見えていますよ。」

「……!」

「私達が時間を稼ぐから早く逃げるんだ!」

「大丈夫ですよ。ワイバーン程度ですから。」

「……もしかして、私達の知るワイバーンと、君が言っているワイバーンは違うのか?」

「いえ、世間一般的に認識されているワイバーンです。」

「それなら尚更だ。君もあんな大魔法を使って疲れている……筈……なんだが、疲れている?」

「いいえ。」

「……」

「もう、逃げれる時間は過ぎた、か。」

「どうするつもりだい?」

「彼女、コトネがかなり我慢を強いられていましたから、それを解消する為の生け贄になって貰おうかと思っています。」

「彼女1人で?」

「ワイバーン並みのモンスターを?」

「はい。」

「ユーマ殿。子守りをよろしく。」

「分かった。……来たよ!」


 向かって来たのは、ライオンとトラとタヌキを足して割った様な今一形容が難しい外見をしている四足獣型のモンスターがコトネの前に現れた。


「GaAAAーーー!」

「最初から全力で行くわ!」


 そう言うと、コトネの身体の周りがスパークし始めた。


「身体強化、スキル雷光走破!」


 コトネの身体に雷が「バチバチッ!」って帯電している。


「奥義! 疾風雷皇刃(しっぷうらいこうじん)!」

「GaAAAーーー……」


 ボトッ……バチーーーン! 


 一瞬の閃光の後、ボスモンスターの頭が落ち、ひと呼吸遅れて、ボスモンスターが、落雷並みの静電気に触れたみたいに弾けた後、倒れた。


 その後、ボスモンスターをマジックバッグに仕舞い、混乱中の生徒はコトネの雷属性魔法で、バチッとさせて起こして、今居る森の入り口に設営されている基地に戻った。



 2時間後、生徒全員が帰った事で撤収となり、帰りの馬車の中では、俺とコトネは仲良くお喋りをしていたが、他の生徒達は、自分達の片思いのお通夜を行っていた。


 そして、王都に到着すると冒険者ギルドに行き、各々が狩ったモンスターを換金していった。

 何かトラブルが起きそうだから、俺とコトネは最後の順番にした。


 ……最後にしておいて良かった。

 コトネが全力を出したとはいえ、瞬殺したモンスターは「ライガーヌ」というAランクモンスターだった。

 それを、侯爵令嬢で、しかも他国の者が……になり、ギルドマスターとのお茶会に招待された。


「すまないな。」

「いえ。」

「貴族的な言い回しの方が良いのかもしれないが、生憎、此処は冒険者ギルドだ。単刀直入に聞く事にした。」

「どうぞ。」

「お前達は何者だ?」


 う~ん。

 まあ、相手がギルドマスターだから良いか。


「それなら、これからある短剣を見せます。その短剣をギルドマスターが知っていれば、お話は楽になると思いますよ。」

「……分かった。」


 俺は、例の「短剣」を見せた。


「……そ、それは『王家の短剣』だ!」

「知っていて助かった。この短剣は、フォールイダ王国の国王陛下から頂いた物です。」

「……分かった。それなら、『何者だ?』という質問は取り下げる。次に、あのモンスターはどうする?」

「ユーマ殿は、どうしたい?」

「いや、倒したのはそちらの令嬢だろう。」

「ギルドマスター。此処での話の内容は他言無用で。」

「分かった。」


 そして、コトネは、「隠蔽の首飾り」を外した。


「奴隷紋!」

「私は、ユーマ殿の奴隷です。だから、私が狩ったモンスターの権利はユーマ殿が持っている。」


 再びコトネは「隠蔽の首飾り」を付ける。


「……質問しても良いか?」

「駄目です。」

「そうだよなぁ。」

「コトネの判断で良いよ。」

「分かったわ。全部換金で。」

「……分かった。残念ながら、これ以上を聞く事が出来ないな。引き留めて悪かった。」



 ギルドマスターside


 ユーマ達が部屋から出た後、今日の仕事を終えたオレは長いため息を吐いた。


「……本当に何者だ?」


 今日の仕事の最後として報告書を見たが、コトネという令嬢だけじゃなく、あのユーマという少年も桁違いの魔法を放ったらしい。

 確認が出来なかったらしいが、少年の言葉から大量のモンスターが向かって来たみたいだが、それをあの少年は「大魔法」と言える程の威力の魔法を放ちモンスターを殲滅したらしい。

 他の報告書でも、地響きが有ったとか、爆風が吹き荒れていたとか、森の奥に一直線に伸びた荒野が有ったとか、森の奥の山の麓が円形に抉れていた、とかが報告されている。


「……帰ろう。」




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