払います。幾らです?
認識の誤差に因る悲劇がまた……
此方の意図を図れず、困惑しながらも答えた。
「公表するしないは、別だけど、解毒はしたいかしら?」
「分かりました。では、一旦「短剣」を国王陛下にお預けします。その上で、俺が出す解毒も出来るポーションを飲んで頂きたいと思いますが、どうされますか?」
「あの『短剣』を預ける、ね。なるほどね。短剣を預ける事で、身分を平民に戻し、何か有れば、自身の命で贖う訳ね。」
「そうです。」
「分かったわ。それなら、『短剣』を陛下に預け……なくても良いわ。」
「……は?」
「兄上が、貴方に『短剣』を渡した時点で、そういった『信頼』を試す必要は無いわ。だから、ポーションを渡しなさい。」
「は、はい。」
そして、俺は異空間収納から光り輝く透明な水が入った瓶を王妃に渡す。
後ろに居るコトネやセシリアは、絶望に染まったかの様な声で、「やっぱり。」と小声で言っている。
……何故、絶望に染まった声なの?
そして、アナスタリア王妃は、光り輝く透明な水を飲む。
「……え!」
アナスタリア王妃は、一瞬光り輝くと直ぐに光も収まり、全身を確かめている。
「素晴らしいポーションね。解毒どころか、慢性化していた肩や腰の痛みも消えたわ。これ程なら、きちんと代価を払うわ。」
「いえ。代価は必要は無いです。」
「そういう訳にはいかないわ。かなり貴重なポーションなのでしょう?」
「いえ。偶然、手に入れたので……」
「払います。幾らです?」
……アナスタリア王妃の目が座ったよ。
以前、コトネやセシリアが教えてくれたんだけど、「エリクサー」は、オークションに出品したら、白金貨3桁になるのは確実らしいけど、何処まで上がるかまでは、分からないみたいで、見当が付かないらしい。
「……幾らだと思いますか?」
「え……と、そうね、大金貨6枚……いえ、8枚の価値は有ると思うわ。」
「それは、『エリクサー』です。」
覚悟を決めていたコトネ達以外は、全員が固まった。
3分後に、解凍されたアナスタリア王妃は、ワナワナと震えていた。
「……エリクサー!」
「はい。」
「……嘘でしょう。長くても2週間我慢すれば消える毒程度に、『エリクサー』ですって! 貴方、正気なの! 信じられないわ!」
……こ、怖い。
そして、肩を掴んで前後にシェイクしないで~!
そうだ!
貴重だから怒っているんだ!
だから、貴重じゃないと分かれば大丈夫な筈だ!
「あ、後、念のために3本『エリクサー』を渡しておきますから、いざって時に使ってください。」
「……3本?」
「はい。」
「………………………………」
アナスタリア王妃が、キャパオーバーからの狂乱が始まっております。
暫く、お待ちください。
「ハアハア……」
「大丈夫ですか、アナスタリア王妃。」
「貴方がぁ……」
「アナス。」
「……陛下。」
「大丈夫ですか、母上。」
「……大丈夫ですよ、ゼク。」
俺の後ろでは、コトネ達が「また被害者が……」とか、言っているんだけど、酷いよな。
「……貴方、何者なの?」
「何者、と言われても……」
「分かりました。引きなさい。」
アナスタリア王妃が、そう言うと部屋の天井裏や壁の向こう側から人の気配が消えていって、部屋に居た侍女達も退室した。
「これで良いわね。貴方は何者なの?」
「分かりました。アナスタリア王妃は、約5年前のフォールイダ王国の占星術師の占いを知っていますか?」
「……勿論です。『神の子』か『魔王の子』が誕生したという占いで、今、魔王の森と呼ばれる場所に『魔王の子』が居るという噂に……」
「俺が、その『魔王の子』です。正確には、『神の子』であり『魔王の子』でもあります。」
「……!?」
「ユーマ殿。それはどういう意味だい?」
俺は説明した。
「なるほどな。確かに敵対者から見れば君は『魔王の子』だし、味方から見れば君は『神の子』となるな。」
「そういう訳です、ゼクゼラス殿下。」
「それで、エリクサーとは、どういう関係が?」
「実は、エリクサーの原液は、その『魔王の森』の最深部に存在します。」
「「「「なっ!」」」」
先程、ショックから再起動したアイリスにも、教えていなかったからか、一緒に驚いているし、アナスタリア王妃と同じ驚き方だな。
この後は、落ち着いた事もあり、これ以降の予定等の話し合いが終わり、後は、美味しい紅茶とお菓子を頂きながら雑談をしていると乱入者が現れた。
ノックや確認や許可を与える前に、だ。
「兄さん! 何故、私を除け者にするのです!」
無断で乱入して現れた者は、外見年齢は30代前半ぐらいの太ったオッサンで、着られている服が可哀想だよ。
……と、ガチで言いたくなる。
「ロバート……」
「ゼクスラン兄さん。この者達は?」
「ロバート、その前に何か言う事があるのではないか?」
「……何かありますか? それより、答えてください。この者達は誰なのですか?」
「何をしている。ロバートはかなり酔っている様だ。介抱する必要がある。自室に連れて行け。」
「なっ! ゼクスラン兄さん! ボクは別に……」
「早く連れて行け!」
こうして、「ゼクスラン兄さん~」とか言いながら追い出された国王の弟だった。
俺は思わず国王を見てしまった。
視線に気付いた国王は……
「すまなかった。我が愚弟が迷惑を掛けた。」
そうか。
アレが今回の……
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