ユーマ様、確かめてもよろしいかしら?
そういえば、何処かの馬鹿令嬢が、やらかしましたね。
「そこで用意したのが、この2つだ。」
そう言って出されたのが、「短剣」と「書状」だった。
「先ずは、この『短剣』だが、持つ者は、この国の王族と同等の身分と権利を与えられる。」
「……はい?」
「簡単に言えば、これで、この国の貴族では、ユーマ殿に対して権力を振るえないし、他国も雑な扱いが出来なくなる、という訳だ。
だから、今からユーマ殿は、儂らに対して対等な立場として接して欲しい。まあ、公式の場ではそういう訳にはいかないが、それ以外なら、所謂『タメ口』で良い。」
……マジかよ。
「次のこの書状だが、最近、国有地が1つ出来てな、そこの最高権力者として認める内容の書状だ。」
「……へ?」
「と、言っても、ユーマ殿か爵位を持っていて、その領地の領主になっていないから、内政の管理義務は無いぞ。」
「……はあ。」
「ただ、その国有地の最高位の名前の所にアイリスが有るが、そこにユーマ殿の名前が加わるだけだ。」
「……分かった。」
「だから、その国有地で、何かしたかったら、内政管理管に言えば良い。」
とりあえず、短剣と書状を仕舞おうと思ったら、コトネとセシリアが、俺の書状を持っていた腕を掴んだ。
「ユーマ殿、ちょっと書状を確認させて欲しい。」
「ユーマ様。書状をコトネに。」
「わ、分かった。」
「あっ……」
なんか国王が、声を出して冷や汗を流している。
「……やっぱりな。国王陛下、遊びを止めて、本物の書状を出して頂けるか?」
そう言うと、セシリアも書状を確認する。
「……ふう。国王陛下、遊びが過ぎます。」
セシリアもそんな事を言ってきた。
国王以外は、「?」が頭に浮いている。
俺も確かめた。
……危ない所だった。
「国王陛下。」
「はい?」
「……御自身の『男』を殺されたいのですか?」
そう言ってやると、何処からともなく「パリ、パリッ!」と、音だけが周りから聞こえ出して、皆も聞こえているみたいだな。
……俺じゃないよ。
それにな、見えているのは俺だけみたいなんだけど、今、国王は「志村、後ろーーー!」みたいな状態になっていて、国王の後ろに、黒いけど良い笑顔で、右手を上に伸ばして神罰5秒前みたいなトリア姉さんが居る。
「……すまなかったー! おい! 本物を!」
「陛下。だから、あれ程止めといた方が良いと言ったではありませんか。」
「良いから出せ!」
「はい。此方が本物です。」
俺とコトネとセシリアは、「本物」と言った書状を確かめたら、きちんと、先程の書状の間違っている箇所が正しく書かれていた。
「ユーマ様、確かめてもよろしいかしら?」
「はい、どうぞ。」
王妃に言われた通りに渡した。
すると、国王が「貴様、裏切ったな!」みたいな顔をしているが無視だ。
「……陛下。」
「はい!」
王妃のソプラノな声から、ドスの利いた低い声で言った。
「よくもまあ、しれっと出せましたわね?」
「……いや、だから、その、……ごめんなさい!」
「ユーマ様。この『ブタ』は、きちんと躾直しますので許して頂けませんか?」
「分かりました。今回は、王妃様に免じて赦します。だから、創造神イシュトリア様、ありがとうございます。」
そう俺が言うと、国王はギョッとして、トリア姉さんが笑顔で、手の掌をひらひらしながら消えた。
そして……
パリッ!
「ぎゃあああ!」
多分、痛いだけの雷撃を喰らった国王が叫んだ。
……もう一度言うが、俺じゃないよ。
因みに、「偽物」の書状には、「ユーマは、アイリスの婚約者である。」と書かれていた。
そして、国王の回復を待っていると、国王が身嗜みを調え、この国の最高責任者として、俺に言った。
「実は、ユーマ殿にお願いがある。」
「分かりました。話を聞きましょう。」
これは、この国の国王としての真面目な話だと俺は思い、姿勢を正して返事を返した。
「感謝する。」
「それで、話とは?」
「うむ。我が国と友好的な交流をしている北東に位置する隣国『リーデンザイム』に行って欲しいのだ。」
「それは、何故です?」
「実は……」
話の内容は、この国王の妹「アナスタリア」が、その隣国リーデンザイムの王妃として嫁いでいるのだけど、最近体調不良らしくて、宮廷医師に診て貰うと遅効性の毒が検出されたらしい。
そして、どうやら宮廷医師が独断で内情を書いた手紙を送ったみたいで、助けに行きたいが、国王が「妹よ、大丈夫か?」と言って会いにいけない上に、強情な所が有るから拒絶する可能性もある。
そこで、見聞を広げるとかの適当な理由でアイリスが短期留学するから、俺達は、そのアイリスの友人兼護衛として同行して欲しい、というのが国王からの話の内容で、詳しい事は現地で、と言われた。
「分かりました。その話、受けます。」
「ありがとう、ユーマ殿。出発は1ヶ月後だがユーマ殿、頑張ってくれ。」
その言葉の意味は、次の日に判明した。
国王に「明日、午前8時に来て欲しい。」と言われて行ったら、貴族としての基礎知識と礼儀作法とダンスの授業が待っていた。
国王側曰く、「貴族としての基礎知識や礼儀作法やダンスは、何処に行っても邪魔にならないし、王族のアイリスの友人が貴族で無いのは不自然だから。」と言われた。
俺の必死の抵抗も虚しく、出発の前日までみっちりと教え込まれた。
……準備を済ませて、出発して5日後には隣国リーデンザイムとの国境を越えて入国を果たしたのだが、例のアレが現れた。
「死にたくなければ、抵抗はしない事だな。」
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