表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/143

ユーマ様、確かめてもよろしいかしら?

そういえば、何処かの馬鹿令嬢が、やらかしましたね。

「そこで用意したのが、この2つだ。」


 そう言って出されたのが、「短剣」と「書状」だった。


「先ずは、この『短剣』だが、持つ者は、この国の王族と同等の身分と権利を与えられる。」

「……はい?」

「簡単に言えば、これで、この国の貴族では、ユーマ殿に対して権力を振るえないし、他国も雑な扱いが出来なくなる、という訳だ。

 だから、今からユーマ殿は、儂らに対して対等な立場として接して欲しい。まあ、公式の場ではそういう訳にはいかないが、それ以外なら、所謂(いわよる)『タメ口』で良い。」


 ……マジかよ。


「次のこの書状だが、最近、国有地が1つ出来てな、そこの最高権力者として認める内容の書状だ。」

「……へ?」

「と、言っても、ユーマ殿か爵位を持っていて、その領地の領主になっていないから、内政の管理義務は無いぞ。」

「……はあ。」

「ただ、その国有地の最高位の名前の所にアイリスが有るが、そこにユーマ殿の名前が加わるだけだ。」

「……分かった。」

「だから、その国有地で、何かしたかったら、内政管理管に言えば良い。」


 とりあえず、短剣と書状を仕舞おうと思ったら、コトネとセシリアが、俺の書状を持っていた腕を掴んだ。


「ユーマ殿、ちょっと書状を確認させて欲しい。」

「ユーマ様。書状をコトネに。」

「わ、分かった。」

「あっ……」


 なんか国王が、声を出して冷や汗を流している。


「……やっぱりな。国王陛下、遊びを止めて、本物の書状を出して頂けるか?」


 そう言うと、セシリアも書状を確認する。


「……ふう。国王陛下、遊びが過ぎます。」


 セシリアもそんな事を言ってきた。

 国王以外は、「?」が頭に浮いている。

 俺も確かめた。


 ……危ない所だった。


「国王陛下。」

「はい?」

「……御自身の『男』を殺されたいのですか?」


 そう言ってやると、何処からともなく「パリ、パリッ!」と、音だけが周りから聞こえ出して、皆も聞こえているみたいだな。


 ……俺じゃないよ。


 それにな、見えているのは俺だけみたいなんだけど、今、国王は「志村、後ろーーー!」みたいな状態になっていて、国王の後ろに、黒いけど良い笑顔で、右手を上に伸ばして神罰5秒前みたいなトリア姉さんが居る。


「……すまなかったー! おい! 本物を!」

「陛下。だから、あれ程止めといた方が良いと言ったではありませんか。」

「良いから出せ!」

「はい。此方が本物です。」


 俺とコトネとセシリアは、「本物」と言った書状を確かめたら、きちんと、先程の書状の間違っている箇所が正しく書かれていた。


「ユーマ様、確かめてもよろしいかしら?」

「はい、どうぞ。」


 王妃に言われた通りに渡した。

 すると、国王が「貴様、裏切ったな!」みたいな顔をしているが無視だ。


「……陛下。」

「はい!」


 王妃のソプラノな声から、ドスの利いた低い声で言った。


「よくもまあ、しれっと出せましたわね?」

「……いや、だから、その、……ごめんなさい!」

「ユーマ様。この『ブタ』は、きちんと(しつけ)直しますので許して頂けませんか?」

「分かりました。今回は、王妃様に免じて赦します。だから、創造神イシュトリア様、ありがとうございます。」


 そう俺が言うと、国王はギョッとして、トリア姉さんが笑顔で、手の掌をひらひらしながら消えた。

 そして……


 パリッ!


「ぎゃあああ!」


 多分、痛いだけの雷撃を喰らった国王が叫んだ。


 ……もう一度言うが、俺じゃないよ。


 因みに、「偽物」の書状には、「ユーマは、アイリスの婚約者である。」と書かれていた。


 そして、国王の回復を待っていると、国王が身嗜みを調え、この国の最高責任者として、俺に言った。


「実は、ユーマ殿にお願いがある。」

「分かりました。話を聞きましょう。」


 これは、この国の国王としての真面目な話だと俺は思い、姿勢を正して返事を返した。


「感謝する。」

「それで、話とは?」

「うむ。我が国と友好的な交流をしている北東に位置する隣国『リーデンザイム』に行って欲しいのだ。」

「それは、何故です?」

「実は……」


 話の内容は、この国王の妹「アナスタリア」が、その隣国リーデンザイムの王妃として嫁いでいるのだけど、最近体調不良らしくて、宮廷医師に診て貰うと遅効性の毒が検出されたらしい。

 そして、どうやら宮廷医師が独断で内情を書いた手紙を送ったみたいで、助けに行きたいが、国王が「妹よ、大丈夫か?」と言って会いにいけない上に、強情な所が有るから拒絶する可能性もある。

 そこで、見聞を広げるとかの適当な理由でアイリスが短期留学するから、俺達は、そのアイリスの友人兼護衛として同行して欲しい、というのが国王からの話の内容で、詳しい事は現地で、と言われた。


「分かりました。その話、受けます。」

「ありがとう、ユーマ殿。出発は1ヶ月後だがユーマ殿、頑張ってくれ。」


 その言葉の意味は、次の日に判明した。

 国王に「明日、午前8時に来て欲しい。」と言われて行ったら、貴族としての基礎知識と礼儀作法とダンスの授業が待っていた。

 国王側曰く、「貴族としての基礎知識や礼儀作法やダンスは、何処に行っても邪魔にならないし、王族のアイリスの友人が貴族で無いのは不自然だから。」と言われた。

 俺の必死の抵抗も虚しく、出発の前日までみっちりと教え込まれた。


 ……準備を済ませて、出発して5日後には隣国リーデンザイムとの国境を越えて入国を果たしたのだが、例のアレが現れた。


「死にたくなければ、抵抗はしない事だな。」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ