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知らない方が幸せってヤツよ。

既に、ユーマの毛繕いは、全白狐人族に知れ渡っています。

「助かったよ。僕達は『癒しの風』のレイクだ。」

「オレは、ライザだ。」

「オラは、クレカだよ。」

「私は、レイサでレイクの姉よ。そして、貴方が助けたこの()がサリスよ。」

「俺はユーマ。」

「コトネだ。」

「セシリアよ。」

「リンです。」

「ユズハだよ。」

「それで、何が有ったんだ?」

「実は、な……」


 内容は、普通に依頼を達成して帰る途中にオーク3匹に遭遇して不意を突かれて回復係のサリスが頭に怪我を負い、逃走が確定したが、追い付かれて囲まれた所で、俺参上!

 と、いう訳だ。


「なるほどな。」


 この後、回復したがサリスの安全を優先する為、気が付くまで待つ事にした。

 因みに、このパーティーはサリスが中心になっていて、5人共同じ村の幼馴染みで、サリスに回復魔法に才能が有ると分かって冒険者を目指したらしい。

 まあ、パーティーに回復魔法を使えるメンバーが居れば生存率が上がるからな。


「それにしても、ユーマは凄ぇな。」

「何が?」

「ユーマ以外は全て奴隷じゃないか。」

「結果的にはな。」

「羨ましいな……」

「何が羨ましいのかしら?」


 ライザの首にはレイサの短剣の先が突ついていた。


「……いえ、何も。」

「そう。」


 レイサ、短剣を引っ込める。


「礼儀に反するけど、私としても気になるね。」

「何が?」

「あの、セシリアとコトネは、多分、貴族……だよね?」

「何故、そう思う?」

「動きというより所作だね。平民なら緩む所が全く緩んでいないからね。」

「なるほどな。元々は何処の誰かとかは、言えないが確かにセシリアとコトネは貴族だよ。元だけどな。」

「貴族かぁ。良いよなぁ。」

「そうかなぁ。」

「まあ、レイサの方が意見としては近いな。なんせ、貴族同士だと、何気ない一言から、自分だけではなく、家族や親戚まで全て処刑される事もあるからな。」

「……マジ?」

「ああ、大マジだ。贅沢出来る分、そういった危険性も馬鹿げている。」


 ライザとレイサと雑談していると、サリスが気が付いたみたいでレイクの声が響いた。


「……ん。」

「サリス!」

「……あれ? 私は何故、レイクに膝枕されているの?」

「サリスは覚えていないのか? サリスはオークの不意打ちで頭を怪我したんだ。」

「……ああ! そうよ! ……ってあれ? 痛くないわ。」


 俺達はサリスの所に移動した。


「その様子なら大丈夫そうだな。」

「サリス。この人達が僕達をオークから助けて貰って、彼がサリスの怪我を治して貰ったんだ。」

「え!」


 サリスは起き上がり頭を下げた。


「私の怪我を治して貰い、私達を助けて頂いてありがとうございます。」

「良いよ。こういう時はお互い様だろ。」

「でも……」

「どうしても、と言うのなら、飯を奢ってくれよ。」

「……それで良いのか?」

「ああ。」


 そういう事で、俺達は帰るのだった。

 オーク3匹?

 勿論、仕留めた俺達の物だ。


 そして、都市ブローグルに到着した俺達は、先ずは冒険者ギルドに行き、レイク達は依頼達成報告を、俺達はビッグボアやオークの解体をお願いした。

 ビッグボアやオークの肉だけ残して、後は売って戻るとレイク達は待っていた。


 俺達は、レイクオススメの飯屋で助けたお礼でゴチになるのだが、不意に装備品の話になった。


「レイクの装備も買い換え時じゃない?」

「……確かにそうなんだけどなぁ。」

「それを言うのなら、クレカも防御の要だから必要よ。」


 上から目線とか、偽善とかの言葉が頭に浮かぶが、まあ、良いよな?

 これも、「縁」ってヤツだ。


「なあ、良い店知っているが、試しに行ってみないか?」

「ユーマ、何処か良い店を知っているのか?」

「ああ。どうだ? 行ってみるだけでも?」

「そう、だな。」

「そうね。」

「オラも賛成だな。」

「オレも賛成だ。とりあえず、概算だけでも知っておくべきだろうな。」

「それなら、早速行こう!」


 そういう訳で、グランブルム商会「ブローグル支店」に到着した俺達とレイク達。


「おい、ユーマ。」

「何か、ライザ。」

「オレの見間違いでなければ、此処は『グランブルム商会』だと思うが?」

「そうだよ。僕達にはちょっと早いよ。」

「持ち合わせもそんなに無いわよ、ユーマ。」

「大丈夫。さあ、行こう。」


 ガクブルなレイク達を「まあまあ」と言いながら連れ込み、店員に店長を呼んで貰った。


「ユーマ、お前は何者だ?」

「あははは。それは秘密です。」


 勿論、この台詞とポーズは、何処かの悲しい中間管理職の神官(プリースト)から参考にさせて頂きました。


「お待たせいたしました。」

「初めまして。俺が『ユーマ』です。」

「貴方が……。初めまして。私が店長のビアンです。」

「初めまして?」

「ああ。俺の名前だけが、先行しているんだ。」

「それで、ユーマ様。今日はどの様なご用件で?」

「ユーマ『様』!」

「レイクは黙ってて!」

「……はい。」

「今回来たのは、彼らの新しい装備品を見に来たんだ。」

「畏まりました。ユーマ様の連れて来られた方々が満足して頂ける様に、我が支店総力を上げて対応いたします。」

「……いや。普通に対応して。」


 ……大変だったよ。

 呼吸をするかの様に、「7割引き」や「8割引き」を言うから、慌てて止めたら、「では、アレをして頂けるのでしたら、4割引きにいたします。」と裏で交渉されたよ。


 レイク達は、VIP対応にまたガクブルになっていた。


「あれ? ユーマは?」

「ユーマ殿は、グランブルム商会に来た時の義務を果たしにいった。」

「コトネ。」


 レイサは、コトネを隅に連れ込み聞いた。


「もしかしてユーマは、お子様には見せられない事をしに行ったの?」

「いえ。事情を知らない大人には見せられないけど、事情を知らないお子様が見ても大丈夫な内容よ。」

「……?」

「知らない方が幸せってヤツよ。」

「……分かったわ。」


 俺がビアンの尻尾の毛繕いが終わって、夢心地なビアンを置いて戻ると、ちょうど会計が終わった所だった。

 レイクは予算内で買えたと喜びながら言っていたが、多分だが、予算内まで値引きしたのだろう。




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