ユーマ様、あの子を助けてください。
やっぱり、魔法担当が欲しいと思いました。
コトネとセシリアが、カモエの相手をしている間に俺とリンは、魔法学園マカデミを探索する事にした。
……うん。
程度の差は有るけど、学園の生徒は「人族至上主義」に染まっているな。
だって中庭では……
「奴隷にまで堕ちたのに、まだ学園に居座ろうなんて、やはり獣人族は卑しいですわね。」
「そうですわね。」
「その通りですわ。」
「申し訳ありません。」
「あ~、気分が悪いわ。気分転換に水でも蒔きましょう。」
「はい。水球。」
バシャッ!
「きゃあ!」
「やはり、水球ぐらいでは、獣人族の卑しい汚れは落ちないわね。」
「そうみたいですわね。」
「その通りだと思いますわ。」
「さあ、行きましょう。」
そして、「おほほほ」とか言いながら、ありきたりな悪役令嬢風の3人が中庭から去って行った。
更に完全に先ほどの3人が居なくなると、「あ、タオルが」とか言いながら、風魔法で操作して、2階から落としたタオルを奴隷の狐の獣人族の頭に置いた。
「やだ! 獣人族の上に落ちてしまったわ。そんなタオルは要らないわ。」
とか、言って濡れた狐の獣人族の奴隷にタオルをあげる女生徒が居たり……
「もう! また、私の嫌いな食材を使っているわ。
……あら、ちょうど良いわ。そこの奴隷。私、要らないから恵んであげるわ。」
とか、言って手付かずのサンドイッチが入ったバスケットを狐の獣人族の奴隷の近くに置いたりしていた。
……バレバレな演技をしているが、偏見を持っていない生徒も居る様だな。
獣人族の奴隷も分かっているのか、2人が去って居なくなった場所に無言で頭を下げていた。
そんな中庭の出来事を後にして、適当に廻り、最初の場所に戻ると、コトネとセシリアに、カモエと知らない女性が居た。
「従者の分際で何処に行っていた! この御二方に感謝するのだな。今日泊まって頂く部屋の隣にお前達の部屋を用意してやった。」
「はあ。」
「それでは、コトネ様、セシリア様。後の事はこちらの『エナル』にお聞きください。」
「分かりましたわ。」
「それでは、失礼します。」
カモエが見えなくなると、溜め息を吐く女性が居た。
「やっと居なくなったわ。」
「あのぅ、エナルさん?」
「ああ。アレ、確かに地位は高いけど、常識を持っている人達からは嫌われているの。」
「やっぱり。」
「アレの相手は大変だったでしょう。先ずは部屋に案内するわ。従者の方達もご一緒にどうぞ。」
俺達は案内された部屋で、紅茶とお菓子を頂き、一息落ち着いた後は、エナルさんの愚痴が始まった。
内容は、カモエを筆頭にした「人族至上主義者」が増えている事。
それに合わせて獣人族への差別意識を持つ者も増えている事。
元々は「実力主義」だったのだが、「血統主義」の者が増えて、授業が形式的な内容が増えた事等を隠す事なく吐いた。
……多分、コトネ達の格好を見て、コトネ達のご主人は、「話が分かる大物貴族」だと思ったのだろう。
なんとか、学園を良い方向に修正する為に、コトネ達を利用したいのだろうな。
散々愚痴を吐いたエナルさんは、この後の流れを説明した後、部屋から退室した。
その後は、コトネ達から馬車の中での会話の内容や、この学園で2人が聞いた話の内容を教えて貰った。
まあ、内容は聞くまでも無かったな。
馬車の中でも、学園でも、話の内容は、「人族至上主義」と「獣人族の差別」と、「自己中な地位向上」と、コトネ達のご主人の「上位貴族」へのゴマすりだった。
コトネ達のご主人は俺だから、「上位貴族」じゃないけどな。
「コトネ、セシリア。お疲れ様でした。」
「まあ、私もセシリアも、この手の相手は慣れているが、疲れる事には変わり無い。慣れているがな。」
「コトネ。同じ言葉が出ているよ。私も同意見だけどね。」
「コトネも大分、言い方が柔らかくなって来たし、セシリアも無理に冒険者的な言い方をしなくても良いからな。」
「そうか。」
「そうね。そうするわね。」
「コトネ、セシリア。実はな、ちょっと辺りを彷徨いていたら、白狐人族かもしれない少女が居たんだ。」
「ユーマ殿。最後まで言う事はない。買うなりして助けてやると良い。」
「コトネに全部言われたわ。」
「ユーマ様、あの子を助けてください。」
「分かった。」
誰が持ち主か知らないが、白金貨1枚もあれば、手放すと思うがどうだろうかなぁ。
この後は皆と雑談していると、メイドさんが夕食の準備が出来たと伝えて来たので案内をお願いした。
エナルさんから聞いたのだが、この学園は教師も寮生活みたいな生活を送っているが、今、俺達が居る建物は、学園長用の邸宅で、男爵位ぐらいの屋敷の大きさだ。
食堂に入ると、家長席と言える場所に年配の女性が座っていて、左側の2つ離れた席にカモエが座っている。
右側の女性の隣には年配の男性が座っている。
俺達が、勧められた席に座ると年配の女性が、俺達に話し掛けて来た。
「初めまして。私が、国立魔法学園マカデミの学園長をしている『ホキーア=ワーガ=セハー』と言います。
此処に居るカモエから話を聞きました。ゴブリンのスタンピードから、この都市を守ってくださったと。
都市の代表の1人としてお礼を申し上げます。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




