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ゴブリンのスタンピード

異世界あるあるの「主人公の前世が一般人だった為に、転生した主人公の立場を勘違いされる」があります。

 確かに、予兆は有った。

 モンスターが蔓延(はびこ)る森は、夜になると騒がしくなるが、今回は静かだった。

 まあ、森との距離は200mは有るけど、見張りは、セシリア、コトネ、リン、俺の順番で、警戒の為に聴力を身体強化の要領で上げていたのに静かだった。

 何か有ると思っていたが、まさか、ゴブリンのスタンピードとはねぇ。

 ヤシュークの町の冒険者ギルドで、何も言われなかったから把握してなかったんだろうな。

 ……と、いう事は、余程知能が高いジェネラル以上がボスに居る可能性が高いな。

 それに、3人には何時かは、乱戦を経験して欲しかったから丁度良い。


 そういう訳で、今、コトネを中心にリンとセシリアが三人一組(スリーマンセル)で頑張っている。

 なぁに、スタンピードとはいえ、数は1000匹程度だ。

 俺の広範囲殲滅魔法の「雷撃烈風嵐(ライトニングストーム)」で、大体900匹ぐらいは狩ったから、3人だけでも大丈夫だろう。

 一応、フォローする為に、馬車の上に立って、雷撃長距離弾(ライトニングライフル)で、危ない時は援護射撃をしている。


「リン、前に行き過ぎだ!」

「はい!」

「セシリア、もっと周りを見ろ!」

「分かった!」

「コトネ、リンとセシリアを信頼しろ!」

「承知。」


 余裕が有る時は、声を掛けて応援をした。

 そして、後もう少しの所で、コトネが言った。


「残りは私がするわ。」

「コトネ。残りと言っても、まだ30匹ぐらいいるわよ?」

「私の称号の由来を見せるわ。援護をお願い。」

「分かりました。」

「分かったわ。」

「ありがとう。」


 そして、コトネは足を止めて集中し始めた。

 リンとセシリアは、コトネを守る為に警戒する。


「助け……」

「……天空より鳴り響け! 『雷槌(いかつち)』!」


 空から放たれた雷属性の魔法がゴブリンの上から降り注がれる事で、残った全てのゴブリンは倒されスタンピードは終結した。

 ……そういえば、コトネが「雷槌」を放つ直前に声がしたけど……


「な、な、なんて、なんて素晴らしい魔法なのか!」

「先ほどの魔法は君かい?」

「はい、そうですが、貴方達は?」

「これは失礼しました。都市マカデミの国立魔法学園で教鞭を執っている『カモエ=マオス=タールブ』と申します。」

「同じく『スザー=ジダユ』と申します。」

「同じく『デーヒツ=ミチケアー』と申します。」


 そして、最初に名乗った人がコトネの前に出て代表として対応するみたいだな。


「それで、何故、此処に居るんだ?」

「はい。それは、ゴブリンのスタンピードの発生を聞いて、此処に来たのです。」

「そうか。貴方達も命知らずだな、3人で来るなんて。」

「いえ。都市マカデミに住む者として、また、魔法学園マカデミで教鞭を振るう者としては当然の事です。」

「素晴らしい。」


 コトネは脳筋か!

 仮に、スタンピードが発生した事を都市マカデミが認識して、各場所に伝達される。

 そこから、各場所の責任者達が集まって対応を考えて決まった後は、責任者達は各場所に戻り対応を報せる、というのが一般的な流れの筈が、何故、「此処」に居るんだ。

 スタンピードを俺達が認識してからの「時間」、都市マカデミからこの場所との「距離」、彼らの「立場」から考えて無理が有り矛盾している。

 例えゴブリンだけとはいえ、「スタンピード」だ。

 決して安直に考えて良い事じゃない。

 自分で言うのもアレだか、俺というイレギュラーが居たからこそ、コトネ達は無事だったんだ。


「それでは、スザーとデーヒツは後処理で残りますので、私は皆さんを都市マカデミの代表として案内をさせて頂きます。」

「ちょっと良い……」

「何、ボサッとしている! 従者はさっさと準備を始めていろ!」


 え!?

 俺が従者?

 ……まあ、良いか。

 道化を演じるかな。


「はい! すみません。直ぐに準備します。」

「え!?」

「コトネ様にセシリア様、リン様、直ぐに馬車の用意をしますので少しお待ちください。」

「ユーマ! さっさと準備をしなさい!」

「はい!」


 どうやら、今までの対応はコトネも分かってやっていたみたいだな。

 それに、セシリアも気付いたみたいだし、リンは……コトネ達が説明するだろう。


「リン。ちょっと来て。」

「は、はい。」


 ほらな。

 まあ、このぐらい気付かないと魑魅魍魎(ちみもうりょう)(うごめ)く宮廷の中を生きる事は出来ないか。


 俺は雇われ従者の振りをして馬車を用意して、御者席にリンと共に座って都市マカデミに向かった。

 後で、コトネ達に移動中の話の内容を聞かないといけないだろうな。


 都市マカデミに到着したけど、あの3人が国立魔法学園で教師なのは本当みたいで、すんなりと入る事が出来た。

 そして、そのまま国立魔法学園マカデミに向かった。


 都市と同様の名前を持つ国立魔法学園マカデミは都市の中心に建っていて、まるで王都の王城の様な存在だった。

 後で知ったのだが、当時の国王の王命で創立された学園らしい。

 そして、この魔法学園が中心となり、今では都市の規模まで増大している。


 さて。

 国立魔法学園マカデミに入った俺達は、コトネとセシリアはカモエが連れて行った。

 どうやら、カモエにとっては、リンも俺と同じく従者側と思ったらしい。

 多分、リンは獣人族だし、コトネやセシリアが持つ特権階級の雰囲気が無いからだろうな。

 勿論、俺も無い。

 そして、差別意識からだろう。

 異世界あるあるの「人族至上主義」ってヤツだろう。

 ……胸糞悪い!

 カモエも、当然気付いただろうコトネ達の奴隷紋も、勝手に自己解釈して、「上位貴族様の先遣として来た奴隷達だろう。奴隷にこれだけのお金を使うのなら、かなり上位の貴族だろうな。」とか思っているんじゃないか。


 それなら、俺は俺で動くとするか。


「申し訳ありません。」




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