……正規の代金を払わせてくれ。
主人公のチートは、時に仲間の怒りを買う。
アイリスに事情を説明して、一応という感じでグランブルム商会本店に伝えたら、「私達が全てご用意いたします!」と言われて次の日には、人数分の馬車に、孤児院の管理者の補充要員をご用意していた。
……シュッパツダー!
費用は、魔王の森の浅い層のモンスター1匹で支払いさせられました。
……正規の代金を払わせてくれ。
マテリヒナの町に到着した俺達は、そのまま孤児院に向かった。
そして、孤児院に到着した後は、院長兼喫茶店店長の「元王妃」のレミリーアに説明した。
追加人数は21人。
とりあえず、白金貨20枚渡して俺はレミリーアに丸投げした。
そして、サヤとマイカには……
「オマワリさーん。この人ですー!」
とか……
「シネバイイノニ。」
と、言われました。
俺は無実だ。
確かに、前世の施設(当時10才)で暮らしていた時は、年下の女の子(当時8才前後)に好かれていたが、今回とは関係無い筈だ!
「でも、今回入って来た女の子達は10才前後ですよ。」
「うお! サヤ、俺の心を読んだのか?」
「ユーマさん。顔に出ていますよ。」
「本当?」
「はい。」
その後、新しく入った少女達が馴染むまでの1ヶ月間を一緒に過ごした。
流石はスラム街出身で、周りの空気を察知する能力は高くて直ぐに馴染み、前から居た子達と仲良くなった。
そして今、俺達は王都に向かっている。
だって、王都のオークションの優待特典付きメダルを貰ったしな。
とりあえず、諸々を確認しようと思った訳だ。
そんな馬車旅のある日に、今日の目的地の町「ショパンニ」まで後20分の所で、リンから質問が来た。
「ユーマ様、あの黒い塊はなんでしょうか?」
「ん?」
リンが言う方向を見ると、「暗雲」と間違う程の大量のワイバーンが俺達の方向に向かって飛んでいた。
「ワイバーンだ!」
「……はい? ユーマ様、あの黒い塊が、ですか?」
「ああ。俺自身も信じられないがな。」
「ユーマ様。間違いなく、このままだと私達の目的地の町が滅びますよね?」
「ああ。サクッと滅ぶな。」
「今なら、まだ誰も見てないと思います。」
「……そうだな。やるか。」
俺はセシリアに馬車を止めて貰って、箱馬車の上に立ち右手をワイバーンの大量の群れに向けて指を銃の形、まあ、人差し指を伸ばし親指を立て、それ以外は握るアレだ。
そして、それなりに集中して撃ち放つ。
「雷撃長距離弾!」
俺は彼我の差が300mに入ったワイバーンを次々に撃ち落としていった。
……う~ん。
50匹、撃ち落とした所で、飛んでいたワイバーン全てを片付ける事が出来たけど、そもそも何故、ワイバーンがあんなに群れで固まって飛んでいたんだ?
まるで、何かから逃げていた……
う、嘘だ、……ろ……
何で、黒竜が8匹も来てんだよ!
「ユーマ様。私、目が可笑しくなったのでしょうか?」
「ユーマ様。私もだ。私には黒竜が8匹が此方に向かって飛んでいる様に見えるぞ。」
「……残念ながら事実だ。」
「そんな……! ユーマ様だけでも逃げてください!」
「まあ、ユーマ様と共に死ねるなら良いかな。」
「リンにセシリア。何故、人生が終わるみたいな事を言っているんだ?」
「ユーマ様、黒竜ですよ!」
「そうだ! いくらユーマ様が強くても黒竜を8匹なんて無理だ!」
「いや。真面目にやれば楽勝だぞ。魔王の森の深層だと、黒竜より強い黄金竜が雑魚扱いになるからな。」
そうなんだよなぁ。
魔王の森の最強は古代竜で、それを束ねるのが、古代覇王竜のルドラだ。
……つまり、楽勝だけど、ワイバーンなら兎も角、黒竜までを売るとなると、流石のグランブルム商会でも時間が掛かるだろうと思う。
それに、放置して誰かにやる程、俺の器はデカくない。
移動しますか。
此処で戦うとリンやセシリアが危険だし、町にバレるかもしれないからな。
「リンとセシリアは留守番な。」
「なっ!? ユーマ様!」
「……無事に戻られる事をお祈りいたします。」
「ああ。俺が『魔王』と呼ばれるのが伊達ではない事を証明しよう。」
俺は、言ってみたかった台詞を言ってしまい照れ隠しで、少し力を出して疾走する。
そして、黒竜8匹の前に躍り出る。
俺は殺気を放っているから黒竜は俺を無視出来ない状態になっている所で、「素材優先の正しいチートな討伐方法」を実践しますか。
先ずは、8匹全てに麻痺魔法を掛けまして、動けなくしてから身体の傷だけを治す治癒魔法を掛けて外見を綺麗にします。
最後に「凍結煉獄葬」を放ち凍結させて殺します。
これが、主人公系チートに因る正しい「素材優先」の高額モンスターの討伐方法になります。
……俺は素早くワイバーンと黒竜を異空間収納に仕舞い、リン達の所に戻った。
後、ワイバーンで3匹がまだ生きていたから黒竜と同じ方法で仕留めて、この3匹はオークション用にしよう。
「ただいま。」
「ユーマ様。1発、顔を叩いて良いですか?」
「ユーマ様。1発、腹パン入れても良いですか?」
「何故?」
そして、俺達は何事も無かった様に目的地の町ショパンニに到着した。
……どうやら、バレていないみたいだな。
流石に黒竜8匹来襲以上のイベントは無く、荒くれの野郎共11人が、セシリアにナンパして全員大地に抱擁したぐらいしか無かった。
そして、1週間後に王都に到着した。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




