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……王宮内探検は止めておこう。

あのジャンヌが良い例かな。

「それは……王宮占星術師が占いで出た『神』か『魔王』の『子』とは俺だからだ。」

「……!?」

「ユーマ様、本当ですか?」

「本当だ、セシリア。」

「ユーマ様。その占いで出たのがユーマ様だと何か問題があるのですか?」

「全く無いぞ。」

「なっ!」

「だってそうだろ?」

「続きを、ユーマ様。」

「分かりました、アイリス王女殿下。」

「アイリスで構いません。」

「分かった、アイリス。何故なら、例えば、この国に対して敵対すれば、他国にとっては『神の子』になるし、俺がこの国の味方になれば、他国にとっては『魔王の子』になる。」

「あっ!」


 アイリスは気付いたみたいだな。


「そして、この国の国王に敵対すれば、俺は『魔王の子』になるし、味方になれば、『神の子』になる。」

「……そう、ですよね。」

「真実、創造神様が『神の子』を降臨させたとしても、その『神の子』がこの国に敵対すれば、国王は、『神の子では無い! 魔王の子だ!』と国王陛下が宣言する可能性も有るだろうしな。」

「……はい。」

「だから、敵対する意思は無い証明として各国が派遣した軍は殆ど無事に生還しただろ?」

「そういえば!」


 まあ、悪党は始末したけど、これは偽善じゃなく「独善」であり只の自己満足だからな。


「まあ、流石のアイツらも強すぎて軍を無傷という訳にはいかなかったみたいだけどな。」

「ユーマ様、『アイツら』とは誰ですか?」

「八魔将。」

「……え!? ぐっ、ゲホッゲホッ!」

「大丈夫か、アイリス?」

「大丈夫よ、セシリア。」

「……ユーマ様、八魔将とはどの様な関係で?」

「最初は喧嘩から始まって、仲間になり、今じゃあ家族だ。」

「……家族?」

「ああ。だから、俺としては『無視』をお勧めする。」

「無視、ですか?」

「ああ。別にあの森を占領している訳じゃないからな。

 普通に森の資源を取りに来るだけなら、邪魔をしないさ。だけど、俺達への侵攻なら話は別だ。」

「分かりました。しかし、お父様である国王陛下にも、そう簡単には話せない内容ですね。」

「もう1つも話しておこうか。」

「また有るのですか?」

「グランブルム商会は完全に俺の味方だ。」

「……はい!?」


 いや~。

 王女という立場の人でもこんな顔するんだなぁ。


「……我が国に於いて占める割合は、今の段階で4割。後、5年程で6割になるかもしれないグランブルム商会が!?」

「さて、アイリス。」

「なんですか、ユーマ様!」

「落ち着け。」

「……すみません。それで何ですか?」

「俺の小さい事情よりも、セシリアの方が大切だろ?」

「……そうですね。小さいのではなくて、大き過ぎる事情ですが、確かに、今はセシリアの方が大切ですわね。」

「魔王の森の侵攻賛成派を潰したんだろ。だったら……」

「ユーマ様。残念ながら、私はもう貴族令嬢に戻っても未来は無い。」

「そうなのか、アイリス。」

「……はい。『奴隷に堕ちた』、この事実が全てを黒く塗り潰してしまいます。」

「そうなのか。」

「だから、私は密かに憧れていた冒険の旅に出たいんだ。」


 ……それでか。

 侯爵という最高位の貴族令嬢なのに戦う力を持っていたのはそういう事か。


 その後も色々と雑談、主にセシリアの過去話をアイリスが暴露しながら、そのままアイリスの勧めで王宮に泊まる事になった。

 しかし、アイリスの独断の為に、最低限の者しか知らないから無闇に出歩くと、牢屋行きや、その場で殺される可能性が有るらしい。

 ……王宮内探検は止めておこう。


 翌日、アイリスが来て王城の案内をする事になった。

 何でも、「対魔王」の特殊騎士を育成中で、俺に見て欲しいみたいだ。

 しかし、セシリアは侯爵令嬢であり、アイリスの近しい友人として過ごしていた為に顔が割れている事から、どうしようとなったが、俺が種類の違う仮面を3つ出した。


 設定はこうだ!

 セシリアは他国で文通していた友人でお忍びで来た事。

 しかし、幼少の頃に顔に傷を負い仮面を付けている。

 そして、セシリアの従者もそれに倣い仮面を付けている。

 ……に、した。

 セシリアの仮面は美しい装飾を施してあり、俺の仮面は道化を連想させる装飾を、リンの仮面は悲しみを連想させる装飾になっている。


「ユーマ様、良くこれだけの仮面をお持ちでしたね?」

「紳士の(たしな)みですよ、アイリス。」

「しかも、『変声』の付与魔法までして。」

「それも、『紳士の嗜み』ですね。」

「……」


 そして、俺達は偽名を名乗る事にした。

 セシリアは、テシリア

 俺ユーマは、ルーマ

 リンは、カリン

 ……となった。

 偽名で重要なのは、本当の名前からあまり離れない事がポイントだ。


 こうして、俺達はアイリスの案内で適当に廻った後、本命の特殊騎士の訓練所に向かった。


 おぉう!

 結構厳しい訓練だな。

 しかし、「怒る」と「(しか)る」が違う様に、騎士団長からは厳しい中に優しさを感じるな。

 しっかりと注意点を丁寧に教えているしな。

 あ、騎士団長が俺達に気付いた。


「これはアイリス王女殿下。どうして此方に?」

「久しぶりに他国の友人がお忍びで来たので、案内をしておりました。」

「そうでしたか。皆、少し休憩だ。」

「良いのですか?」

「はい。それでアイリス王女殿下、よろしいですか?」

「はい。」

「その、ご友人方は、何故、仮面を?」

「テシリアは、幼少の頃に顔に傷を負いまして、それからは仮面を付けてますの。」

「そうでしたか。テシリア様、申し訳ありません。」

「良いですよ。」

「それで、後ろの2人は?」

「テシリアの従者よ。」

「そうですか。何故、2人共に仮面を?」

「従者としての気配りです。」

「あ、ああ。なるほど。承知しました。従者殿のお名前をよろしいですか?」

「男性の方が『ルーマ』で、女性の方が『カリン』です。」


 俺とリンは騎士団長に会釈する。

 そして、「対魔王」の特殊騎士である事を隠した他愛のない説明と雑談をしていると、話に割り込む者達が現れた。


「無駄な努力をまだやっていたのか。」



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