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……やられた。

生活力皆無の淑女達を抱えてどうするユーマ。

 グランブルムに到着した俺達は、直ぐにユリシアとビアンカさんと会い、一時的な避難場所にさせて貰った。

 (つい)でに言えば、グランブルムの商会長が俺を上位に置いている事に皆は驚いていた。

 彼女達には喫茶店が開ける様に教育して欲しいとお願いした。

 そして、そんなお願いをしていた時に、ユリシアとビアンカさんが何かを我慢している様に見えた、って言うか、尻尾が忙しなく動いていた。

 察した俺は、奴隷の中の1人を呼んだ。

 呼んだのは白い狐人族だ。


「やっぱり捜索願いが出されていたイナハです。」

「君は『イナハ』と言う名前か?」

「はい。」

「どうして、捕まって奴隷になったんだ?」

「実は……」 


 内容は、こうだった。

 1人で遊んでいたが、遊びに夢中になって結界の外に出てしまい、そこに現れた人族の子供と仲良くなり、遊んでいると怖い人族に連れ去られて奴隷にされたらしい。


「ありがとう、ユーマ。」

「ありがとうございます、ユーマ様。」

「それじゃあ、奴隷解放(スレイブオプス)。これで、イナハは自由だよ。」

「ユーマ。もう解放したみたいだけど、良いの?」

「何が?」

「折角、お金払って買った奴隷だよ?」

「別に構わないよ。」

「もう1度言うよ、ありがとう。」

「ありがとうございます、ユーマ様。」

「良いって。」


 どうやら、ユリシアとビアンカさんはオークションには参加していないが、スパイ的な人は潜り込ませていたみたいで、イナハが奴隷となりオークションに出品されていてかなり慌てたらしいが、買ったのが俺だから、とりあえず安心していたようだ。

 しかし、我慢しきれずに尻尾とかに心情が出ていた。

 ……と、いう訳か。


「そういう訳で代金です。」

「何の?」

「捜索願いを出していた家族です。」

「そうか。」

「保護して家族に帰した場合の報酬200枚入っています。」


 俺は思わず受け取ってしまった。

 ちょっと待て!

 何の200枚か言ってねぇ!

 中身を確かめる俺!


「受け取った以上は返さないでくださいね。」

「……やられた。」


 入っていたのは、「白」金貨200枚だった。


「イナハの家族は何者?」

「実は、幹部です。」

「……なるほどな。」


 彼女達の中から1人が近付いて来た。


「ご主人様、少しよろしいでしょうか?」

「良いよ。」

「単刀直入にお伺いします。ご主人様はいったい何者なのでしょうか?」


 先ほど、纏まって何かを話し合っていたな。

 そして、「元王妃」のレミリーアが代表して聞きに来たみたいだな。


「強さか、お金か、人脈か、経歴か?」

「全てです! ……失礼しました。」

「別に良いよ。」


 元とはいえ、王妃が頭を深く下げたよ。

 教育が行き届いているなぁ、奴隷の。

 さて、奴隷になった者は最初に自尊心とかを砕く事から始まる。

 身体に傷が残る暴力と薬以外を使って徹底的にやる。

 確かに、反発する奴隷も一部では人気あるが、基本的には従順な奴隷が好まれる。

 だから、奴隷商側も少しでも奴隷が傷付かずに生きる事を善意的な意味も込めて教育する。

 それでは質問に答えるかな。


「強さについては、偏屈な祖父と森の中で暮らしていた。」

「それだけでは……」

「勿論それだけじゃない。場所があの『魔王の森』の近くだからだ。」

「嘘っ!」

「本当だ。次に、お金に繋がるが、近くに大金に変わる獲物が沢山居る場所がある。」

「魔王の森ですね。」

「ああ。次に、人脈だが、このグランブルム商会の代表とはちょっとした『縁』があってな。それでだ。」

「……」

「最後の経歴だが、知らん。」

「……え!?」

「物心付いた時には、既に祖父と森暮らしだったからな。両親の顔どころか、両親に繋がる物は一切無い。」

「……そうだったのですか。ご主人様、私達の質問に答えてくださりありがとうございます。」

「じゃあ、最初の命令な。」


 俺の「命令」と言う言葉に奴隷の皆が緊張している。


「何でしょうか?」

「俺の呼び名は、『ユーマ』にしてくれ。」

「……分かりました。しかし、流石に奴隷主を呼び捨ては出来ませんから、『様』は付けさせてください。」

「分かった。」


 この後、改めての自己紹介が始まり、異世界転生奴隷編あるあるの奴隷に名前を付けるイベントが発生したけど、やっぱり奴隷になる前の名前を付けたら喜んでいた。

 そして、来た時にお願いした喫茶店の件は、この都市の近くにある「マテリヒナ」と言う町があって、そこなら、領主よりもグランブルム商会の方が力が有るらしい。

 なんでも、そこの領主の財布を握っている執事が人化した白狐人族らしく、そこでしたらどうか、と勧められた。

 確かにこの都市だと色々とメリットが多いが、その分だけデメリットも多い。

 こうやって最初の目的が決まったが、皆の心身の疲労を回復する為に、オークションが終わって一気に空き部屋が増えた俺が泊まっていた宿屋「狐の微睡(まどろ)み」を1週間貸し切って、皆をそこに移動した。

 勿論、宿屋の宿泊費は正当な金額を払うつもりだ。

 そこはきちんとしないとな。

 そしたら、向こうから逆襲されたよ。


「貸し切りと1週間の滞在に関しての割り引きをさせて頂きまして、4割引きです。」


 ちょっと待て!

 3割ならまだ分かるが、4割は引き過ぎだろう。

 絶対に4割の内、1割以上は「俺」だからだろう。

 ……結局、「それ以上ごねるのなら、5割引き、6割引きにしますが!」と逆ギレで言われて4割引きの金貨20枚を支払った。

 そして、皆と交流を図っていると、領主からの呼び出しを喰らった。


 確か、此処の領主は侯爵位だし、交易都市だから領主館がデカいだろうと思っていたが、予想以上にデカい!

 そして、案内されるままに応接室で、高級と分かる紅茶とお菓子を頂いていると、領主であるコレスーテ侯爵と執事とあの時の護衛2人が入って来た。


「面倒臭いやり取りは無しだ。お前は何者で、購入した奴隷を使って何を企んでいる?」


 これは、「俺」=「ローズ」がバレているな。

 まあ、領主なら調べられるな。



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