そうか。運が無いな。
推しのアイドルには、既に男が居ました状態?
ある日、俺達が「王都」の冒険者ギルドに行くと、非公認FCみたいな状態になっている20人くらいが俺達を待っていた。
「待っていたぞ。」
「お前が、セシリアさんに付き纏っているガキだな?」
「レンちゃんを毒牙に掛けようとしたクズはお前か?」
「……はぁ?」
「覚悟するのだな。もう2度と此処に来れない様にしてやるからな!」
「どうやってだ?」
「「「ガルバレアさん、お願いします!」」」
馬鹿達が、そう言うと明らかに「格」が違う冒険者の男が前に出て来た。
「Aランク冒険者のガルバレアだ。」
「何故、Aランク冒険者が、こんな馬鹿馬鹿しい話に乗ったんだ?」
「いや、オレも最初はそんな気は無かったんだが、そっちのお嬢さんを見たら気が変わった。」
この男の視線の先は、キサラを捉えていた。
「キサラか。」
「ああ。だから、オレと決闘しようか。勿論、ハンデはやるし、魔法契約書できちんと、取り交わされた約束を守ると誓おう。どうだ?」
「……契約の内容は?」
「そっちが負けた場合は、チームを解散して、チームの3人や、セシリアのチームと、レンのチームに2度と接近しない、話し掛けない、だな。」
「俺が勝った場合は?」
「まあ、勝てるとは思わないが、勝った場合は、現状通りと、オレが出来る事でなら、1度だけ願いを叶えてやる。依頼料が白金貨に届くヤツを受けて依頼料を全て渡しても良いし、オレが懇意にしている貴族に紹介しても良い。
どうだ?」
……全くメリットが無い!
キサラはちょっと違うが、他は全て俺の奴隷だから、他人に文句言われる筋合いは無いし、やろうと思えば、この国の国王にアポ無しで面会出来るし、そこそこのお願いも通せる。
お金も、グランブルム商会に行けば、約30分も有れば白金貨50枚が手に入る。
それにしても、本当にこいつAランク冒険者か?
情報収集を全くしていないよな。
「Aランク冒険者なのに、俺達に関しての情報収集をしていないのか?」
「ああ。長期の依頼から昨日帰って、今日、ギルドに報告に来たら、後輩のこいつらに頼まれてな。イキがっているガキを懲らしめて欲しいと頼まれたんだ。」
「そうか。運が無いな。」
「まったくだ。折角の休みなんだがな。まあ、そちらのお嬢さんと、お近づきになれるのなら悪くない。」
……本当に運が無い人だ。
「ユーマ殿。初めて、こんな不運な人を見ました。」
「コトネに同感です。この方は、創造神イシュトリア様のご不興を何処かで買ったのでしょうか?」
「我が君。人族に初めて憐憫の情が沸きました。」
結局は、要求を呑む事にしたが、俺からの要求を「負けた場合、俺達やセシリア達やレン達に、一切関わらない。また、それを他者にさせない事」と「クラン星屑に一切関わらない事」にした。
この要求を関係者全員に呑ませた。
向こう側全員が、「クラン星屑」って何、って顔をしていたから、煽ってテンションを上げた状態でサインさせて誤魔化した。
因みに、魔法契約書は有料で、代金は負けた方が払う事になった。
……ハンデ?
勿論、必要ないから断った。
決闘のルール説明と準備が終わった。
「……両者、よろしいですか? ……始め!」
「うおぉおおおー!」
向こうが、開幕ダッシュとは言わんばかりに、突っ込んで来たのだが、流石はAランク冒険者だ。
……速い!
が、俺から見れば遅い。
あっさり躱して、俺から見て悪い所を軽く叩き、最後は、首に模擬剣を当てる。
「勝者ユーマ!」
……勝った。
「「「「「「「え!?」」」」」」」
まあ、向こうは現役Aランク冒険者で、こちらはランクは兎も角、外見はガキだ。
だから、気持ちだけは分かる。
「じゃあ、約束を守るようにな。」
そのまま、俺達は立ち去った。
非公認FCの連中side
「あのガルバレアさんが負けた?」
「Aランク冒険者のガルバレアさんが……」
絶望に染まった者達の前に、1人の冒険者が現れた
「お前は、ベルトル!」
「あの場に居ないと思っていたら、今更、のこのこ現れてどういうつもりだ!」
「そうだぞ! これでオレ達は、もうセシリアさんに関わる事が出来ないんだぞ!」
「オレ達だって、もうレンちゃんを外から愛でるだけしか出来ないんだぞ!」
「オレは、万が一を考えていたんだ。」
「どういう事だ?」
「あの内容で万が一にも負ければ、絶望しかない。だから、例え1人だけになろうとも、動ける者が必要だと思ったんだ。」
「……そうか。すまない。」
「それで、何か策はあるのか?」
「ああ。確かにオレ達からは関われない。しかし、彼女達は奴隷だ。だから、彼女達の奴隷主にお願いすれば、オレ達は再び関わる事が出来る!」
「「「「「「「おお!」」」」」」」
「確かにそうだ!」
「確かに、オレ達からは関われないが、セシリアさんからなら、オレ達は再び関われる!」
盛り上がっている中、先程、審判をしていた受付嬢が憐憫と同情心から、死神の鎌を振り落とす
「あ、あのぅ……」
「どうしたの、レシナさん。」
「ガルバレアさんや皆さんに大変言い辛く、心苦しいのですが、事実を伝えたいと思って。」
「大丈夫だ。」
「本当ですか?」
「なあ、皆!」
「「「「「「おう!」」」」」」
「分かりました。実は……」
そして、死神の鎌が振り落とされた
「セシリアさん達のチームと、レンちゃん達のチームは同じ『クラン』に所属しています。」
「「「「「「「へぇ、そうなんだ。」」」」」」」
「そのクランのリーダーが、その……」
「何?」
「先程、戦ったユーマ様がリーダーなんです!」
「「「「「「「「はっ!?」」」」」」」」
「そして、セシリアさん達やレンちゃん達の奴隷主も、ユーマ様なんです! だから……」
「「「「「「「そんなーーー!!!」」」」」」」
練武場には、最後の希望を失った者達が絶望に打ちのまされていた
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