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クルト君、負けちゃったぁ。

エイプリルフールは、実際は午前中限定らしいです。

 まあ、答えても良いか。


「明日は、冒険者ギルドに朝9時までに行って、ギルドマスターからエルフの国への許可証を貰う予定だ。」

「本当ですか!」

「ああ。」

「ユーマさんは凄いですね。この都市の冒険者ギルドのギルドマスターは普段でさえ厳しい事で知られているんですよ。」

「……そうなのか?」

「はい。ですから、そんなギルドマスターである彼女に昨日や今日、到着したユーマさんが明日には会える。どんなコネを持っているんですか、って話ですよ!」

「あはははは……」

「ユーマさん、カツ丼食べながら『お話』をしますか?」


 クルトも結構、ディープだな。

 因みに、刑事モノのあのシーン(取調室でカツ丼)だが、リアルだとカツ丼奢るのは法律違反らしいな。


「簡単に言えば、他の冒険者ギルドのギルドマスターが俺の事をそれなりに知っていて、此処のギルドマスターが、俺の事を聞いていたからだ。」

「そうだったのですか。」


 その日の雑談は終わり、翌日朝8時過ぎには冒険者ギルドに向かったのだが、何故か、クルト達も付いて来た。


 冒険者ギルドに8時半に到着した俺達は、時間が来るまで待っていると、大人で騎士的な外見の美女4人が近付いて、俺の前で仁王立ちしている。


「私達は冒険者パーティーの『白百合(ホワイトリリー)』よ。」

「俺達に何か用か?」

「話は聞いたわ。貴方に勝てば、彼女は私達の仲間になるのよね?」

「……は?」


 どういう事だ?


「何を言っているのか、意味が分からないな。」

「其方の女性が言っていたそうね。貴方に勝てば、其方の女性は勝った者のパーティーに入るって。」


 俺が混乱していると、周りの聞く耳を立てていた連中が騒ぎ出した。


「おい! Aランクパーティーの『白百合(ホワイトリリー)』が、勧誘に動いたぞ!」

「このガルデンダイムで最強の一角の『白百合(ホワイトリリー)』が!」

「そういえば、彼女達は、違う都市でワイバーンの変異種を討伐したらしいぞ。」

「4人がパーティー結成した理由が、4人共、同時期に片思いの相手に振られたのが切っ掛けらしいぞ。」


 モブの皆さん。1名除いて、基本情報ありがとう。

 そして、その1名よ。

 そんなプライベートな情報を晒していると、いつか、月の無い夜に肉体言語で会話を強制される上に、(おんな)にされるぞ。


 ……ほら。

 彼女達は、その1名を睨んだ。


 やっと頭が動いた。

 あの時の会話が、尾ひれ背びれが付いた状態で、彼女達は聞いたのか。


「ちょっと待ってください、ビアンジュさん!」

「クルト君?」


 知り合いか?


「何処の誰に聞いたかは知りませんが、他のパーティーから引き抜きをするなんて……」

「ワイバーンの変異種を討伐した時に思ったのよ。

 攻撃力が足りないってね。」

「だからと言って……」

「クルト、もう良い。」

「ユーマさん。」

「戦っても良いぞ。但し、俺達の用事が済んでからだ。」

「用事って、何よ。」

「ユーマ様。少し早いけど、良いかしら?」


 2階から、多分、ギルドマスター(白い狐さん)だろう人が降りながら確認に来た。


「リアージア様!」

「あら、ビアンジュさん達も居たの。」

「はい。……所で、今、彼の事を『様』付けで呼びませんでしたか?」

「それが何? だってユーマ様は……」

「ギルドマスターが、冒険者の情報を晒すのは良くないと思いますが?」

「……ごめんなさい、ユーマ様。ビアンジュ、悪いけど理由は言えないわね。」

「……リアージア様。」


 あ、睨まれた。


「貴方と戦う理由が彼女だけじゃなくなったわね。」

「それならちょうど良いわ。ユーマ様とビアンジュは模擬戦をして貰うわ。ユーマ様。大変申し訳ありませんが、対外的に必要なのでお願いします。」

「分かった。」


 そして、俺達は冒険者ギルドの練武場に移動する。


「……で良いわね?」

「ああ。」

「はい、リアージア様。」


 まあ、ルールは普通だ。

 殺人や目玉等への攻撃で部分欠損は禁止で、殺せる状況にしたり、気絶や戦意喪失と審判は判断したら勝負が決まる。


 ……向こうは「槍」か。


「これよりユーマとビアンジュの模擬戦を開始します。

 両者、準備は良いわね? ……始め!」


 因みに俺の得物は「剣」だ。

 ……って、突っ込んで来た!


「ハ! シッ! セイ!」


 ビアンジュだったけ?

 この女性(ひと)、キツいわ~。

 胴体を狙う時は、心臓、鳩尾、腎臓を狙うし、顔なら人中(鼻と唇の間)やコメカミを狙うし。


 そんな向こうからの攻撃を無駄な動きを増し増しに盛って躱している。


「くっ。……バカにするな!」


 30秒以上躱していたら、向こうがキレて、モンスター相手にする時みたいな魔力入りの攻撃をした瞬間、俺は突っ込みながら躱して、模擬戦用の剣をビアンジュの喉に触れる。


「勝者ユーマ!」


「ユーマ殿、最後は見事です。」

「ユーマ様、最後は真面目でした。」

「我が君、面白かったぞ。」


 コトネとリンの言葉の刃が痛いよ。


「ユーマさん、凄い舐めプだよ。」

「ユーマ、凄いかったわ。」

「ユーマ様、素晴らしい戦いでした。」

「ユーマ~、凄いね~。」


 クルト以外の称賛が終わるとクルトは彼女に向かった。


「ビアンジュさん!」

「クルト君、負けちゃったぁ。」

「当たり前です! ビアンジュさん、ユーマさんは今の僕より強いんですよ。」

「……え!? 本当?」

「はい。」

「リアージア様……」

「クルト君の言う通りです。」


 ……やっぱり、クルトと知り合いか。


「これで、ユーマ様の実力が証明されました。」


 ギルドマスターのリアージアさんが、そう言うと木製の札を俺に渡した。


「これが、エルフの国の入国許可証です。」

「ありがとう。」


 その後、俺はクルトに疑問を聞いてみた。


暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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