全身毛繕いの代金は準備済みです。
キサラが御者をやると、盗賊のエンカウント率が上がります。
……う~みゅ。
貴族や商人の馬車が、不自然に停まっているなぁ。
規模が「都市」だから、領主以外の貴族も居るし、「来ている」貴族も居るんだよなぁ。
当然、それに合わせて様々な商人も。
それが、停まっている。
あ~あ、降りて来たよ。
貴族の馬車から綺麗な服を着た令息や、商人の馬車からもボンボンが。
貴族の令息が2人に、商人のボンボンが1人か。
「美しいお嬢さん。もし良ければ貴女の名前を教えていただけませんか?」
「おや、ミリツナ子爵家次男のカザルガではありませんか。いけませんなぁ、婚約者が居る身で、他の女性に声を掛けるなんて。
初めまして。私は、アーマリカ子爵の嫡男ヒードイです。
私は彼みたいに婚約者を裏切る様な不誠実な事はいたしません。」
「確かに婚約者は居ませんが、上に3人居る姉が1人もまだ嫁いでいませんけどね。初めまして。この都市で1、2を争う商会のヤーラレ商会の次期後継者のヤークです。」
「モノは言い様だな。確かに1、2を争っているが、争っているだけで、毎年2位の商会だ。」
「……カザルガ様。」
さて、どうしようか。
「はん! 興味無いわね。行きましょう、我が君。」
「ああ。」
「「「待て!」」」
「私は、子爵家の者だぞ。」
「私は、彼と違って嫡男の上に婚約者は居ませんよ。」
「私が引き継ぐ商会は、子爵家以上の資産を持っていますから、其方の2人よりも裕福な暮らしが出来ます。」
まあ、気持ちは分かるよ。
キサラは本当に綺麗だからな。
しかし、俺は平和主義者だから、何とか穏便にしたい。
(平和主義者って……、ユーマ、可愛い。)
……トリア姉さん?
「最低限、家の力に頼らずに1日に金貨1枚以上を稼げる様になってから来るのね!」
「ま、待て!」
「そ、そうだ!」
「話はまだ終わってない!」
「……五月蝿い!」
キサラは、思わず殺気を飛ばしてしまい、3人はその場に倒れた。
……あ~あ。
最初から拒否しているのに、しつこく迫るから。
そんな訳で、倒れた3人を無視して、その場から離れた俺達は、散策を楽しんだ。
翌日、宿屋をチェックアウトして、宿屋の白い狐さんに伝言を頼み、都市アークザラを後にした。
「キサラ、あの時、俺に渡した『鞘』もキサラの一部でいいんだよな?」
「はい。我が君、そうです。」
「と、いう事は武器に戻った時は、鞘だよな?」
「……は、はい、我が君。」
ちょっと思い付きがあって、キサラに聞いてみたが、都合良く俺の思い付きが使えるみたいだ。
「ユーマ様、盗賊が来ました。」
「分かった。」
……サクッとアジトも含めて処理を済ませ、エルフの国に向かっている俺達だが、1週間後に人族の国とエルフの国との国境である、ガルデンダイム辺境伯が治める都市「ガルデンダイム」に到着した。
恒例の白い狐さんの宿屋を探して馬車を頼み、俺達は冒険者ギルドに向かった。
エルフ族や獣人族が多いなぁ。
……見事に、ギルド内に居る冒険者の野郎共は、キサラの「顔」、「胸」、「足」の3ヶ所に視線が集まっていた。
因みに今の時間は午後3時過ぎで、依頼が早く終わった冒険者がギルドに居る時間だ。
だから……
「クルト、何処を見ているのよ!」
「クルト様、何処を見ているのですか?」
「クルト君、鼻の下が伸びているよ?」
「……え、いや、違うんだ! レスト、デリカ、コラン。」
……なんか、同類系が居るな。
とりあえず、挨拶と情報収集の為に、受付嬢の列に並ぶ。
「ようこそ、ガルデンダイムの冒険者ギルドへ。私、受付嬢の『ウルカ』が担当します。今回はどの様なご用件ですか?」
「初めて、この都市に来た冒険者の『星屑眼』のリーダーでユーマだ。」
「総督の!?」
ちょっと声量を下げて話を続けた。
「……冒険者ギルドにまで入っていたのか?」
「はい。此処は、人族とエルフ族の国境の都市ですから。」
まあ、話が早くなるか。
「エルフの国に入る方法は?」
「ガルデンダイム辺境伯の親書か、エルフ族の友好の証か、この冒険者ギルドのギルドマスターの許可証が必要です。」
「エルフ族の友好の証なら持っているが、此処のギルドマスターはどっちだ?」
「全身毛繕いの代金は準備済みです。」
「つまり、冒険者ギルド側の許可証は手に入る、か。」
「はい。」
「許可証が貰える基準は?」
「実力が有って、人格者で、最後にギルドマスターに認めて貰えれば発行されます。」
「エルフの国に行きたいから発行して欲しい。」
「分かりました。」
エシルの集落で友好の証を貰えたけど、「奪っただろう!」とか言われた時用に貰っておこう。
「ユーマ様、正式な手順で発行する為、明日の午前9時までに冒険者ギルドに来てください。」
「分かった。」
「次に、この都市での注意事項は?」
「エルフ族や獣人族であれ、馬鹿は居ます。」
「やっぱり?」
「はい。それと、此処に来るまでにお気付きかと思いますが、獣人族も多いですから、ご注意ください。」
「分かった。」
話が終わり、冒険者ギルドを出ようかと思ったら、早速現れた人族の馬鹿。
「ちょっと待ちな。」
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