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殺しても良いですか? 良いですよね?

偽善者的疑似足長おじさん。


 俺達は、チンピラ3人に絡まれた。


「おい、ガキ!」

「良い女が居るじゃねえか。」

「ガキには勿体ねぇ。」

「は?」

「聞こえなかったのか?」


 本当に、台所のアレや、森のゴブリンの様にこの手の連中は幾らでも沸いてくるよな?


「我が君。殺しても良いですか? 良いですよね?」

「待て。」


 そして、本性が武器の所為(せい)か、直ぐに殺しに入る。


「キサラ、こういう類いの処理の仕方を教える。しっかり学ぶ様にな。」

「はい、我が君。」

「いや~、すまん。流石に街の、しかも冒険者ギルドにゴブリンが入り込んでいるとは、全く想像すらしていなかったものだから、聞きそびれたよ。しかも、器用に人族の言葉は使うから余計に、な。」

「……てめえ、殺す!」


 はい、煽り耐性無いから武器を抜いたな。


「こうやって、内面を攻撃して、先に向こうに攻撃体勢を取らすか、武器を抜かせる。」

「はい、我が君。」

「何を言ってやがる!」

「死ねぇ!」

「そして、首から上、手首と足首より先には攻撃せずに、主に身体に攻撃する。この様にな。」


 俺は、最初に前に出たチンピラを左右の脇腹と鳩尾に1発ずつ入れる。


「が、ぎ、ぐふぅ……」


 そして、倒れたチンピラその1の右肘を踏み潰す。


「ぎゃあああ……」

「そして、武器を抜いた奴にはこうやって右肘を潰す。」

「はい、我が君。」

「よくもやりやがったな!」

「次は、こういう場合もある。」 


 チンピラその2が向かって来たから、左ローで軽く(すね)の骨にヒビを入れて動きを封じた所を、左脇腹の肋骨ブレイクして、左アッパーで顎の骨を砕く。


「ぎぃ、ぐぅ、がはっ!」

「こうやって潰す。骨にダメージを与えるときは、必ず、向こうは武器を抜いた奴に限る事。」

「はい、我が君。」

「それじゃあ、残りの1匹をやってみろ。」

「はい、我が君。」

「いや、オレは、その……」

「我が君に感謝するのですね。本来なら、既に物言わぬ肉塊になっていたのですから。」

「いや、待て。オレは……」

「……五月蝿い。」

「がぁ、ぐばぁ、ぎぃあ……」


 チンピラその3が反応出来ない速さで、顎、鳩尾、右肘を「素手」で殴って沈めた。


 もう1度言うが、キサラの本性は「刀」だ。

 つまり、キサラの外見は、和風服の女武将だけど、実際は、鉄や鋼鉄以上のフルプレートメイルを装備している状態で殴っているのと同じだからな。


「我が君、如何でしたか?」

「ああ。良くやった。」

「ありがとうございます、我が君。」


 因みに、俺への「我が君」呼びは直せなかった。


「さて、次だ。」

「はい、我が君。」

「こうして、潰した後は、服と靴と冒険者ギルドのカード以外を全て剥ぎ取り、押収した物品は全て売り飛ばす。

 現金はそのまま手元に残す。分かったか?」

「はい、我が君。」


 そう言ってキサラに教えた後は、4人でチンピラの剥ぎ取りをして物品は売り飛ばした。


 宿屋に帰った後は、とりあえず、やらかしたらヤバいヤツを思い出せる分だけでも、キサラに教えた。


 翌日、朝食を頂いて準備を済ませて、少ししてから冒険者ギルドに行ったけど、勿論、到着時間は午前9時前だ。


 冒険者ギルドに入った俺達は、受付嬢に声を掛けると、1階の冒険者用の一般応接室に向かった。


 受付嬢から注意事項を聞いた後、最初の人の簡単な説明を聞いた。

 最初の人は平民で、行方不明(死亡扱い)の夫の遺留品を希望している、との事。


「時間が来ました。」


 受付嬢が「失礼します。」と言って退室すると、3分も経たずに女性1人と一緒に入って来た。


「此方の方が、遺留品の買い取り希望者です。」

「出来る限り支払いますから、お願いします!」


 俺は、女性から遺留品の特徴を聞いた。

 まあ、詐欺の可能性が有るからな。

 でも、女性が買い取りを希望する遺留品の特徴を見せないまま全てハッキリと答えた事で、女性が希望する遺留品は、この女性が買い取る正統性を証明した。


「コレですね。」


 俺はマジックバッグから、遺留品のブローチを出した。


「……はい、コレです!」

「それでは、次は買い取り金の設定します。」


 この買い取り金の設定は、正直、冒険者側の自由だ。

 金貨1枚相当の品を銅貨1枚から白金貨100枚とか、兎に角自由だ。

 何故なら、盗賊から押収した物は、全て手に入れた者が所有者になるのだから。

 例え、それが国王の宝冠でも、王女本人だろうがな。

 自分の物を売るのだから、元々の値段は無視しても良い事になる。


 因みに、ブローチの値段は銀貨3枚だ。


「幾らを希望されていますか?」

「そうだなぁ。此方の出す条件を飲むのなら、安くしても良い。」

「本当ですか?」

「ああ。その条件は、買い取ったブローチは、家に帰るまで開けない事だ。」

「……本当に、それが条件ですか?」

「ああ。どうする?」

「その条件を飲みます! それで幾らですか? 大銀貨4枚まで用意したのですが。」

「此方の希望は、『銅貨1枚』だ。」

「……え!? 銅貨1枚ですか?」

「気に入らないのなら、買い取りを拒否するが?」

「いえ、ありがとうございます。銅貨1枚です。」


 俺は、銅貨1枚を受け取ると、ブローチを渡した。


「ありがとうございます。ありがとうございます。」


 女性は、何度も感謝の言葉を言いながら退室した。

 受付嬢が怪訝な顔をして質問してきた。


「ユーマ様、何故、買い取る条件を『家に帰る』までにしたのですか?」

「ああ。あの女性の安全の為ですよ。この冒険者ギルド内や、帰り道にブローチを開けると危険なんで。」

「ユーマ様、ブローチの中に何を入れたのですか?」


 この世界のブローチは大抵は中に何かを入れれる様になっている。


「白金貨1枚。」

「……は!」

「ユーマ殿、『また』か。」

「ユーマ様、『また』ですか。」


 コトネやリンは呆れているが、白金貨1枚も有れば、夫を喪ったあの女性も新しい何かを始めて安定するまでの充分な生活費になるだろう。

 残念なのは、開けた時のビックリした顔が見れない事だ。

 偽善だろうけど、自腹を切るし、やりたいから良いだろ!


「……?」


 鬼紗羅(キサラ)だけは、意味が分からずにキョトンとしている中、次の人の時間が来た様だ。


「次の方は貴族です。では、呼んで来ます。」


 そう言って退室した。

 3分も掛からず、肥えたオッサンと執事らしき爺さんが受付嬢と一緒に入って来たけど、態度デカいな。


「銅貨1枚だ。」



暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。


演出用にキサラを「鬼紗羅(キサラ)」と表現しようと思います。

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