まだ流すの?
まあ、俗な言い方で、「俺の色に染まれ!」ってやつですな。
そして、先程とは比べる事すら出来ない凄まじい剣戟が繰り広げている。
ギィン! ガァン! バキッ! ドカッ! カカカ!
ヴン! ヒュッ! ギッキィン!
……強い。
「どうしたの? このままだと死んじゃうよ?」
「……お前は誰だ?」
「私? 私は剣よ。剣そのものよ。」
……それなら、試しにやってみるか。
そして、俺は鍔迫り合いになった時に相手の右腕を掴む。
「掴んでどうするつもり?」
「……こうする。」
俺は、相手の右腕を介して魔力を流す。
「……あはははは。良いわね。乗ったわ。」
「……」
「うふふふふふ。大丈夫?」
「……」
「……え!?」
「……」
「まだ流すの?」
「……」
「……嘘!?」
「……」
「……い、イヤ!」
「……止めだ。」
「……い、イヤーーーーーー!」
実は、俺は純粋に数字とかだけを見た場合、物理より魔法の方が上なんだよね。
向こうは、俺の狙いを正確に読んだ。
だけど、俺の身体が創造神イシュトリアが用意した身体だとは知らなかった。
だから、一般的な魔力量だと勘違いした。
そこを突き、俺は「上書き」を狙ったという訳だ。
そして、再び輝き始める。
しかし、先程の紅い光ではなく、朱い光だ。
収まると、そこには衣装が洋風から和風に変わり、土下座している女性が居た。
「……我が君。今より我が主は貴方様になりました。
どうか、我が鞘をお受け取りください。」
「分かった。」
そう言って、差し出された「鞘」は、洋風の長剣の鞘ではなく、日本刀に良く見る反りが入った「鞘」だった。
俺は鞘を握ると……
「誓約は成された。今より我が主の敵は我の敵なり!
我が刀身砕ける時まで、この誓約は我が誇りとせん!」
そう言って宣言すると、朱く光り抜身の日本刀になった。
刀身は漆黒で、その漆黒に埋まることの無い鮮やかな朱い紋様が刻まれていた。
(我が君よ、自身の名を。そして、契りの証に我に新たな『名』を。)
「俺はユーマ。契りの下、我が刀に新たな名を与える。
その名は『鬼紗羅』だ!」
(契りは成された! 我が名は『鬼紗羅』なり!)
三度、朱く光り輝き収まると、そこには、凍える冷たい微笑をした女武将が居た。
「我が君よ。幾く久しく、共に在ろう。」
「鬼紗羅、これからよろしく頼む。」
「はい、我が君。」
「先ずは、今後、共に行動する仲間を紹介しよう。」
俺はコトネとリンを呼んだ。
「ユーマ殿、無事か?」
「ユーマ様、大丈夫ですか?」
「コトネにリン。心配掛けたな。」
「ユーマ殿、見ていたのだけど、この方は?」
「俺の新しい武器であり、新しい仲間の『鬼紗羅』だ。」
「我が名は鬼紗羅。」
「ユーマ殿の奴隷であり、仲間のコトネよ。」
「ユーマ様の奴隷であり、仲間のリンです。」
「よろしく。……しかし、我が君も甘い。この程度の者を仕えさせるなんて……」
俺は鬼紗羅の認識を改める為に強く言った。
「鬼紗羅、コトネ達は大切な仲間だ!」
「我が君、失礼しました。」
「謝る相手が違うだろう。」
「コトネ、リン、ごめんなさい。」
「キサラ殿、共にユーマ殿を守っていこう。」
「キサラさん、よろしくお願いします。」
「コトネにリン。これからよろしくお願いします。」
こうして、あの少年を助ける事が出来なかったが、俺は頼りになる武器であり仲間の鬼紗羅と出会った。
俺達は、周りに何も無いかを確認した後、エルフの集落に戻った。
エルフの集落に戻った俺達は、何が有ったかを説明すると、何人かのエルフが泣いていた。
「マリル、ごめんなさい。」
「マリル、逝ったのね……」
「イヤー! マリルー!」
場が落ち着いたら、エシルが深々と頭を下げて感謝の言葉を述べた。
「ユーマ様。ありがとうございます。これで、私達の集落は再び安全になりました。」
「ああ。これで大丈夫の筈だ。」
「ユーマ様、何かお礼を贈りたいと思います。」
「いや、良いですよ。」
「そういう訳にはいきません。」
「……それなら、エルフの国に行っても通用する『友好の証』みたいなのは無いか?」
「その様な事で良いのですか?」
「ああ。」
「……分かりました。それなら……」
エシルがそう言うと、右手の中指に填めていた指輪を抜き、俺に渡した。
「この指輪の宝玉は、エルフが一生に数える程しか錬成出来ない特別な『石』です。」
「エシル様!」
「良いのです。」
「何か、かなり貴重で大切な指輪じゃないのか?」
「確かに貴重で大切な指輪です。でも、だからこそです。この指輪を見せれば、他の集落や国のエルフに見せれば歓迎されるでしょう。」
「……本当に良いのか?」
「はい。」
どうやら、本当に大切な指輪を頂いたみたいだ。
大切にしよう。
この後、一緒に来たユピナ、サピラ、マピアは実家にそれぞれ寄って事情を話し、私物を俺のマジックバッグに収納して、別れの挨拶を済ませ、もう1度エシルと挨拶をした後、集落から出た。
グレイザリアの街に到着した俺達は、フェリアが待っている白い狐さんの宿屋に帰り、フェリアにも説明した。
説明が終わると、冒険者ギルドに来て欲しい、とギルドの使いの人が来たらしい。
ユピナ達3人を宿屋に残して俺達は冒険者ギルドに行ってみると、受付嬢から、遺留品の引き取り希望の方が居るから、明日の午前9時に来て欲しいと言われた。
俺は了承して、キサラの冒険者登録をした。
キサラは「物」だから血が出るのか不安だったが、血が出て安心した。
無事に、キサラの冒険者登録が終わると、3人程のチンピラにしか見えない奴らに進路を阻まれた。
「ちょっと待ちな。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




