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……やはり、なぶり殺しが良いな。

配下は道具って扱いは、如何にも黒幕っぽいかな、と思いました。

 俺達3人は、異変が発生していると思われる森の奥の場所に向かって移動中だ。

 途中、教えて貰った危険性の高いモンスターのブラックエビルスネークやパラライズラビットやトライデントブルやフロストモンキーを蹴散らせながら先を急いだ。

 確かに、ワイバーンを一噛みで殺す猛毒や触れれば動けなくなる麻痺に、三又の槍の様な角や、凍傷を引き起こす攻撃は脅威だが、それだけだ。

 要するにだ「当たらなければ、どうという事は無い。」ってやつだな。


 ある程度近付くと探知系を広げている事で中心部を特定出来た。


「ユーマ殿。」

「ああ。この先だ。」

「ユーマ様、どうされますか?」

「リンは兎に角、状況把握に努めてくれ。緊張状態でのリンの冷静な判断は信頼している。」

「はい!」

「コトネは、リンを守りつつ、自身の判断で動いて欲しい。」

「分かった、ユーマ殿!」


 俺達が、中心部に到着すると、そこにはエルフの上半身と肉食獣系の獣人族の下半身を持つ少年が居た。

 そして、傍らには禍々しい剣が突き刺さっていた。


「エルフのくそ野郎が来ると思っていたら、劣等種の人族と頭の無い獣人族のガキかよ。」

「この異変の元凶はお前か?」

「ああ、そうだ! そして、偉大な我等が救世主の『テオドーロ』様から預かった、この魔剣によってなぁ!」

「テオドーロ?」

「ユーマ様、都市ブローグルで混血児と戦った時に出た、黒幕の可能性が有る名前です。」

「ああ、アレか。」

「何をごちゃごちゃ言っている!」

「何故、こんな事をしている?」

「そんなの決まっているだろうが、復讐だ!」

「復讐?」

「ああ、そうだ! エルフのくそ野郎共は、熊の獣人族の父親とエルフの母さんとの間に生まれたボクを排除しようとした。しかも、半端者のボクだけじゃなく、母さんまで排除しようとしやがった。父親は何処に居るかなんて知らねえ! ボクを身籠ったと分かった途端に逃げやがったんだからなぁ!」

「……そうか。」


 その少年は、刺さっていた魔剣を抜き構える。


「そして、とうとう母さんは過労で死んだ。だカら、ボクは復讐スる! あのクそ野ロうのエルフ共ヲ……ミナゴロシニスルタメニナァ!」


 ……魔剣に喰われた。


 黒幕にとっては予定通りだろうな。

 本来の目的から目を逸らす為の「餌」なんだろう。


 熊の獣人族とエルフとの混血児の少年は、魔剣を振るうに相応しい禍々しい身体に変貌させられた。


 そして、戦いの火蓋は切って落とされた。


 カン! ギィン! ガッ! ドコッ! キン!


 俺は、戦いながら探った。

 何か、突破口はないかと。

 大切な誰かを喪った悲しみや奪った奴らへの憎しみは捨てろ、と言う気は無いが、だからと言って、その心を利用して使い捨ての道具にされるのは納得いかない!


「スベテヲコロシテヤル!」


 そして、俺は見つけた。

 魔剣の握りの所の先に、後から付けた部分が有り、そこには紅い宝玉が鈍く輝いていた。


「おらぁ!」


 向こうの上段からの振り落としをギリギリに右側に避け、後で治すつもりで、両腕を切り落とすべく、左手に持つ刀を振り落としたが、体当たりされ、体勢を崩した。

 その隙を突いて再び上段からの振り落としされたが、不利な体勢のままその攻撃を受け流し、左に身体を泳がせて崩し、俺は左腕を後ろに引き、紅い輝きを放つ宝玉に刀の切っ先を突き出す。


 ……パリン!


「良し!」

「……ガ、ガアアアアアアーーー!」


 ……ボン!


 ……え!?


 予想を外した?

 混血児の少年だった者は、紅い宝玉を破壊した後、急に苦しみ出して、そして、………………弾けた。


 残ったのは魔剣だけだ。


 しかも、その魔剣は振るう者が居ないにも関わらず、浮かび上がり少しずつ紅く輝き始める。


 ゴゥ!


 質量を伴っていると勘違いする程の紅い光の奔流が、一帯に広がり収まった後には右手に魔剣を握る女性が居た。

 外見は、18歳くらいで、スタイルは平均的だが、特筆すべきは、凍える様な冷たい美貌だ。

 この女性に対しては、身を飾る宝石よりも、血が滴り落ちる剣を持っている方が美しいと、誰もが思う美貌だ。


「うふふふふふ。」

「誰だ?」

「うふふふふふ、あは、あははははは!」

「誰だ!」

「感謝するぞ、人族の少年よ。忌々しい拘束から、やっと解き放たれた。」

「……」


 どんどん魔力が膨れ上がっていく……


「感謝の気持ちをどう伝えようか……」

「……くっ。」

「苦痛無き一瞬の死か? それとも剣を握っておるのだから、戦いの中での死か?」

「……」

「……やはり、なぶり殺しが良いな。」


 そう言った瞬間、更に魔力が膨れ上がり突っ込んで来て、戦闘が始まった。



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