自分の作った宗教を流行らせて世界を征服するゲーム
兄貴から新しいPCゲームをもらった。
その名も『救世主』。
自分が作った宗教を流行らせて、世界を征服するゲームだ。
最初はなんて罰当たりなと思ったが……やってみると意外と面白い。
ウィルスを拡散させるゲームがあったが、あれに似ている。
要は思想をいかに流行らせるか戦略を練って遊ぶゲームだ。
宗教と一口に言っても、様々なタイプがある。
一神教、多神教。
偶像崇拝とそれを禁止する宗教。
あがめる対象も炎、水、風、大地。
救世主や預言者、目に見えない絶対的存在。
色々と設定できるので面白い。
舞台は架空の地球。
様々な形の大陸、気候、地形。
好きな場所からスタートできる。
なぜか必ず、日本的な島が存在しているが、俺は絶対に選択しない。
島スタートって必ずと言っていいほど詰むんだよなぁ。
このゲームはほかの宗教に負けないよう、様々なスキルを獲得しながら、勢力を広げていく。
そのため、他の地域とのつながりが断たれた孤立した場所だと不利になるのだ。
ゲーム序盤は勢力下においた国々から信徒を招集し、他国を侵略して勢力を広げる。
ここで躓くと中盤以降苦戦を強いられる羽目になる。
俺が選ぶのは砂漠のオアシスか川に近いところ。
必ずそこでスタートする。
砂漠スタートにすると、攻撃性+のボーナスがもらえるのだ。
攻撃性の高い宗教は、他民族に対しての侵略度が上がる。
ゲームスタート初期はできるだけ他民族を吸収して勢力を広げなければならないので、このボーナスはありがたい。
強敵となるのは熱帯地域の多神教。
こいつらは意外としぶというえに、繁殖+のボーナスが入っている。
他の宗教と比べて人口が増えやすいのでゲームスタート初期は強敵となる。
草原地帯の宗教も手ごわい。
こいつらはほかの宗教のスキルを吸収する特色がある。
気づいたら大陸全部占領されていた、なんてことがざらにある。
また北方の寒冷地域の多神教もなかなか強い。
こいつらは攻撃性の他に防御特性も上がっている。
一気に攻めるのはなかなかむつかしい。
一神教と多神教どちらが有利かと言えば、侵略性では圧倒的に一神教。
勢力下にある国々の民衆を扇動して十字軍的な集団を組織し、他宗教の勢力下にある聖地を無理やり占領できたりする。
うまく行けば中盤に十字軍遠征を乱発して勢力を一気に広げられるのだ。
勢力下においた国々が発展していくと、伝道師を派遣して直接他の勢力の地域へ自分の宗教を伝えることができる。
伝道師は軍隊と違って他国への侵入が容易なため、手軽に布教活動ができるのだ。
また、他にも貿易や探検家を派遣して布教をすることも可能。
経済的に有利になるには、初期の段階で「教育」や「哲学」などの系統のスキルを伸ばしておく必要がある。
攻撃性ばかり高めていると後で痛い目を見る羽目になる。
このゲームで最も重要な選択は、やはり「偶像崇拝」を禁止するか、否かだろう。
偶像崇拝を禁止すると「思想統一」が容易になる。
これは唯一神の「仕様」の統一が容易になるため、信徒たちの意思を一つにしやすいのだ。
加えて、多神教かつ偶像崇拝を選択した場合と比べて、非常に攻撃特性が高まる。
序盤に攻撃性以外のスキルを伸ばせるので、中盤以降の展開を有利に運びやすい。
そして……死後の世界。
こちらでどんな世界を作るかで、信徒たちの特性も変わってくる。
一番のおススメはやはりハーレムだろう。
死後の世界で「ハーレム」を選択しておくと、より攻撃性を高めることができる。
死んだ後に幸せになれる思想を信徒に与えることで、戦いの恐怖心を薄れさせるとかなんとか。
説明書にもそう書いてある。
ただし、この選択をすると、近代以降で「陳腐化」の憂き目をみるので、ご利用は計画的に。
俺は砂漠スタートの一神教でいつもプレイしている。
北方から攻めて行って、そこから全世界に植民地を作り、世界各地の住人たちを根こそぎ改宗させていくのだ。
多神教を選択した地域の住人は教化しにくいが、出遅れた一神教の国々の国民たちは容易に改宗させられる。
武力で圧倒してしまえば攻略もたやすい。
最終的にラスボスになるのは、同じ砂漠地帯からスタートした一神教だろう。
そして同様のスキルを獲得していると手ごわくなる。
特に経済系のスキルに重きを置いた宗教は強敵になりやすい。
できる限り駆逐したいところだ。
何気に島国スタートの多神教も手ごわい。
こいつら、最後の最後まで抵抗するからな。
島国の宗教は近代に入ってから急に勢力を伸ばして、逆転されることさえある。
特に「芸術」に全振りした場合は要注意だ。
なんでも「HENTAI」なるスキルが、世界中の人々を魅了するとかなんとか。
このスキルを獲得した島国多神教は真のラスボスとなり得る。
俺は何度もプレイしたが、結局は同じセオリーに落ち着いてしまった。
もっと他のプレイスタイルを試したいものである。