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闇からの銃弾
その日はひどい豪雨だった。私は偶々勤務を終えて帰宅途中の時、その男は現れた。ロングコートを全身にはおり、傘も差さずに只々、私の目の前に立っていた。話しかけても何も話さない彼を乞食だと思っていた私は咄嗟に千円札を手渡した。すると男は右ポケットからある物を取り出した。それは紛れもなく拳銃だった。俺は透かさずそれを取り上げようとしたが、その銃弾は閃光のように速く避けれる術がなかった。一発の銃弾を浴びた俺はその場で倒れこみ、意識が薄れていく中で男は俺の手元から千円札を奪い、薄暗い闇の奥へ去っていった。これで全てが終わったと俺は悟った。二十年間の警察人生の末路がこれかと思うとあまりにも不甲斐ない。