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第八話 分かったこと

 翌日。

 起きて早々、結局寝不足になった頭でぼんやりと考える。


――月影 朔と名乗った少女……いや、少年について。


「男だったってことは、この寮のどっかにいるんだよな……」


 第13期生。

 影者討伐隊には現在第13期生まであって、その13期生。


「でも会ったこともないし、そもそも訓練学校でも見かけたこともないんだよな」


 もし同期だったら絶対どこかで出会うはず。しかもあんなに美人で男なんてオプションが付いてたら、噂になっていておかしくない。けど、そんな話は聞いたことがない。


 プラス、影者討伐隊の教育施設として訓練学校(影者討伐隊員として働くために、銃の使い方や基本的な戦法、影者の仕組みなどを学ぶ)というのがあって、同期だったら確実にそこで出会うはずなのだ。

 だって、後に同期となるメンバーは、同じクラスで授業を受けるから。


「同期の可能性は低い、として一体なんなんだろう……」


 どれだけ考えても分からなくて、俺はベッドの上で転がり、ため息をついた。

 何度も超絶美少女――実際その通りだけど――と自分で名乗った謎の少年。なんかもう文面だけでも意味不明だから、別に正体が分からなくたって、なにも問題はなさそうだし。


「それよりも、今は魔法、かな」


 魔法の方がよっぽど大切だろう。だって、今後任務で使う可能性だってあるし。

 影者のボスを倒すときには、ほぼ確実に使うだろうし。

 でもやっぱり、昨日以外に魔法に時間を割けられる気がしない。魔王エンカウントのときにたくさんの討伐部隊の隊員が亡くなってしまったから、その分任務が目白押しだし。まだ、補充の人が来ていないから。


「魔法はもっと練習しないと不安なんだよな。できるとしたら、ノートとかにコツまとめてみるくらいだよな。あと、謎に自然に備わった影者レーダー。レーダーは、使えそう」

 

 レーダーは、言わずもがな、突然影者の居場所が分かるようになった能力のことだ。たぶん、あの意識を失っていた1週間の間に体が変化していて、それで備わったんだろうと思っている。まだちゃんと感覚をつかんでいないから、今日からの任務で試したり磨いてたりしてみるつもりだけど。


「それにレーダーの能力を使ったら、ボスの居場所も分かりそうだし」


 魔王は影者のボスの居場所を教えてくれなかった。つまり、北海道から沖縄まで、ボスがどこにいるか分からないわけだ。さすがに、俺がいる東京から離れすぎた場所にいるってことはないだろうけど。

 

「でもこれで、格段に見つけやすくなるはずだ。できるだけ早く見つけて、攻略しないとな」


 天井に向かって、手のひらを突き上げてみる。

 カーテンから差し込む光が、集約されるように、そこに集まった。

 


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