友と共に…
シュクレと仲間になりとりあえずもう一度リビングロットの殻を被った。動けるようになるのもあるが擬態になってみたのだが、なんと言うかガサガサとしていて着心地が悪くなっていた。ニ度使うものでは無いようだった。まぁ着ないよりマシぐらいの感覚で中に入った。
『そういえばさ、さっき何か虐められてってゆうてなかったか?』
『あっ……はい。メロウモモンガの中でもぼくは出来損ないで……甘い香りを上手いことだせないんです。メロウモモンガはサークルで活動するので餌も分け合ったりするんですが……ぼくは……殆ど狩れなくてお荷物だったんです』
シュクレはもふもふの身体を更に小さく縮めて自信なさげに話を続けた。
『同時に産まれた兄弟たちは僕のことが大ッ嫌いで、たまたま狩りに来たときに玉蟲の巣に噛まれて突き落とされたんです。もう僕は死ぬんだって覚悟した時に……勇太さんが助けてくれて……』
『そうやったんか……よう頑張ったな。まだお前のこと分からんけど、嫌いじゃないで』
『あ……ありがとうございます』
『あ、あとさその敬語止めてくれへんかな。もう友達なんやろ?なっ?』
『は……はぃ……いぇ……ありがとうございます。でも多分僕ずっとこの喋り方なんでなかなか取れないかもです』
シュクレは胸に温かいものが広がっていった。
まだ何者かもわからない、しかも前世はあの凶暴なヒトの生まれ変わりらしい勇太。でも流れ込んでくる彼からの波長はとても心地良かった。本当に裏表なく自分に話をしてくれている。そんな気がした。
『あ!勇太……なんか恥ずかしいですね。へへ。これからどうしますか?とりあえず遺跡を出て地上にいきます?』
『せやなぁ……地上かぁ……うん行ってみようぜ!冒険やな』
『そうですね!じゃあ僕の首に捕まってください。走って遺跡をぬけるので……勇太の足じゃ日が暮れそうだし』
『しゃあないやんか……まぁまた寄生できるもん見つけたらしてみるわ』
そういってシュクレの首に手を回した。シュクレは勇太をおんぶする形で遺跡の中を激走し地上を目指した。かなりの距離を走ったとおもう。
シュクレと勇太は美しい泉がある石の小部屋に行き着いた。そこには綺麗な澄んだ水が湧き出て水路を流れ落ちて循環していた。緻密に計算された人工的に造られた小部屋だった。
ステータスボードをかざし、ここは何なのかしらべてみた。
《知恵の泉Fountain of wisdom》
『知恵の泉?』
『え?なにか言いいましたか?』
『あ、あぁ。何もない』
ステータスボードの話をしようか迷ったがどう説明すれば良いのかわからず、スルーする事にした。それが後ほどややこしいことになるのだが、いまの勇太がそれを知ることは無かった。
『勇太!あれ……』
『な…っ……なんや!あれ!』