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仲間との出合い

『やべぇ……この足じゃあ早く逃げれねぇ……』


『ぁ……あの……』


『!!!?』


自分以外の声が頭に響いた。


『え!? おまえ……喋れるんか?』


『はい、テレパシーが使えます……僕……仲間に嫌われてて……虐められて玉蟲の巣に突き落とされて……』


『あっ! 詳しい話は後に!! 玉蟲ですが僕に考えがあります。あなたリビングロットですよね?だったらその頭に生えているきのこを投げてください。切り離すと玉蟲の気分が良くなって上手く行けば眠りにつくかも知れません』



『俺はリビングロットじゃ……ってまぁ今はそうか。やってみるわ!』


そう言って自分の頭に生えたきのこを切り離し玉蟲の近くに投げ捨てた。


するともぞもぞと動き出した玉蟲から長いドロドロした触覚が生えてきてそれをちょんちょんと触りゆっくりと吸収していった。次第に動きが鈍くなり眠ってしまったようだった。


その間に毛玉を掴み急いでその場を離れた。




✛✛✛✛✛✛✛


角を曲がりまっすぐ突き進んでいくと少し開けた広場の様な場所に出た。もう大丈夫かと思い、傷口を労るようにそっと毛玉を床に下ろした。


『ひとまず危機は脱出したようやな』


『ですね。あっ……先程は本当にすみませんでした。意思疎通できるリビングロットがいるとは思わなくて』


『いや、俺はリビングロットじゃないねん。……ほら』


そう言ってリビングロットの殻を脱いだ。


『えっ……えぇぇぇ!!そうだったんですね。植物?ですか?』


『あぁ。そうみたいや。生まれ変わったら種になっててさ』


『生まれ変わり。じゃああなたは前世があるんですね』


『あぁ。前世は人やったんや』


『!!?』


毛玉はぶわっと毛を逆立てた。怪訝に思い問いかけるとその訳が分かった。人はこの世界にも居るらしい。だが、その性質はとても凶悪であらゆる物を快楽的に殺し、奪い尽くす……この異世界の生物界の頂点に立っているらしい。



『す……すみません。本能で……』


毛はぶわっと逆だったままだが耳を下げて謝った。


『いや……えぇよ。前世の人間も似たようなもんやったからな。おれもめっちゃ善人かて言われたらちゃうとおもうし』


『いぇ……あなたは……違う気がします。あっ…遅れましたが私の名前はシュクレと言います。種族はメロウモモンガです』

挿絵(By みてみん)

〘【メロウモモンガ】メロウモモンガは、ネズミ目リス科リス亜科モモンガ族に属する小型哺乳類。滑空によって飛翔する性質を持つリスの仲間。前脚から後脚にかけて張られた飛膜を広げて滑空する。果物が熟したような甘い香りの唾液で虫を引き寄せ獲物を捕獲する 〙〘一部wiki参照〙



『おれは、勇太や。とりあえずやっと歩けたから色々見て回っとったら出くわしてしまった感じやねん』


『そうだったんですね……』


『あっせや、ちょっと動かんとけよ』


そう言って葉っぱを動かしシュクレの傷口に液体を垂らした。リビングロッドを吸収した際に傷を治せる液体を精製できるようになっていたからだった。


パァ……っと傷ついた足が緑色に光りだんだんと傷口が塞がっていきやがて全く無くなった。


『!!?』


シュクレは傷ついていた足をゆっくりと動かしぴょんっと跳ねてみた。


『痛くない……ありがとうございます』


『いや、ええって……』


なんか自分が役に立てたことが気恥ずかしくぶっきらぼうに答えるとシュクレはクスクスと笑った。


『勇太さん……良かったらでいいんですが……ぼくと友達になって頂けませんか?』


『友達……』


この世界に生まれ変わり誰とも喋らない生活は地味に勇太にストレスを与えていた。そんな俺に喋ることができる友達が……


『あっ……いやなら……その……べつに……』


『へっ? い……嫌じゃない!!なろうぜ、友達に。よろしくな!シュクレ』


『は、はい!! うれしいです!』


《メロウモモンガが仲間になりました》


ステータスボードに初めてになる嬉しい一文が表示された。



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