新芽は柔らかい
ちょこんと生えた若葉が可愛い。なんか俺イケてるんやない?などと馬鹿なことを考えていたからバチがあたったんかな?ははは……。
......なんかおる。
ゾワッゾワッっと何かが蠢いていた。
なんや? ネズミ? いや……なんか生えてる? まぁここは地下やからいてもおかしくは無いけど、今来られたら俺結構やばいかも。種なら硬い皮に守れてたけど、いま新芽やからめっちゃ柔らかいし。お願い気が付かないでぇ。
ひとまずあのゾワゾワネズミぽいの何か調べんとあかんな。
《リビングロット【生屍ゾンビきのこ】子囊菌類のきのこの一種で、ネズミに寄生した菌糸から地上に子実体を作る。きのこ部分は滋養強壮になる》【一部wiki参照】
『あのネズミに生えてるのがきのこか……うわぁめっちゃキモいやん。俺きのこ好きやけどあれはむりやぁ……』
リビングロットは数匹居るようで、ゆっくりとはい回っていた。
その中の一匹がこちらに向かってきている事に気が付き、身構えたが自分にはどうしょうもない。
ステータスボードを見つめ、この危機を脱するためのヒントが無いか急いで探した。
スキルは吸収、綿毛浮遊、帯電
綿毛浮遊はこの狭い遺跡内では意味がないな。
帯電も命の危機が迫った時だけという発動条件だし……。
やっぱり吸収だけか…でも襲われた時に攻撃できない。
あっ!そういやツェルラットの胃酸に晒されたとき酸を生成って言ってたな?
せやけど…どうやれば良いんや?
色々とヒントを探している時に、何気に葉に落ちてきた砂が気になり払う仕草をすると、勇太は自分が葉っぱを自由自在に動かせることに気がついた。
『酸を生成して葉の葉脈を通して振れば少しだが攻撃できるかも知れへん』
酸を作るイメージをし、それを葉脈に伝わせた。
リビングロットがもう目の前に来ている。一か八かや!
『今や!』
ぶんっ!と葉っぱを振ると酸がリビングロットに掛かりシュウゥゥと白い湯気のようなものが立ち、動きを止めダメージを与える事に成功した。
『よっしゃあ!効いとる』
動きを止めたリビングロットに素早く茎を伸ばし吸収してみた。
『うっわぁ……まっず。風邪の時オカンに無理やり飲まされた漢方の味や……おぇ……』
《リビングロットを吸収成功》
《経験値15獲得》
《吸収力20上がりました》
《攻撃力4上がりました》
《守備力-10下がりました》
《スキル腐敗を獲得しました》
《特殊スキル滋養を獲得しました。傷薬精製が可能になります》
《レベル5に上がりました》
『あ……味はともかく色々上がったから良かったんかな』
完全に吸収仕切るとリビングロットの殻のようなものだけが残っていた。
《リビングロットの殻を手に入れますか?》
◇ はい
いいえ
『殻…あ、擬態できるんかな?まぁええわ、貰えるもんは貰うのが俺やからな、ハイや』
はい を選択するとピコンっとステータスボードが光った。
《リビングロットの殻とったどー!!擬態寄生ができるどー!! 》
〘勇太が説明しないので説明しよう。寄生とは一つの生物が、他の生物についたり内部に入り込んだりして、そこから栄養を取るなどして生活することである〙【一部wiki参照】
『は?なんでいきなり口調変わんねんコイツ……なんかムカつくわぁ……で、何々、へぇ……やっぱこん中に入って擬態できるんか。面白そうやんけ』
勇太はワクワクして早速入ってみる事にした。