落ちた先は
『星て……なんや?今まであったっけ? こんなん』
星の意味を調べようとした時だった。ビシッとなにか石が割れる様な音がしたかと思うと、勇太が埋まっている真下に大きなヒビが入った。
種なのもあり勿論掴まる手もある筈もなく、そのままひび割れた隙間にコロンと転がった。
『な……!? なんや……ここは、遺跡? 』
本当にゲームに出てくるような石の遺跡に囲まれている空間に勇太は落ちたみたいだ。ステータスボードが点滅している部分にどうやらここの名称らしきものが書いてあった。
《バズグラッドの遺跡》
遺跡か…モンスター的なものも出て来そうな雰囲気がある。
どちらにしても種なので動くことは出来ない。周りに自分の栄養になりそうなものが無いかと見渡してみると、湿っているレンガに無数の金緑色に光る苔が生えている事に気が付いた。それはとても幻想的で思わず見惚れてしまった。
『光る苔?』
《光蘚【ヒカリゴケ科】ヒカリゴケは、ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属のコケで、1科1属1種の原始的かつ貴重なコケ植物である。その名が示すように、洞窟のような暗所においては金緑色に光る》〘1部wiki参照〙
ステータスボードの説明欄を読んでいるといきなり有り得ない痛みが走った。
『うっ……ぐぁ……はぁ……なっ!なんや?いきなり身体が割れそうや…っ』
身体を引き裂かれる様な痛みが身体全体を覆い尽くした。
ピッ……ピキッ……ビシ…
種に亀裂が走った瞬間!!! その中からにゅっと何かが生えた……。
『あっ……これは……そうか!! 芽が生えたんか! 』
新芽が生えた事によりなんだか先程まで死にそうなくらいだった痛みが嘘のように爽快な気分に変わった。
その時ステータスボードがピコンっと鳴った。
《発芽しました》
『いや、それもうちょい早うゆうて?ほんまあの蟹のせいか?腹立つなぁ…』
誰に言うでもなく毒づくきながら、伸びた新芽を眺めた。
『種ってこんな気分なんやなぁ……むっちゃ痛いやんけ。尊敬するわ……死ぬかとおもたわ。産まれるって大変なことなんやな』