空の旅
飛ぶ……飛ぶってええなぁ。地に埋まってたら一生経験せんことやしなぁ。異世界の空……へぇ、ジャングルみたいなとこやとおもったけど、見たことないような木もあるし……あっ! あれなんや? きょ、恐竜……違う、ドラゴンか!? めっちゃいっぱいおる……すっげぇぇ!! まじもんのドラゴンや!
ふわふわと風にのり浮遊していると空の雲行きが怪しくなってきた。どんよりとした黒い雲で覆われたかと思うと、地上にいたドラゴンたちが一斉に吼えた。
すると地響きの様な振動が空気にまで伝わりビリビリと綿毛を震わせた。
『な……なんや? なにが……』
と勇太が周りを見回すと黒い空から雷があちらこちらに落ちだした……。
ドラゴンたちはその雷を浴びて帯電し綺麗な蒼色に光っていた。
《ドンデゥルス【雷鳴竜】群れで生息し主に中型の獲物を餌にしている竜。性格は獰猛。雷を帯電させる行為は求愛行動。より蒼く光る雄に雌は引き寄せられる。帯電させた身体の電力は100万ボルト以上の威力で他の生き物を寄せ付けない。番になった雌がその帯電した状態のオスと交尾をして卵を産む。産まれたばかりの卵は帯電している為外敵から守られる》
『ほぅ、あれは求愛行動やったんか〜……派手やなぁ……でも異世界に来て一番テンションあがったかもやなぁ。ドラゴンとかゲームの世界だけの夢の生き物やしなぁ』
ちょっと待てよ……こんたけアホみたいに雷おちてたら――や、やばいんじゃ……。
勇太がそう思った時だった。ピシャーン!!
勇太に雷が直撃した。
《雷が直撃!》
《ダメージ10》
《綿毛が焦げ落ちました》
《経験値5獲得》
《雷を吸収しますか?》
◇はい
いいえ
『そんなん……はい、や! とりあえず何でも吸収してみよ!』
勇太は迷わずはいを選択した。
すると雷の電気は種の周りをパチリパチリと纏付き徐々に種に吸収されていった。
『なんかピリピリする。なんか……この感覚どっかで。。あっ! オカンに正座させられた時の足の痺れや……』
懐かしい感触にほのぼのしていると、ステータスボードに文字が浮かんだ。
《雷を吸収》
《スキル帯電を獲得(但し帯電は身の危険を感じた時のみ発動)》
ふ〜ん。 そう言うスキルもあるんやなぁ。
……。
てゆうか……俺……おちてるぅぅぅ!
そう。先程綿毛が焦げ落ちてしまった為浮遊が出来なくなっていた為だ。
シュルシュルとすごいスピードで勇太は落下していた。下を見てみるとそこは先程いたドラゴンたちがいる場所を少し離れて沢山の樹が生い茂っているジャングルの様な場所だった。
『とりあえず俺は種や! 死にはしないはず……』
《落下スピード加速》
『いや! そんなんわかっとるわボケェ!! 余計怖いやんけ! 』
あぁ……地面がみえた……と思った瞬間。ドシュ! あ、埋まった。
勇太は土に思いっきり沈んだ。
落ちてきた穴を見つめるとだいぶ深くまで沈んだのか空が遠くに見えた。
『まぁ……とりま落ちて無事やったし、埋まったから種的にはいい事やな』
うんうんと心の中で頷きながら、ステータスボードを見つめているとあるアイコンが増えていることに気が付いた。
【種族】 種
【HP】 30
【吸収力】 8
【防御力】 58
【攻撃力】 2
【変化】 モモチの実とフュージョン
【レベル】 4
【経験値】 19
【スキル】 吸引 粘着 酸性の液体生成 綿毛浮遊 帯電
【★】
星?