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乞食豚回顧録  作者: 早漏軒 法渓珍法老師
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その7 ~性欲に支配されし豚

拘置所では男性の懲役の人は問答無用で丸坊主なのだが未決や死刑確定者は丸坊主にする必要は無い。


拘置所内で髪を切る事は可能で調髪は有償と無償と2つある。

有償の方は本物の床屋さんが出向いて髪を切ってくれる。流石に染めたりパーマかけたりは無理だがもちろんプロなので仕上がりは抜群である。


無償の方は理髪師の訓練を兼ねて懲役の人が髪を切る。素質が有ったり過去に働いていた人に当たればラッキーなものだ。

中には調髪を断り仙人みたいに伸ばしたい放題伸ばしている人も居るが。


及川は「病気の犬」みたいな髪だったり、ヘルメットと呼ばれたりと髪型には無頓着のようだ。

いっそのこと丸坊主にしてしまった方が衛生面にも良い。

先日の「高圧ホースで強制洗浄」が有った位に不潔極まりないが本人は無償の調髪ですら断った。


相変わらず汗を垂れ流しながらトドのように寝そべっている及川。

「鬱だポン…」と独り言を呟く及川。刑務官は長期間の拘禁による症状だ、と気にも留めなかった。


すると及川は自分の股間に手をやり自慰をおっ始めてしまう。

多分、自分が玩具にして殺してしまった3人の女子小学生をイタズラしているシーンを脳内再生しているだろう。

これを見た刑務官が房の鍵を開けて及川に蹴りを入れた。

「昼間から何やってんだお前!」と怒号を飛ばす刑務官。これに及川は「寂しいポン、辛いポン」と支離滅裂な返答をした。


「こいつ、壊れたか…?とにかく昼間からマス掻いてんじゃねぇよ!次やったら懲罰だぞ!」刑務官は及川に次自慰をしたら懲罰にかけると警告して房を出て鍵をかけた。


この日を境に及川は刑務官達を理解に苦しめさせるような奇っ怪な行動に出る事になった。

明らかに精神が壊れたら刑の執行が出来なくなるが大半は「偽病」と切り捨ててしまう。


先程及川に蹴りを入れた刑務官が上司に報告をする。「反省の色が無く、最近はトドのように寝そべってます。今日はセンズリまでやり出したので蹴り入れました…。」

報告を聞いた上司は及川を要注意でマークするように指示を出す事にした。


拘置所では各房にラジオのスピーカーが設置されている。とは行っても周波数はもちろん音量の設定は房の中からは出来ない。

音量の設定は刑務官に願い出て調整してもらうのだ。

流れる内容も予め拘置所側が録音したモノを編集して流すので時間感覚すらおかしくなる。

たまにだが生放送で流す時もある。野球中継や大晦日の紅白歌合戦とかは録音ではなく生で流す。

大晦日以外は21時には放送を打ち切ってしまうので野球中継が長引くと試合が終わる前に就寝の時間になってしまうのもしばしば。


大晦日のみ午前0時半まで延長してくれる。ゆく年くる年を流してから就寝となる。


だが及川は公判でも指摘や非難をされた異常な性欲によって感情のコントロールが不十分である。

ラジオで何が流れようが興味は無い。

強姦、今では「強制性交」さえ出来れば良いと言う畜生にも劣る感情が丸出しなのである。

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