春太郎、男修行の旅に加わる
船の中でも博打かよ。
船の中でもキナ臭い連中が、さあはったはったと威勢の良い声をあげている。
鎌ちゃん達ももちろんそこに参加していた。
1枚1枚と、脱がされていく蝶太郎を不動はお前、もうやめとけよ!と止めている。鎌ちゃんと太郎は面白いものを見るようにニヤニヤ見ていた。
あと1枚脱いだらもうフンドシしか無くなるってところで、不動はもう限界を迎えてお蝶を連れて出て行った。
それを細かく見ている1人の若い衆が居た。
不動の逆にはるとなんだか知らないけどめっちゃ勝っている鎌ちゃんと太郎は、これがイカサマ博打であることがわかっていた。さあ、どうしよう。次は自分たちがハメられる番。
しかし、こんな着物、、、よくありますね。
さっきイカサマ博打を真剣にみていた若い衆が兄貴衆に聞いている。
見ればその着物、紫の生地に白い大きな花がいくつか並ぶように描かれている。
自分に羽織ってみた若い衆はその着物から臭う甘い匂いにこれまたびっくりする。そして、その着物を着ていたであろう人を見て思った。
これから蝦夷へ迎えば、めちゃくちゃ寒くなる。イカサマ博打ばっかりやっている兄貴衆にも嫌気がさしていた。ここいらあたりで潮時か。。
次に止まる船着場がそろそろ見えてくる。なんとかならんものか、、、。
そこへ丁度やってきたお役人がいた。どこから乗り合わせていたのかわからないが、若い衆に、あの兄貴衆たちを捕まえたいのだが、ちょっと協力してくれる?
というので、2人は協力してその博打の際に騒ぎたて、無事兄貴衆たちは船から降りて番屋へしょっぴいて行かれたのだった。
あとに残ったその土場で、若い衆は不動たちに言いました。俺を子分にしておくんなせえ。と。そしたら鎌ちゃんが言いました。俺、子分は取ってねえんだ。兄弟分ならなってやるよ。名前は?
春太郎っていいます。
ほんじゃま、春太郎か。よろしくな!あ、これ、太郎で、こっちが不動。こいつがお蝶だ。みんな俺の兄弟分だからよろしくな。
はい!よろしくお願い致します!
蝦夷へ向かうならほら、さっきの着物、ちゃんと着ないと凍えて死んじゃいますよ。
お蝶は、そうなの?そんな寒いの?まだ9月だけど?寒いの?ねえ、不動、寒いの?
なんで俺に聞く?
え、だってさっき、俺が温めてやるから心配するなって言ったじゃないか!
そんな事、言ってない!
じゃあなんて言ったの?と鎌ちゃんが聞くと不動は言った。お地蔵様の服借りてやっから安心しろ!お前お地蔵様くらいだから。って言ったんだ。
なんじゃそれ!
ちっちぇな。服めちゃくちゃちっちぇわ。入るんかそれ!
お蝶が喚くのをみんなは黙って見て一言、声が揃った。
めちゃくちゃ似合うだろ。
鎌ちゃんの旅も、なんだか人数が増えて楽しくなってきた。
さっ、もうすぐ蝦夷と土地、どんな事が待ち受けているのやら、、、
楽しみしかない。
船の博打で儲けた金はどこいった?ないっぽい。