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作者: mm

絵を描く人には、だいたい二種類いる。


想像に身を任せ、「これだ!」という直感で絵を描くタイプ。


理論や図法なんかの知識に基づいて、現実的で理想的な絵を完成させるタイプ。


昔いたKくんは後者で、僕は前者だった。


僕らは美術部に所属していて、ともに作品を様々な作品展に出品することも少なくなかった。


その時はとても楽しかった。


手段は違えど、「理想」を「絵」という形で表現し、誰かに伝える。


そういった意味ではKくんと僕は似た者同士で、通じ合った。


でも、評価されるのはいつもKくんだった。


評価を求めていたわけではない。ただ、理解してほしかった。


でも、理論的に整合性のとれた彼の絵と、感性の赴くままに書き散らした僕の絵とでは、見るものを圧倒する力が違った。


美しいんだ、マニュアル通りのほうが。


理解しやすい。そこには伝えたいことを表現というフィルターに通しただけの結果のみが描かれていて、他人の感受性を揺さぶるための仕掛けが意図して盛り込まれていた。


彼に嫉妬していたわけじゃない。彼を揶揄しているわけじゃない。


ただ、なぜ僕のやり方は理解されないのだろう。そう思った。


ずっと考えて、僕が出した結論。


評価を気にしなければよかったんだ。


最初は伝えたかった。でも次第に他人の目に触れるような機会が増えて、褒められるのがうれしくなった。


同時に、理解されないことも多くなった。


気づけば評価を気にし、楽しさを失っていた。



いま、僕は誰の目にも触れない場所にいる。


誰にも干渉しない、一人の世界でこれを書いている。


今後誰かがこの文を読み、評価する確率は無に等しいだろう。


だから、もう一度始めようと思う。


書くことを。

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