#4:絶対に倒せないスケルトン
第4話目です!
急な連続投稿です。
5/12訂正 伊藤のパーティメンバーにいる荒井とは荒井先生のことです。
混乱させてしまって申し訳ありませんm(__)m
翌日、再びダンジョンに潜った勇者たち一行は1時間ほど戦った後ついに第2層に行く許可が降りた。伊藤やほかの男子は相変わらず、美涼や瑠光、愛月にナンパを仕掛けていた。たいていの男子には、
「あなたなんかに守って貰う必要なんてないから」
と美涼がバッサリと言うのだが、簡単にはいかない奴らもいる。Aランクの武田だ。Aランクに4人全員のいわゆる非モテグループがある。別に顔はイケメンなのだが、性格があれなので少々めんどくさいらしい。小笠原は美涼が、上杉は瑠光が、武田は愛月が好きらしく、何度もしつこく誘っていた。ちなみに橋本だけは唯一このグループの中で常識人だ。だが、周りにこいつらがいるせいで、近づきたくても近づけないと前にクラスの女子の誰かが言っていた気がする。他の2人はバッサリと断れるのだが、愛月はその正確故になかなか上手く断れなかった。
「愛月ちゃん、こいつなんかといないで俺と一緒に行こうよ」
「あの、えっと......ごめんなさい」
「ん?いいから行こうぜ」
こいつには意味が伝わっていないのかと思い、俺は愛月がこっちを見たので助けにいこうとしたら、美涼が武田に近づいていき、
「武田さん、その辺にしなさい、愛月さんが嫌がってるでしょう」
「そうそう、人が嫌がることをするなんて、サイテーよ」
武田は美涼だけではなくあとから来た瑠光にも言われたため、
「俺は諦めないからなー」
と言い残して走り去っていった。橋本がこちらに来て、
「俺の仲間がすまない、後でしっかりと言い聞かせておく」
と頭を下げると追いかけていった。やっぱりあいつはいいやつだ。なのになぜあいつらと行動するんだろうか。
伊藤もこちらに来ようとしていたが、パーティメンバーの丸山に引っ張られて2階に行った。荒井先生もため息をつきながら追いかけようとしたのだが、ほかの女子を止めるのに精いっぱいそうだった。
そして勇者たちとティーシャ王女の騎士たち、それにサーシャ王女とフィーシャ王女がおりたのを確認した後、俺は疲れたと言ってその場に腰かけた。そして3人に説明をした。俺が聖なる勇者であること、そしてステータスを偽造していること、ステータス神化によって俺のステータスとパーティメンバーのステータス上昇値が以上に上がっていること、そしてなるべく力を抑えてほしいということ。3人とも驚いた様子だが納得してくれた。
――
ヒカルはやっぱりすごかったのね。私は学級委員をやっていて人助けをするけど、そんな肩書きがなくても助けてくれる。せっかくこの世界に来て、あの時の恩を返したいと思っていたのに。この世界でも守られてばっかりなのかな。いやヒカルの実力に追いついて見せるわ。そして....
――
ヒカル...まぁさすがにあのステータスはないとは思ってたけど。それでもこんなに強いなんて思ってなかった。でもあの場でよくそこまで頭が回ったなぁ...と思った。さすが、やっぱりヒカルはあの時私たち3人を助けてくれた時のように、この世界に来ても普通にふるまっていたけど、やっぱり怖い。でも、ヒカルなら守ってくれるよね?
――
ヒカルさんはすごいです。そんな強い力を持っていながら黙って、頼ってくれなかったのはちょっぴり悲しいですが、ヒカルさんの考えがきっとあるんだよね。ワタシはこの世界に来てからとても怖かった。聖女とか女神とか天使って呼ばれていて可愛いと言われているけど、そんなのに興味はないです。ヒカル君あなたのそばにいていいですか?そしてあなたに可愛いと言ってもらえる日を目指します。
――
真実の一部話した後、俺たちはクラスメイト達を追いかけて下に下がっていった。
そのあとクラスメイトと合流し、俺たちもレベル上げに参加した。しばらく戦っていたあと。奥のほうから騒がしい声がした。
フィーシャ王女が突然勇者たちに言った。
「あれはスケルトン?なぜ人間に敵対を...いけない皆さん逃げてください!」
そんなことを言っている間にティーシャ王女の騎士たちとサーシャ王女はすぐに逃げ出した。しかし、クラスメイト達は逃げなかった。そう、俺たちは侮っていた。スケルトンは弱いという固定概念があった。しかし、この世界ではそれは当てはまらない。俺たちはすぐに痛感することになった。
「みんな、相手は数が多くてもスケルトンだ。ビビらず1匹1匹倒していけ!」
「皆様方、お待ちください。いくら勇者さまとはいえ...」
フィーシャ王女の制止を聞かずに出した伊藤の合図のもとに、一斉に飛び出した。伊藤が剣を振り、荒井先生が弓を使って撃ち抜き、丸山がそこを槍で突く。少し離れたところでは小笠原、武田、上杉の3馬鹿、ナンパ野郎どもがポーズをいちいち決めながら戦っていた。俺たちは戦っていない。フィーシャ王女が制止した理由を探すべく遠距離から観察をしていた。伊藤のパーティメンバーである魔法使いの山本と、3馬鹿トリオの橋本も状況を見ていた。というか、山本はスケルトンに怯えていて、橋本の後ろに隠れていた。ほかのCランク勇者たちもスケルトンと戦っていた。なかには怪我を負うものが出てきていた。しかもこちらは1体も倒せていなかった。伊藤が声を荒げて問うた。
「ダメージが通っていないぞ!どういうことだ!フィーシャ王女!」
「スケルトンは聖なる勇者さまの持つ光属性のスキルか魔法でしかダメージを通すことができません。勇者様方はお逃げください。あなた様方はここで死んではならないのです」
クラスメイトの1人が吹き飛ばされたのを見ると伊藤が、
「逃げるぞ」
と言って一斉に逃げ出した。俺たちはその場所に残っていたが、
「あなた方も逃げてください、もう少しだけなら時間は稼げますから...」
俺はフィーシャ王女の戦いぶりにすごいと感じた。王女であるにも関わらず、俺たち勇者を生きて帰らせるために犠牲になることを選択したのだ。とは言ってもフィーシャ王女は盾で抑えている状態であり、装備でなんとか耐えている状態だ。あと1分も持たないだろう。この人なら王族でも信用できるんじゃないか、そう思った瞬間だった。そして俺は3人と目を合わせると3人ともうなずいた。どうやら俺の意図が伝わったらしい。
「さあ反撃開始だ」
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