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短編集

非常に遺憾ながら、今日も世界は。

作者: 砂上楼閣

もしも僕が他人の気持ちを察することができる人間だったら、今この瞬間を幸せに生きることができていたでしょうか?


人の気持ちに共感することができていれば、人生に彩りはあったのでしょうか?


どこか遠い場所で今も苦しんでいる誰かの気持ちを考えられない自分は人としておかしいのでしょうか?


涙を流す理由も知らないのに上っ面の同情をすることは悪ではないのですか?


そんなことをネットどころか携帯の未送信リストに書き連ねるばかりの僕は異常ですか?


◇◇◇


今日も1人屋上へと続く階段でパンを食む。


ひと昔も前に流行って今じゃ見かけなくなった携帯を無意味に開いては閉じる。


カートンで揃えたラッキーストライクの空箱はこの無機質な時間に彩りは与えてはくれない。


遠くで聞こえる足音。


小さなスリルに興奮できたのは3日まで。


今じゃ誰1人として来ない穴場を見つけたことに後悔すら感じる。


「あー、誰でもいいから見つけてくれ」


高校生にもなって始めた1人かくれんぼ。


結局鬼はなし。


見つかるわけがない。


そもそも探しに来るわけもない。


不良もつるまなければただの個人、個性。


迷惑をかけなければ注意もされない。


昼休みだけ煙吸って1人で黄昏ているだけのやつなんて、わざわざ教師だった探してはくれない。


「いっそ、髪でも染めるか」


予鈴。


空箱はポケットへ。


つかの間の逃避もここまでか。


今日もまた無遅刻無欠席、提出物忘れはありません。


非常に遺憾ながら、今日も世界は平和です。

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