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第六話 思い出の味

「あんたたちは、あの子のことをどう思う?」


 夜もふけた頃、明かりを落としたリビングで、エンジュは使い魔たちと向き合っていた。

 キャンドルの灯りに照らし出された影は、アライグマとナスの送り牛ではない。もっと別のものだ。


「あの子って、香月ちゃんのこと? 良い子だよ。最初に会ったときより、明るくなったしね」


 パスカルは無邪気にそう言う。本当にそうであると信じているようだ。

 けれども、ヨイチのほうはそれに対して頭を振った。


「明るくなったとは思わんでござる。あれは、面に出しておらんだけだ。あの子は取り繕うのがうまい。隠すのがうまい。最初に会ったときな#箍_たが_#が緩んどっただけで、それを締めなおせば今のように闇を内側に隠しておけるというだけのことだろうよ」


 楽観的に見ているパスカルとは違い、ヨイチは思うところがあるようだ。それを聞いたエンジュの表情は陰る。


「やっぱりそうよね。アタシも、まだあの子は闇の中にいると思うわ」

「闇があの娘の本質とは言わんが、根が深いものであるのは間違いないと思うぞ」


 視線も合わせずポツポツと言い合う二人に、パスカルは悲しそうな顔をした。


「香月ちゃんは良い子だよ。優しい子だよ。……これから少しずつ光の中で、人の中で生きていくことに慣れていけば、きっと大丈夫だよ」


 必死になって言うパスカルの頭を、エンジュは優しくポンポンと撫でた。


「確かにあの子は良い子だと思うわ。でも、あの子は長らくそうやって生きてきたから、本当の優しさから出た行動と、“こうすれば他者から優しいと思われるだろう”って判断してとった行動の半々なのよね。しかも、その自覚がないことが当人を苦しめてるのよ。たぶんあの子は、微塵も自分を優しいだなんて思ってないわ。むしろ、周囲に望まれて良い子を演じてる冷血な人間だとでも思ってるのよ」

「……そんなことないのに」

「厄介でござる」


 三人はそれぞれ、深い溜息をついた。それによって、キャンドルの炎が揺れる。


「オカマとアライグマとナスが集まって溜息ついたって仕方ないわ。……少しずつ、あの子が人間を好きにれるようにしてあげましょ。ちゃんと役に立ってるって、居場所はあるんだって思えるように」


 エンジュの言葉に、使い魔たちはただ頷いた。



 ***


 お茶の載ったトレーを手に、香月は応接室に入るかどうか考えあぐねていた。

 中からは、深刻そうな会話が聞こえてくる。ポンポンと会話が弾むというわけではなく、むしろ慎重に言葉を紡いでいるという感じなのだけれど、だからこそ自分の登場によって話の腰を折ってしまいそうでためらわれた。

 午前中の早い時間にやってきた人だから、おそらくこの店に慣れた常連さんなのだろうけれど。


「じゃあ、ヤエさんはもう長くないかもしれないってこと?」

「長くないって数日とか数ヶ月って話ではないんだけど、弱ってるのは確かよ。もう眠っているようなことが多くなって……。しかも、最近では小さな子供みたいになってしまって、自分が誰かも、私たち家族が誰なのかもわからなくなってしまったみたいで」


 会話の内容から、認知症を患ったご老人の話なのだなと推測できた。話しているのは娘さんか、お嫁さんか。

 冷めてしまっては美味しくないし、もしかしたらそろそろ飲み物が必要かもしれないと思い、香月は意を決してドアを開けた。


「失礼します」


 香月が入ると、エンジュが目顔で返事をしてくれた。タイミングとしては間違ってなかったのだとわかり、少しほっとした。

 四十代後半くらいの、疲れた様子の女性の前にお茶を置くと、彼女はすぐそれに口をつけた。それから、何かがほどけるように微笑んだ。


「美味しいわ。お母さんも、この店のハーブティーだけは飲んでくれた。もう今は子供みたいになっちゃって、飲まないんだけど」

「ヤエさんと妙子さん、お姑さんとお嫁さんなのに仲が良くて、二人してうちの店のお茶を愛飲してくれてたの」


 エンジュの紹介を受けて、香月は脳内の“お母さん”の字を“お義母さん”に改めた。


「お義母さんとは、むしろ実母よりも仲がいいくらいで……だからね、呆けちゃったのが本当に悲しくて」


 涙ぐむ妙子を見て、香月は何も言えなかった。同年代の人間の愚痴に対する軽口ではいけないのはわかっている。


「呆けちゃってお世話が大変なのが嫌ってわけじゃないのよ。ただ、子供みたいになってしまって、それが自分でも混乱することみたいで、見ていて可哀想なのよ。一度病気をしてから、ガタッと体調を崩してしまって、元気な日があまりないのも気の毒で……」


 妙子の嘆きを聞いて、香月は自分の家族が同じようになったらどうだろうと考えた。両親や祖父母はまだ若いから、あまり想像できない。でも、八十四歳の曾祖母スミヱが認知症になって香月のことをわからなくなって、その上弱っていく一方になってしまったらと思うと、悲しくてたまらなかった。


「すぐにじゃないにしたって、もうあまり先が長くないって思ったら、いろいろ要望を叶えてあげたくて、それで今日はエンジュちゃんのところに来たんだったのよ」


 香月もエンジュもしんみりしてしまったのに気づいたのか、妙子は涙を拭って微笑んだ。

 長くないというのは、おそらく本当なのだろう。病気で長患いをしているとかではなくても、周囲も自身も終わりが近いのを悟ることがあるのだという。


「アタシにできることなら、何でもお手伝いしますからね」

「ええ、お願い。お義母さんの望みを叶えてあげたいの」


 寄り添うように言うエンジュに、妙子は切実な様子で訴える。

 こうしてここにやってきたということは、妙子は魔法を求めているということだ。そして、彼女の姑であるヤエの望みが、魔法でしか叶えられない類のものであることは想像できた。


「ヤエさんの望みって、どんなことなんですか?」


 エンジュが尋ねると、妙子は悲しそうにうつむいた。


「思い出の料理を食べることなの。呆けちゃってから、しきりに『お母ちゃん、お母ちゃん』って子供の頃になくなった母親を探すのよ。それで、『お母ちゃんのご飯が食べたい』って言うの。しっかり者だったお義母さんの、そんな姿を見たら可哀相で……。母親を亡くしてからは、下の弟さんや妹さんを母親代わりとして育てたっていうから、ずっと寂しかったんでしょうね」


 下の兄弟を育ててきたしっかり者の人が、老いてそんなふうに心細そうにしているという話を聞くと、香月は気の毒でならなかった。でも、すぐそばで見ている妙子はもっと辛いだろうと思うと簡単に同情は口にできない。


「夫に聞いていろいろお義母さんの好きな食べ物を作ってみるんだけど、どれも違うみたいで。『大根と豆腐の甘い煮物が食べたい』って言われても、何のことかわからなくて……」

「ヤエさんの郷土の料理とかじゃないの?」

「違うらしいわ」


 妙子さんはここに来るまでに、いろいろ試みたのだろう。だから、首を振る様子にも力がない。

 魔法屋オカマジョは、きっと最後に残った希望に違いない。

 その希望を裏切らないようにとでもいうように、エンジュはつややかな唇に笑みを浮かべた。


「そういうことだったら、わかったわ。任せておいて。そういうときに役に立ちそうな薬を持っていくから。妙子さんは、できるだけ望みに近づけるつもりで、その煮物を作ってあげてください」


 妙子はエンジュを、エンジュの魔法を、信頼しているのだろう。安堵したように頷いた。



「どんな薬を作るんですか?」


 妙子が帰ったあと、つい気になってしまって香月は尋ねた。

 ヤエの望みが叶えばいいと、話を聞きながら思ってしまったのだ。スミヱの存在があるからか、ご老人が絡む話には肩入れしたくなるのかもしれない。


「匂いとか味に反応して、記憶を刺激する魔法薬があるのよ。それを使えば、望むものに近しいものを食べただけで、脳内補完して望んだものを食べたと感じられるかもしれないから」


 エンジュの答えを聞いて、少しだけ香月は落胆した。

 今回の依頼が、ただ単に思い出の味の再現だったのなら、エンジュの考えた方法でよかったと思う。それかもっと若い、先のある人の願いだったなら。

 でも、あと何回残されているかわからない人の食事なのだ。それがわかっているからか、妙子もエンジュも急いでいるのだろう。

 それなら、より本物に近いものを食べさせてあげたいと香月は思ってしまった。


「あの、エンジュさん。スマホかパソコンを貸してください。ちょっと調べたいことがあるので」


 ひらめいたことが正しいかどうか確認したくて、香月はエンジュに頼んだ。するとエンジュは、疑問に思う様子もなく、ボトムスのポケットから取り出したスマホを渡してきた。

 それを受け取ると、香月は素早い手つきで操作して、検索ワードを打ち込んだ。そして、確証を得た。


「ヤエさんが食べたがってるものって、もしかしたらこれかもしれません」


 そう言って見せたスマホの画面に表示されているのは、「けんちょう」という山口県の郷土料理だ。愛知県にも類似の料理があるのだけれど、甘いと聞いてこっちだと判断した。


「どうしてわかったの?」

「妙子さんがわからなかったってことは、一般的な料理じゃなくて地方独特のものだと思ったんです。あとは素直に『大根、豆腐、甘い煮物、郷土料理』で検索したらヒットしました」

「すごいわ! 香月、あんたって名探偵ね!」

「いえ……山口とか九州のほうは煮物の味つけが他の地域と比べるとすごく甘めだって聞いたことあったのと、大根を消費するメニューでけんちょうっぽいものは作ったことがあったので」


 大袈裟に褒められて、香月は恥ずかしくなった。でも、嫌な気はしない。


「じゃあ、このレシピを妙子さんに送ってあげたら……」

「あんたが作りに行ってあげなさい!」

「え……」

「料理ってね、一度も食べたことないとレシピを見てもわかりづらいことって多いのよ。だから、味見のお手伝いだけでもしてあげて」

「……今すぐ?」

「今すぐ!」


 エンジュは名案を思いついたというように明るい表情になって、応接室のテーブルの上のメモに何か書き始めた。


「これ、妙子さんの家までの地図ね。前田さんってお宅よ。山を下りてからそんなに歩かずに着くわ。妙子さんには連絡を入れておくから」


 地図を押しつけられて、香月は頷くしかなかった。

 こうやってノリノリになってしまうと、エンジュを止めるのは非常に骨の折れることだと知っている。少し前、うさ耳パーカーを香月に買い与えて着せると言い出したときも、かなり粘ってその意見を退けたのだ。

 これは、そこまで粘って退けたい話ではない。料理の腕に、ちょっと自信がないだけだ。


「薬ができあがったら、アタシもすぐ追いかけるから。美味しいの作ってあげてね」

「……はい」


 これは責任重大だと思って、香月はメモ紙を握りしめた。



 山を下りて歩いていくと、エンジュの言ったとおり、ほどなくして前田家は見えてきた。こんな田舎にある家だから古めかしい日本家屋を想像していたのに、瓦葺ではあるものの、和洋折衷のわりと新しい家だった。

 目的の家を前にして、香月は緊張していた。この前、ひとりで山を下りて商店に行ったから大丈夫だと思っていたけれど、店に行くのと民家を訪ねるのとでは違う緊張感があった。


「ごめんください」

「待ってたわ。さあ、上がって上がって」


 インターホンを押したのとほぼ同時にドアが開き、妙子に出迎えられた。


「大根とお豆腐があれば大丈夫なのよね?」

「はい、あとは調味料だけで」

「小魔女さんが来てくれたから頼もしいわ!」


 心の準備ができるより先に出迎えられ驚いたけれど、“小魔女さん”と呼ばれて香月は気を引きしめた。

 信頼されていると思うと、それを裏切ることはできないという気持ちになる。その信頼はエンジュに対してのものだとわかっていても、そこに付随している魔女や魔法に対する信頼には、まだ未熟な自分でも応えなくてはいけないと思ったのだ。


「では、少しの間、台所をお借りしますね」


 案内された台所に立ち、香月は気合いを入れた。

 大根は丸々一本用意されていたけれど、使うのは四分の一くらいだ。豆腐を水切りしている間に、大根の皮をむき、薄く銀杏切りにしていく。

 大根をすべて切り終えたら、油を少し引いたフライパンでしんなりするまで炒める。それから砂糖と醤油を入れ、味をみてみりんを加える。


「お砂糖、ずいぶんとたくさん入れるのね」


 砂糖を追加していると、後ろで見守っていた妙子が驚いたように声を上げた。でも、無理もない。すでに大さじ三杯の砂糖を投入しているのを見ているのだから。


「このけんちょうってお料理、山口県の郷土料理なんですけど、山口のほうはお醤油が甘口なので、それがないぶん、お砂糖多めで味つけしました」


 よく混ぜて大根全体に味がしみわたったところで、水切りした豆腐を入れ、木べらでつぶしながら混ぜていく。レシピサイトには手でつぶすと書いてあったけれど、香月は食材を手でぐちゃぐちゃにするのが苦手だからやらない。実はハンバーグをこねるのも苦手だったりする。


「あとは水分があらかた飛ぶまで弱火にかけて、できあがりです」


 味見をして、十分に甘く仕上がったのを確認して香月は手を止めた。


「すごいわ。手際がいいのね」


 壁にかかった時計を見ると、作り始めて三十分経っていなかった。でも、主菜ではないメニューにこんなに時間をかけていてはまだまだだなと、香月は身体のどこかがムズムズする気がした。


「お母ちゃん、いい匂いがするね。なあに?」


 火を止めて、あとは冷まして味をしみさせるだけというときになって、台所に誰かやってきた。見ると、出入り口に寄りかかるようにして、少し背の曲がった小さな老婦人がいた。香月のことを不思議そうに見ている。


「ヤエちゃん、起き上がって大丈夫なの? この人がね、ヤエちゃんが食べたいって言ってた大根とお豆腐の煮物を作ってくれたのよ」

「食べたい!」


 妙子がまだ湯気の立ち上る鍋を見せると、寝起きの子供のようにボーッとしていたヤエの目が輝いた。それを見て、妙子は嬉しそうに鍋から小鉢へと移し替え始める。


「あの……冷ましたほうが味がしみますし、まだエンジュさんが薬を持ってきてないので……」

「いいのよ。お義母さんが食べたいって言ってるんだもの。何かに興味を持つのも、食欲があるのも、本当に久しぶりだから」

「わかりました」


 嬉しそうな妙子を見て、香月はそれ以上何かを言うことはできなかった。確かに、ヤエが食べたいと言っているのなら、食べさせてやるのが一番だ。魔法にこだわる必要はない。

 そう思って香月はけんちょうが入った小鉢を引き受け、ヤエの身体を支える妙子の後ろについて台所と続きになっているリビングのテーブルに運ぶ。


「お母ちゃん、食べていい?」

「はい、どうぞ。まだ熱いから、気をつけてね」


 席につくと、ヤエはけんちょうを木匙にすくい、息を何度も吹きかけてから少しずつ口に運んでいった。

 黙々と食べるその様子を、香月は緊張して見守った。手を動かすのをやめないところを見ると、きっと味は悪くないのだろう。問題は、きちんと思い出の味になっているかどうかだ。


「……おいしい」


 もぐもぐと咀嚼しながら、ヤエがポツリと言った。その顔には、満面の笑み。


「お母ちゃん、おいしかった! 見て見て、全部食べたよ!」


 空になった小鉢を掲げ、ヤエは妙子に言った。今は息子の嫁ではなく、自分の母親だと思っている妙子に向かって。


「えらいね、ヤエちゃん。よく食べたね」


 無邪気な様子のヤエに涙ぐみそうになるのをこらえて、妙子はヤエの頭を撫でた。小さな子供にしてやるみたいに、優しい手つきで。

 それを見て、香月は胸があたたかくなるのを感じていた。



 それから香月は、思っていたよりも遅くにやってきたエンジュと並んで帰路についた。「ちょっと手間取っちゃって」などと言っていたけれど、本当のところはどうなのだろうと思ってしまう。


「無事に望みを叶えられたみたいでよかったわね。またあんたひとりで何とかできちゃったわ。すごいすごい!」


 隣を歩くエンジュは、そう言って大袈裟に手を叩く。褒められるのが嫌というわけではないものの、何だか納得できない気分だ。


「けんちょうで正解だったみたいですけど、たぶんあれ、ヤエさんの好物じゃなかったと思います」


 気づいたことを、香月は口にした。水を差したくなくてあの場では口にできなかったけれど、日を改めて妙子の耳には入れておいたほうがいいかもしれないと思ったのだ。


「どうしてそう思ったの?」

「ヤエさん、全部食べきってから空になったお皿を妙子さんに見せて、『お母ちゃん、全部食べたよ』って言ってたんです。たぶん、好きなものならやらないかなって。だからあれはもしかして、褒められること込みで食べたかったものなのかもしれないって思ったんです」

「なるほどねえ」


 褒められたくて何か苦手なことに取り組んでみるというのには、香月も覚えがあった。だから、ヤエの行動はわかる気がした。

 呆けてしまったヤエが求めたものは母の味そのものではなく、苦手な食べ物を克服したときに褒めてもらえた、母との優しい思い出だったのかもしれない。


「香月は、よく人のことを見てるわね。えらいわ」


 エンジュはそう言って、優しく目を細めた。

 手放しで褒められているのがわかっても、あまり嬉しくはなかった。「よく人のことを見ている」という評価は、それこそ小学生の頃からされていたけれど、それが何だというのだ。人のことなんてよく見ていなくても生きていけるし、むしろ見ていないほうが生きやすいのではないかと今は感じているくらいだ。


「でも、魔法じゃないですし……」


 今回もまた、魔法に触れる機会を逸してしまったなと香月は悔しく思う。薬と、その効果を目の前で見てみたかったのに。

 それがわかっているのか、エンジュは意味深な笑みを浮かべた。


「魔法じゃないのに、魔法みたいに人を救えちゃうこともあるのよ。むしろ、魔法が誰かを救うことより断然多いわ。これって、大事なことよ」


 煙に巻かれたような気分になって、香月は唇をとがらせた。それをツンと突いて、エンジュは言う。


「アタシはね、魔法のことも教えてあげたいけど、それ以上に魔法がなくても生きていけるってことを教えてあげたいのよ。わかった?」

「よくわかりません」


 素直に答える香月に、エンジュは不敵に笑った。まるで、わからないのはまだまだ未熟だからとでも言わんその表情に、香月は黙るしかないのだった。

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