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5  魔法の使い方

今回は説明回っぽい感じになってしまいました。


次話くらいで主人公が軽く規格外っぷりを披露するかもです。

投稿は明日か、明後日にはしたいと思いますのでよろしくお願いします。


また、本文は後々いじるかもしれません。ご了承くださいますようよろしくお願いいたします。

「魔法を・・・ですか?」


突然屋敷へと来訪したソフィアさんから告げられたのは何とも予想外の言葉だった。


だってあれだぞ?この世界で魔法を教えてくれた師であるソフィアさんが弟子である俺に魔法を教えてくれって言ったんだぞ?

おかしいでしょ。むしろ教えてもらってたのは俺なんだけど。


困惑した俺を見たソフィアさんはくすっと笑うと一歩こちらへと近づいてきた。


「あぁ・・・困惑してるあなたも可愛いわ・・・。これだけでここへ来たかいがあったと思える・・・。もう帰ろうかしら」


「帰らないでください。それより、魔法を教えてほしいってどういう意味で・・・」


「そんなの後でいいからやっぱり先にお風呂入らないかしら?」


「入りませんっ」


近付くだけに留まらず最終的には俺の頭を撫で始めたソフィアさんに俺は声を上げる。


俺の頭撫でて帰るとか何しに来たんだこの人。

しかも本来の目的よりお風呂の方が優先なのかよ。


このままじゃ埒が明かないと思った俺は未だ俺の頭を撫でている手に両手を添えその動きを止めると改めて要件を訪ねる。


「それで、結局魔法を教えてほしいってどういうことなんですか?


「話してもいいのだけど、取り合えず修練場に行って二人きりで話さないかしら。余計なのがついてると集中できないでしょう?」


妙に二人きり、というところを強調したソフィアさんは俺ではなくその後ろを見据える。


その意味に気付いた俺はハァ、と溜息をつく。


案の定というべきか、俺の溜息と同時に背後から声が聞こえた。


「これはどういう事でしょう、ソフィア様。今日は来訪の予定などなかったはずですが?」


そう咎めるような口調で言ったのはリリアだった。


恐らく、あの後俺とソフィアさんが接触するだろうことを予想して追ってきたのだろう。

それでも息一つ乱さずに静かに立っているリリアには妙な迫力があった。


そんなプレッシャーを受けても平然としているソフィアさんは俺に笑いかける時とはまた違う・・・ひっ、と思わず後ずさりたくなるような笑みを浮かべながらぐっと俺の事を抱き寄せる。


その行為にまたムッとした表情をしたリリアだったがそれに構わずソフィアさんは平然と話しを続けた。


「あら?私がいつここへこようと自由の筈だけれど」


「そうかもしれませんがこちらにも予定というものがあります。出来れば急な来訪などは控えていただきたいのですが」


「そう、それは悪かったわね。今度からは気をつけるわ。今日のところは一先ずあなたはそのあるのかないのか分からない予定とやらにいきなさいな。私が用があるのはアルスだから」


「そうもいきません!メイド長たる私がアルス様の傍を離れるようなことがあっては・・・!」


「大丈夫よ、私が傍にいるわけだし。ほら、遠慮せずに行きなさい?」


バチバチと、聞こえるはずのない音が聞こえる。


それは両者の間で交わされた視線で鳴ったものなのか・・・はたまた二人の放つプレッシャーが鳴らしたものなのかは分からなかったが、ただどちらだとしても俺が思ったのはただ一つだ。


関わりたくない。


ただ、それだけだった。


だって怖いんだもん!!


普段穏やかで優しいソフィアさんがすっごい冷たい笑み浮かべてるし!!


それに対してリリアも俺に接する態度からは想像もできない程敵愾心剥き出しだし!!


何ていうか、水面下の戦いの筈なのに全然水面下で戦ってる感じがしないんだよなぁ・・・。


ここまでくれば分かると思うが、この二人物凄い仲が悪いのだ。

正確にはうちのメイド達とソフィアさんが仲悪いといった方がいいかもしれない。


なのでソフィアさんが来る度にどこかしらでこんなやり取りがされるのだ。

それに毎度毎度付き合う羽目になっている俺はもういい加減辞めてほしいのだが・・・。


まぁ、そんなこと口に出して言えないですよねー。怖いし。


そんな正直毎回ビビって口出ししない俺だったが、今日はちょっと口を出そうかと思う。


理由としては、ソフィアさんが俺に言った言葉が原因だ。


ソフィアさん程の人が俺に魔法を教えてほしいなんて言うってことは、何か絶対理由がある筈なのだ。

恩師でもあるし、協力もして上げたい。


そういう事もあり、黙ってソフィアさんの豊かな胸に抱かれていた俺はリリアに向けて口を開いた。


「リリア」


「はいっ!何でしょうアルス様!!」


今までの恐ろしい雰囲気は何だったのかというくらい幸せいっぱいの笑顔で俺を見てくるリリア。


恐らく自分の味方をしてくれるのだろうと勝手に勘違いしたのだろう。

でも残念。俺は誰の味方でもないのだよ。


しかも今回に限って言えば味方敵云々ではないとはいえ、優先的にはソフィアさんだ。


「リリアはちょっと席を外してくれないか?ソフィアさんとちょっと話があるんだ」


「・・・・ッかしこ、まりました」


とはいえ、俺の一言でこうも落ち込まれるとやりずらい。


仕方ないので軽くフォローしておくか。


「それとリリア。部屋へ帰ったら恐らく喉が渇いてるだろうから、美味しいお茶、淹れる準備をしておいてくれよ?」


そう言ってパチンとウィンクする。


すると、先程の落ち込みようが嘘だったかのように満面の笑みを浮かべたリリアは今にもスキップしそうな勢いでもう一度「かしこまりました!」と言い去っていった。


何とも単純だ。

あまり褒められたフォローじゃないのかもしれないけど結果オーライということで。


ようやく一息つけると嘆息した俺は「ねえ、私にもウィンクしてくれないかしら」と言うソフィアさんにうんざりした表情で「さっさと行きましょう」と告げるのだった。




――――――――――――――――




「では改めて。俺に魔法を教えてくれと仰いましたが、ソフィアさんは俺に魔法を教えてくれた人で。そんな人に今更俺が教える事なんてないと思いますけど」


先程言っていたように場所を修練場へと移した俺達はお互い向かい合って話していた。


だだっ広い修練場に二人だけというのも変な感覚だ。

この修練場というのは、古代ギリシャにあったというコロシアム的な感じの施設だ。


地面は砂に覆われていて、周りは外壁と結界に覆われている。


まさに鍛錬をするのにピッタリの場所だった。

しかし、反面広いだけに音が反響しずらくお世辞にも話をするのに適しているとは言えないはずだ。


なんでそんな場所で?という疑問も込めて俺は質問する。


するとソフィアさんは何を思ったのか微笑みを絶やさないまま手の上に炎を出現させた。

・・・無詠唱の魔法だろう。


でもそれがどうしたというんだろう。


何が言いたいのか未だよく分からない俺は首を傾げるも、ソフィアさんは「これが答えよ」と言う。


「これは無詠唱の魔法。本来であれば高難易度とされている技術よね?」


「はい。もう何年くらい前になるか…まだ魔法を覚え始める前くらいに教えてもらいましたね。本当であればきっちりと詠唱をして魔法を行使するものだと。それがどうかしたんですか?」


「えぇ。私は確かにあなたに魔法を教えたわ。そしてあなたは教えた魔法を全て使えるようになった。全て、無詠唱でね」


あぁなる程、と。

そこまで言われてようやく理解する。


「つまり、無詠唱での魔法行使を教えてほしい、と?」


「えぇ、そういうことよ。私はこれでも長く生きてきた。その中で常に魔法を研究し続けたわ。各地を回ったりもした。けれどそんな私から見てもあなたは異常なのよ。先代魔王の息子であることを考慮しても、ね」


つまり、ソフィアさんは俺に無詠唱で魔法を使うコツを教えてほしいという事なのだろう。


この世界での魔法は詠唱をすることで体内の魔力を活性化させ、望んだ結果を得るというもの。


例えばファイアボールという初歩の魔法でも、「燃え盛る火炎よ、我が意志の元に顕現せよ、ファイアボール!」という立派な詠唱があるのだ。

これはこの世界で魔法というものが確立されてからずっと基礎とされてきたことで、魔法を使うには詠唱が必要だということは人族だろうが魔族だろうが種族に関係なく常識とされていることだった。


しかし、異世界から転生してきた俺は例外だったのだ。


むしろ俺には詠唱を伴った魔法が使えないといっても過言ではない。


ではそれは何故か。


答えは簡単で、単純に詠唱をする意味が分からないからだ。


だってそうだろう?ファイアボール一つとっても、なんで「燃え盛る火炎よ、我が意志の元に顕現せよ」という詠唱でファイアボールが出るのか全然分からない。


そもそも言う必要があるのかが分からないのだ。

そりゃこの世界の住人みたいに、物心つかない頃から「そういうものだ」と言われて育てば勝手にそう思えるんだろうけどさ。


記憶を持ったままの転生という何ともチートじみた感じでこの世界へと来た俺にとっては先入観が邪魔をしてむしろ魔法を使う上では『いらないもの』でしかなかったのだ。


そんな俺はどうやって魔法を使っているかというと「イメージ」だった。


さっきのファイアボールも、手の平に炎の玉を出すイメージで力を使えば勝手に出る。

それ以外の魔法に関してもイメージさえできれば問題なく行使できるだろう。


なので、この世界へと来て使えるようになった魔法の幅は広く、恐らく俺オリジナルの魔法はかなりあると思う。

何せ、イメージが魔法として具現化するのだから決まった『型』がないのだ。


こっちの人間は決まった詠唱で決まった事象が引き起こす事を魔法という。

だが俺はイメージしたものを魔力という力で具現化するのが魔法だ。


恐らく、その違いだろう。


それでも最初は魔法という慣れないものに苦戦はした。


しかし、ソフィアさんの話しを聞いてひたすら反復して実践している内に気が付けば使えるようになっていた。


途中で気付いたのだ。

日本にいた頃にはない力というか・・・身体的な体力とは別にもう一つある事に。


その力が魔法を使う上で重要となる魔力だと気付いた俺は改めてソフィアさんに習いつつ、自主的に最大魔力量を増やす訓練を行った。


この魔法こそが、最終的な目標である元の世界へ帰る事に繋がるキーなのではないかと思ったのだ。


では仮に、いざ元の世界へと帰るための魔法を見つけました。さぁ帰りましょう!となった時に魔力量が足りないから帰還魔法を使えませんでした。というのは避けたかったから。


もちろん人によって限界値は存在するものの、基本的には魔力というものは使えば使う程限界値が増えていくというソフィアさんの言葉に従い、俺は言われた日から毎日魔力が空っぽになるまで使い続けた。


重ね掛けや並行して二つ以上の魔法を使えると気付いた時には歓喜したものだ。

単純に効率が上がるからな。


ただ、ソフィアさんの教えを聞いていた俺は二つ以上の魔法を同時に使えることなどは黙っていた。

ソフィアさん曰く、基本的に一つ以上の魔法を使う事は不可能、だからだ。


まぁそうだよな。

詠唱しなきゃ魔法が使えないっていうのがこの世界での常識なんだったら二つ以上使うのは無理だろう。


俺みたいに無詠唱を基本としない限りは、ね。


そんなこんなで無詠唱かつ、平行して幾つもの魔法を使えるという俺はこの世界の常識からはかなりかけ離れているだろうけど、まさかソフィアさんからその事を教えてほしいと頼まれるとは思わなかった。


ソフィアさんも、見た目こそ十七、十八に見えるものの長寿なエルフらしく何百年も生きているらしい。

その時間の殆どを魔法に費やしたという本人の談を信じるならば世間様から見ても相当な使い手な筈だ。


俺は外の世界をまだ知らないので断言はできないけど。


そんな彼女だからこそ、幾つかの初歩的な魔法は無詠唱で使える事が出来ているのだが・・・。


「でも、ソフィアさんは無詠唱で幾つかの魔法が使えますよね?他の魔法もその要領でやればいいのでは?」


そこが不思議でならなかった。


なぜ幾つかの魔法が無詠唱で使えるのに他が使えないのか。

俺のイメージで魔法を使う、という理論でいけば使える筈なんだけどな。


しかし、首を横に振ったソフィアさんは「できないわ」と一言。


そして続けて口を開く。


「私が使ってるのは正確にいえば無詠唱ではないのよ」

読んでくださった方々に感謝を


よろしければ(以下略


誰か・・・感想くれても、いいんですのよ?(チラッ


というか単純に、進み遅いですかね?もし長ったるいなと思った方がいれば申し訳ありません。

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