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18.テクノロジーを盗め

 ホープの指示通りにダンジョンを進んでいく。

 どこかいい場所は見つけたのか?


――医療室を見つけました。沙耶様を助けた後、治療する場所を確保できるかと思います――


 そうか、それはいい部屋を見つけたな。

 設備が生きていればもらって帰ろう。

 途中で停止したロボットを分解しながら部屋に到着した。


「わあ、ここもいろんな機械があるんだね。なんだろうこれ? 女神様が入ってるやつに似てるね」

「医療室らしい。怪我や病気を治す部屋だ」

「じゃあさっき死んでた人をここで治せるの?」

「そうだな、やってみるか」


 外で俺が治療するつもりだったが、ここの設備を使う方が早そうだな。

 ホープ、使えそうか見てくれ。


――問題なさそうです。カプセルは3つですね。先ほどの人達を寝かせてください――


 じゃあまずフィリーの知り合い2人と……3人組のリーダーっぽいハゲた男からだな。

 カプセルに寝かせてと……。

 あとはホープに任せようか。


――はい、端末に触れてお待ちください――


 部屋の中央にある端末の前に腰掛けて作業開始だ。


「これで2人は生き返るのかな?」

「ああ、大丈夫のはずだ。少し待っていてくれ」

「よかった……」


 フィリーはカプセルの前で不安そうに立っている。

 この医療カプセルも見た感じ、俺の知っているものより技術力が高そうだ。

 

「わ、なんかたくさん出てきた」

「手術用アームだな。まず銃弾を抜くんだろう」

「銃弾って、さっきのロボットが撃ってきたやつ? なんだか小さそうなのにすごい威力だったよね」

「ああ、危険な武器だよ」

「そっか、じゃあ冒険者ギルドが回収したがるかもね」


 回収して誰も使えないように封印してくれるのならいいけどな。

 もし使うために独占されてたらたまったものではない。

 とりあえず見つけた危険な物は俺が持っておくとしよう。


――マスター、冒険者ギルドの嘘発見器を誤魔化すための方法ですが……催眠術を使いましょう。マスター自身に完全な催眠術をかけてしまえば、嘘と見抜ける者はいません――


 催眠術というか、俺自身を洗脳してしまう感じだろうか。


――そうですね。本来はそこまで完全な催眠術をかけてしまうと、自分では元に戻せません。しかしマスターにはわたしがついています――


 なるほどな、ホープが中にいる俺にしかできない方法だ。

 ぜひやってもらおう。


――了解しました。治療の待ち時間に催眠装置を体内に設置しておきます。あ、催眠術スキルを習得していただきます――


 頼んだぞ。

 俺のスキルも結構増えたものだな。

 今度まとめてステータス画面を見せてもらおう。


「すごいなあ……血が全然出ずに銃弾を取り出したよ。なんでなんだろう?」

「魔法……かな」

「そっかぁ、機械って魔法の力も使えるんだねえ」


 実際には時間を止めたりなんやかんやすごい技術が使われているんだが……説明は面倒だ。

 それに俺にもよくわからない技術が使われている。

 取り出された銃弾に血の一滴もついてないんだよなあ……。


――私にもわかりません。治療が終われば、ぜひ持ち帰りましょう――


 ホープにもわからないか。

 それはむしろ嬉しい報告だな。

 沙耶を助ける技術が隠されているかもしれないんだから。


 それから10分後、治療が完了したようだ。


「すごいなあ、傷が完全に塞がってるよ。トーヤはわたしが撃たれた時もこんなふうに治してくれたのかな?」

「ああ、そんなところだ。この部屋の方が遥かにすごいがな」

「えー、何もない場所でできたトーヤの方がすごいよ。それでちゃんと生き返ってるのかな? 全然動かないよ」

「もう少しだ」


 今は時間が止まった状態だろうな。


――マスター。麻酔薬を注入して、起きる時間を指定できそうです――


 そうか、では40分後に起きるようにしてくれ。

 残りの2人も生き返らせてからまとめて起きるようにしたい。


――了解しました――


「あ、なんだか胸が上下して……息してるのかな」

「そうだな、あと少しで目が覚めるはずだ。残りのやつも治療するから床に寝かせておこう。運ぶのを手伝ってくれ」

「うん!」


 治療が終わった3人を床に寝かせて、さらに2人の治療を開始だ。

 この間に、余ったカプセルをもらっていこうと思う。


「トーヤ、なにするの?」

「この部屋にあるものをもらって帰るのさ」

「えええ!? こんな大きいものも? あ、でもさっきもすごい量の木とかを納めてたね。何に使うの?」

「女神を救うのに必要なんだよ。それでフィリーにお願いがあるんだが……。これらを持って帰っていることを秘密にしてくれるか? 必要なものなのに、冒険者ギルドに取り上げられては困る」

「女神様か……本気なんだね。わかったよ、トーヤとわたしだけの秘密。えへへ」

「ありがとう、フィリー」


 おそらく大丈夫だろうな。

 何故か嬉しそうなのが気になるけど……。

 あ、あともうひとつお願いしておこう。


「それともうひとつ、今治療してる彼らにも俺達が助けたことを秘密にしておいてほしい。正直説明が面倒なんだ。この部屋の中身ももらっていくしな」

「わかった。じゃあ起きたらなんて言おうか」

「気絶してたから介抱してたことにしよう」

「うん。なんだか秘密っていいなあ……」

「そうか?」

「うん!」


 よくわからないけど、まあいいか。

 しばらく待ち、治療が無事に終わったようだ。

 全員同じタイミングで目覚めるよう設定し、部屋の中にあるものをすべていただく。

 20分ほどで部屋は空っぽになった。


「トーヤすごいなあ……。もうなにがなんだか……」

「気にするな、それよりそろそろ目覚めるぞ」

「そっか、ちゃんと治ってるといいな」


 予定の時間になると、全員ほぼ同時に起き始めた。

 すごいものだな。


「リズ、ディル、起きたかな? よかったよぉ」

「あれれ? フィリーなんでここに……。わたしたち変な敵に襲われたような……」

「気絶させられてたみたいだね。たまたま通りかかったから介抱してたんだ。体に傷もないし大丈夫だと思うよ」

「そっか、ありがとう」


 フィリーの友達は大丈夫なようだな。

 こっちの男3人組は俺が相手するか。


「無事のようだな」

「うーん……なんだかやられた気がするんだが、大丈夫みてえだな。お前さんが助けてくれたのか?」

「いや、気絶してるところに通りかかってな。この部屋に寝かせてたんだ」

「そうかい……。すまねえな」


 よし、問題ないな。

 話を聞くと、やはりロボットに襲われたようだな。

 無事動けるようなので、7人での大移動だ。

 出口にささっと連れて行って、調査を再開したいな。


「急に周りの壁が動いて道が変わったんだよな。マッピングも無駄になちまったぜ」

「大変だったな。とりあえず出口だけはわかってる。案内する」

「おう、助かるぜ。あんたが通りかかってくれて助かったよ」

「ああ、だがまだ敵がいるかもしれない。静かに移動しよう」


 いろいろ聞かれても面倒なので、危険ということで黙って移動する。

 そして10分ほどで出口に到着する。


「割と近かったな。そんな遠くまで行ってなかったのが幸いしたぜ」

「ほんとありがとうございました」


 それぞれお礼を言ってダンジョンを脱出していく。

 あとは俺とフィリーだ。


――マスター、残り時間は30分ほどです。後もう一部屋は調査できると思います――


「フィリー、先に出ていてくれるか。俺はもう少し調べたいことがある。他に生存者がいるかもしれないしな」

「え……でもトーヤ1人で大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。30分で戻るから待っててくれるか。友達とひさびさに会えたんだし話もしたいだろう?」

「うん……じゃあ待ってるね。ちゃんと戻ってきてね」

「もちろんだ」


 そしてフィリーは脱出した。

 さあ、急ごうホープ。


――はい、これから向かうのは武器庫です――


 武器か……たしかにあるにこしたことはないな。


――本来なら武器など後回しにしたいところですが、先ほどのロボットが複数で来ても問題ないだけの戦力は必要です。強力な武器やバリアがあれば、またここへ調査に来ることも可能ですからね――


 そうだな。

 俺も武器や兵器は好きじゃないが、沙耶を助けるためにはそういったものも必要だ。


 少し走ると、目的の部屋へ着いたようだ。

 中には様々な武器が納められていた。

 人間用もあれば、ロボット用と思える大きめのものもある。

 パワードスーツでもあれば扱えるかもしれないが、ここにはないようだな。


――マスター、時間がありません。片っ端から倉庫に入れてしまいましょう。厳選は後でいたします――


 そうだな。

 片っ端から入れていこう。

 倉庫の容量は大丈夫なんだよな?


――はい、もう少しでいっぱいになりますが大丈夫でしょう。研究所内の空きスペースも利用していきたいのですが、現在エネルギー不足です――


 そうか、ここで手に入れた物を有効に使うためにエネルギーを集めないとな。

 次はモンスター狩りに行ってみようか。


――はい。こんな未来世界のような場所はなんだか違いますよね。ファンタジーっぽい場所で冒険をいたしましょう――


 そうだな、同感だ。

 なあ、沙耶を助けたら……こういう危険がある場所は封印して回りたいよな。


――そうですね。こういった施設を封印しようという冒険者ギルドの気持ちがわかります――


 そうだな。

 冒険者ギルドが信用できる組織であれば協力したいんだがな……。

 ま、おいおい考えていくか。

 さあ、もうすぐ時間だ。

 ダンジョンのセキュリティが復活してまた危険な場所となるぞ。

 急いで出ていくとしよう。

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