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14.魔力とは

 さて、女王蜂にもらった戦利品の確認をするか。

 目の前には魔法石が7つ。

 これだけあれば価値のあるなにかがあるだろう。

 できればフィリーにもあげられるものがあればいいな。


「なんの魔法石なんだろうね。あ、同じのがあるよ。これは2人で分けられるね」

「そうだな、調べてみるよ」


――トランシーバーが封じられた魔法石――


「これは遠く離れても会話ができる魔法のようだな」

「そうなんだ。じゃあ2人で使おうよ。手分けして探索とかもできるようになるよね」

「そうだな、やってみるか」


 フィリーと2人で魔法石を体内に取り入れる。


「なるほど……じゃあわたし部屋の外に行くね。会話できるか試してみよう」

「ああ、やってみよう」


 体内に取り入れると使い方がなんとなく理解できる。

 ほんと便利だな、この魔法ってやつは。

 フィリーが部屋を出て行き、自動ドアが閉まる。


――やっほー。聞こえてるかなあ?――


 ああ、聞こえているよ。

 問題なく使えそうだな。


――おお! トーヤの声が頭に響いて来たよ。なんか不思議だなー、おもしろーい――


 俺の方はホープの声が同じように頭の中で聞こえてるから、すでに慣れてるがな。

 じゃあフィリー、戻ってきてくれ。


――はーい、これってどのくらい遠くまで話せるのかなあ?――


 どうだろうな。

 そんな遠くまでは無理だと思うけど、そのうち試そう。


「そっかー。でも戦闘で連携したり、内緒話がしたい時は役に立つね」

「そうだな。では次の魔法石を見てみよう」

「わくわく」


――麻酔銃が封じられた魔法石――


「次は武器のようだな。敵を眠らせることができるようだ。これがあれば例のネズミとの戦いを避けたり、モンスターを捕獲できそうだぞ」

「そっかぁ、便利そうだね。モンスターを研究してるところが買い取ってくれるんだけど、さっきの蜂さんたち見たらそういうのしたくなくなるよね」

「そうだな。まあなんにせよ、フィリーが使うか?」

「いいの?」

「ああ、武器は多い方がいいだろう」


 問題は弾丸だが……。

 これは別途調達が必要なんだろうか?


――どうやら体内で時空粒子エネルギーから生成できるようです。時空粒子エネルギーはまだまだ全容が掴めませんね。まさに魔法です――


 今のところ分かっているのは、便利なエネルギーってことだけか。

 フィリーはさっそく麻酔銃を手に取り、あれこれ考えている。


「撃ち方ははわかったんだけど、どうやって狙いつけたらいいんだろう? トーヤわかる?」

「そうだな……」


 フィリーは銃を撃ったことがないんだろうな。

 これはハンティングライフルというやつだろうか?

 俺もそんな詳しくはない。


――マスター。使用方法をダウンロードしますね――


 お、ありがとうホープ。


「フィリー、構え方はこうだ。この溝と先にある目印が重なるように見てだな……」

「う、うん……」


 フィリーに手取り足取り教えてみる。

 おそらくフィリーはの器用さならすぐに使えるようになるだろう。


「えっとあの……トーヤ……」

「ん? どうかしたか?」

「えっとね……まあいいや……」


 どうしたんだろうか。

 ホープ、教え方に間違いでもあったかな?


――マスター。過度なスキンシップは、何かが始まる予感ですよ――


 え?

 そう言われると、俺ってフィリーに密着し過ぎてるような……。


「ああ、すまない。馴れ馴れしすぎたな」

「あ、うん。別に大丈夫だよ……」


 慌てて離れてはみたが、なんだかフィリーの顔が赤い。

 俺も赤くなっているかもしれない。

 ホープ、別にそんなつもりはなかったんだぞ。

 お前は信じてくれるよな?


――はい。マスターに下心などなく、先生としてしっかり教えようとしていたことはわかります。しかしあなたの今の肉体は若いのです。はたから見たら若い男女がいちゃついているように見えることをお忘れなきよう――


 その通りだな……。

 自分が年寄りのつもりでいたが、若返ってるんだった。

 若いつもりで生きていかなくてはな。

 沙耶と青春をやり直すためにだ。


――その意気ですよ、マスター。私が見ている間は浮気などさせませんからね――


 する気はないさ。

 まあでも助かる……。


――さてマスター、このまま黙っていては雰囲気が甘ったるくなってしまいますよ――


 そ、そうか。

 銃の特訓をしっかりするかな。


「じゃあフィリー、練習だ。壁に的を置くから狙って撃ってみるんだ」

「う、うん。やってみるよ」


 俺は木を輪切りにして作った簡易な的を壁の角に貼り付けた。

 フィリーは遠い場所からその的を狙う。

 手が震えることなく、しっかりと狙いを付けているな。

 弓と形は違っても、こういうのは得意なんだろう。


 パシュンッ!

 なんとも小気味のいい音がして銃が撃たれた。

 的を見ると針のような弾丸がほぼ中心に刺さっている。

 距離は10メートルくらいか。

 さすがだな、弓も上手いし名スナイパーと呼べそうだ。


「思ったより簡単なんだね。これなら役立ちそうだよ。こういった武器を使ってるの見たことはあるけど、なんだか大変そうだったんだよね」

「銃と言う武器なんだが、ものによっては撃つと反動があるんだ。それは使いやすい方なんだろうな」

「へー、そうなんだあ」


 俺は銃についていろいろと教えておいた。

 この麻酔銃は50mくらいならきちんと刺さって効果が出るようだ。

 もっともしっかり狙いが付けられるのは20mほどだそうだが。

 もちろん硬すぎる相手には針が刺さらないので効果がない。


「ふむふむ……。トーヤって物知りなんだね。こんなのの使い方をよく知ってるなあ」

「ああ、こういうのは得意だ」


 俺ではなくホープがだけど……。

 まあ俺達は一心同体だしな。


――魔法石の武器についていろいろわかれば改造を施してあげましょう。スコープを付けたり、射程を伸ばせばかなり使える武器になりますよ――


 そうだな。

 できればドラゴンに効くような武器を見つけてやりたいところだが。

 フィリーはさらに何発か銃を撃って練習しているようだ。

 あれならすぐにでも、動きながら撃てるようになりそうだな。


「ふう……これで敵を眠らせられるんだったら便利そうだけど、これ撃つのに魔力そこそこ消費しちゃうね」

「そうか……」


 魔力?

 時空粒子エネルギーのことかな。


――でしょうね。マスターはモンスターを倒すことでも取りこめますが、普通の人間はそうでないのでしょう。大気中から少しずつ取りこんで回復はできるようですが、時間がかかるようです。あとは食物から微量に摂取するくらいでしょうか――


 大量に取り込める薬とか食事もありそうだな。


「魔力を回復する薬とか持ってないのか?」

「あれってすごく高いからね。それに魔力使うような道具とか今まで持ってなかったからさ」

「そうか、今度作れないか考えてみるかな」

「うーん、でも高価な材料とか使いそうだよね」


 というわけでホープ、研究を頼む。


――了解しました。現状でもマスターの体内のエネルギーを使えば食事に魔力回復の効果を付与できると思いますよ――


 そうか、じゃあ後でやってみよう。

 さて、魔法石は後4つだ。

 なんとも楽しい作業だ。


「では次の魔法石を見てみようか」

「うん、なんだかいいものがたくさん出てきそうだよね」


――時空粒子エネルギーによるバリアを展開できる魔法を使用可能――


 バリアとはまたすごいな。

 それにしても解析結果が魔法とか言い出したぞ。

 ホープ好みにいろいろ変えられているようだ。


――はい、このほうが雰囲気が出るでしょう。それよりこのバリアですが、以前ボスネズミがレーザーガンすら防ぐバリアを展開していました。それと同じようなバリアのようです――


 ふーん、何でも防げるんだろうか。


――この装置が記憶している攻撃であれば防げるはずです。ただし強力なバリア展開には魔力の消費も激しいですけどね――


 なるほどな、これもフィリーに譲るかな。

 俺はもっと沙耶を救う研究に役立ちそうなものが欲しい。


――そうですね、バリアであればこの研究所で時間をかければ開発もできそうです――


 そうか、余裕があれば頼む。


「ねえねえ、これはなにかわかったの?」

「攻撃を防ぐ魔法のようだ。これもフィリーに譲るよ」

「え? わたしばっかりもらっていいのかな?」

「ああ、そいつはドラゴンと戦うのに役に立つぞ。その代わり俺のほしいものが出たときは譲ってほしい」

「うん! こんなにいいものもらってるんだし、トーヤもいいのが出たら持っていってよ」


 そしてフィリーは体に魔法石を埋め込んだ。


「ふむふむ……。試してみたいけど、魔力の消費激しいんだろうなあ。寝る前にするね」

「それがいいな」

「じゃあ次の魔法石見てみてよ、いいものばっかりだから、わくわくがとまらないよ」

「ああ、期待はずれじゃないといいがな」


 さて、魔法石3つを一気に見てみるかな。


――時粒子の制御装置が封じ込められた魔法石――

――解析不能。体内研究所にて解析してください――

――小型の核爆弾が封じ込められた魔法石――


 役立ちそうなものとなにかわからないもの。

 そして……あってはならないもの。

 まさかとは思うが、あのジャングルをこれで破壊しようとしたんじゃないだろうな。

 とりあえず、悪い奴らに見つけられなくてよかったよ。

 さて、この3つをもらえるようフィリーに頼むかな。


「ねえ、なんだか顔色悪いけど大丈夫?

「ああすまない、まずこの魔法石なんだが……」


 ビビーッ! ビビーッ! ビビーッ!

 急にけたたましい音が鳴り響いた。

 これはなにかの警報か?


『侵入者対策プログラムを実行。侵入者をすべて排除せよ』


「な、なんだろうこれ?」

「わからん……がすぐに脱出した方がいいかもしれないな」


――マスター、壁の一部が動き出しました。警戒を――


 ホープに言われて壁を見ると、継ぎ目すら見えなかったか壁が回転していた。

 そこから出てきたのは、丸っこい形をした……ロボットだろうか?


『侵入者発見……排除シマス』


 そのロボットの頭上にある銃がこちらを向いていた。

 撃たれたら死ぬな……。

 なんとも絶体絶命のピンチだ。

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