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竜との遭遇3

釣りをしてて竜に出会った場所、「沈船」に再び戻ってきた。

目の前には黒い砂浜と地名の由来になった沈船群。米軍が港を作ろうとして、防波堤代わりに自沈させた船の成れの果てだ。まあ、島が隆起したせいで港造りは頓挫。今では、良い釣り場になっている。

ここを離れて既に一時間近く経っている。周囲に竜の姿は無い。

業務車に同乗していた田中2尉は、竜の足跡を観察したり、色々と目測で測ったり、デジカメで撮影してたりする。

で、自分はと言えば、それを遠巻きで見ながら業務車内で喫煙中である。

サボっているわけではない。

現場を荒らすな、一歩も歩くなと言われた時の僕の心境は・・・・皆様のご想像にお任せする。

と、ようやく満足したのであろう。田中2尉も業務車に戻ってきた。

あ、靴脱いで中に入った砂落としてる。まあ、短靴で砂浜歩くと、ああなるよね。

「いや~、本当にあるとわね~。あ、もちろん君の言ってることは信じてたよ?」

嘘だっ!

「で、何か発見ありましたか?」

「うん、個人での偽造が不可能だってことかな。足跡のへこみ具合や、体重の移動の痕跡とかから考えると無理だね。おかげで、君の悪戯だと日誌に書けなくなっちゃったな~」

「いや、それ以外にも見つけたことあるんでしょ?体重とか、体長とか、習性とか、怪我の有無とか」

そう言うと、良くぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、田中2尉の目が輝く。あー、地雷踏んだかもしれん。絶対話が長くなる。

「良くぞ聞いてくれました!」

「ストップ!とりあえず、移動しませんか」

「え、ああ、そうだね~。とりあえず、当直室帰る前に寄り道しますか~」

「寄り道?良いですけど・・・・何処へですか?」

「竜に聞いてよ」

そう言って、砂浜を指差す田中2尉。その指先の指し示すのは・・・・・上陸中の竜一匹とサメ一匹。

竜がサメをくわえてる様は、ユーモラスさよりもシュールさが際立つが、実家にある木彫りの熊の置物を髣髴させる。

「行き先が竜の胃袋の中だったら笑えないよね~」

・・・・嬉しそうに呟くんじゃねえ、バ幹部。

「まあ、既に獲物を手に入れてるから、うちらは安全じゃないんですか?」

「いや、メインディッシュの魚の前に、前菜代わりの人間というのも良いかもね~」

良くねえよ!あと、何であんた嬉しそうなんだ!

「いや、そんなスナック感覚で食べられたくないんですが・・・。それと、どうします?こっちにズンズン向かってくるんですが」

獲物が嬉しいのか、尻尾を振り振り向かってくる竜までの距離は残り500mを切った。

「じゃあ、誘導しようか」

「・・・・ハイ?」

「動き回られても困るし、監視しやすい場所が良いよね~」

主婦が献立を考える位のノリで言ってるよ・・・・。

「正気ですか?」

「いやいや、正気も正気。ここ周辺は燃料タンクにパイプラインとか壊されたら困るもの多いしね~」

正論ではあるが、ここで重大な問題が一つ。

「でも、どうやって誘導します?」

「え?いつもやってるじゃん」

「は?」

「定期便のマーシャリング」

そう言って、業務車に備え付けられてる発炎筒を、こちらに投げてよこした。

えーと、これはあれですか・・・・。

航空機と同じように竜を誘導しろと・・・。

いや、無理だろ、常識的に考えて。

「男は度胸!なんでもためしてみるのさ~」

そう、人事のようにニヤニヤ嫌な笑みを浮かべながら話す田中2尉に対する思いはただ一言。

「畜生、いつか殺してやる」

そう呟きつつ、業務車から降りる。

発炎筒のキャップをはずし、マッチを擦る要領で点火。半ばやけくそで振り回す。上手く誘導できなくても僕の所為じゃないからなと思いつつ・・・・。

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