竜と思惑11
人がシリアスモードに入ってるのに、横でふざけてるとムカつくよね?うん。
海自司令と空自司令が石井ちゃんに絡みまくっているんだこれが。
いい年こいて何やってんだ、このおっさん二人。
でもね、僕は止めようと思わない。
むしろ、止めれない。
なぜなら、石井ちゃんの目の前には膨大な数のビールの空き缶が並んでいたから。
酔うと泣いたり、笑ったり、脱いだりする人がいる。
石井ちゃんの場合、逆。
泣いたり笑ったり出来なくしたり、脱がしたりする。
言ってる意味がわからない?
酒癖が悪いというのを百倍位したようなものだと思ってもらえばいい。
いや、僕にはご褒美ですが。
だから、海自司令たちには是非とも味わってもらいたい。我らがドリームクラブへようこそ。
隣の陸自の1曹に声を掛ける。
「タバコ吸いにいきませんか?惨劇の幕が開く前に」
「・・・・・海自司令たちが絡みまくってるが止めなくていいのか?」
「すぐに後悔しますよ。巻き込まれないうちに退避しましょう」
「何をいっているのかわからないが、まあ外の空気でも吸いにいくか」
「その方がようございます」
そのまま、二人で喫煙所に向かう。
遠くから、怒声と罵声、悲鳴が聞こえてきた。
「ブタのくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何が司令だよ 酌しろオラァァァ」
「すみませんすみません」「いきててすみません」
「ブタのくせに人間のことばしゃべってんじゃねーぞぉ!鳴け!」
「ぶひぃ!」「ぶひぃ!」
「おう、いい鳴き声だ!でも」
「ひぎぃ」
「ブタは服なんか着ないよなぁ」
石井ちゃん絶好調。
隣の1曹は青い顔をしている。
「はぁ?聞こえねぇ!」
「服は、服だけは」「石井様お慈悲をお慈悲を!」
「ブタがしゃべってんじゃねぇ!」
「いやああぁぁぁぁぁ」
隣の1曹は白い顔をしている。
「粗末だなぁ、おい。もうちょっと立派なのぶら下げとけよ」
「ぶ、ぶひぃ」「ぶひぶひ」
「そういや、ブタのってドリル状らしいじゃねえか、その粗末なのドリル状にしてみろよ」
「ぶ、ぶひ」「ぶひいぃぃ」
「はぁ?」
「無理です!」「そんなの出来ません!」
「しゃべってんじゃねーぞ!よしわかった、じゃあ待ってろ、包丁でちょっとドリル状にしてやろうじゃねか、ひゃはは」
隣の1曹は震えだした。
でも、まだ地獄の釜は開いたばかり。いいなあ、楽しそうだなあ。
それから30分後、静かになった。
宴会場には満足げな笑みを浮かべてソファでスヤスヤお休み中の石井ちゃんと、全裸に靴下で正座したまま気絶してるおっさん二人。股間が見苦しいのでどんぶりを置いておいた。
あ、1曹は途中で気分が悪くなったらしく帰りました。
おかげで、片付けは僕1人ですか、そうですか。
はあ、凹む。