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プロローグ 竜は舞い降りた
プロローグ 竜は舞い降りた
釣りを開始してから既に数時間。そろそろ切り上げ時だろう。
クーラーボックスの中には、やや小ぶりながらも酒の肴に良さそうなクラスが何匹かいる。
刺身に、なめろうに、焼き魚・・・今日は中々豪勢な宴が出来そうだ。
正直、一人で食べきれる量ではない。同僚を呼んでも良いだろう。まあ、呼ばなくとも来そうな気がするが。
片づけをしようと海に背を向けた瞬間・・・・風が舞った。
ヘリのダウンウォッシュのような風は砂浜の黒い砂を舞い上げ、全身に容赦なく叩きつける。
痛みを覚えるほどではないが、目を開けれない程度の風は数秒続いた。
そして、目を開けた先には・・・・・小山のような「何か」がいた。