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02年、ミュンヘン養成士官学校

ー1月11日 ミュンヘン市街地ー


「よ…弱すぎる」


「どうしたんだ…急に」


ジークフリートがコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。


「いや思い出してくださいよ。俺オホーツク海でなにもできなかったんですよ?…したことといえば負傷兵の救助。その後は三下ムーブごとくすぐ退場…雑魚すぎませんか俺!?」


「まあ仕方ないだろ。神託受け取ったばかりだろ?お前。」

「一年間の訓練ではほとんど使いこなせるようにはならんぞ~。」


「一朝一夕じゃないっすねえこの力も。」


1918年…ドイツ帝国率いる中央同盟国はロシア帝国、大英帝国、フランス共和国による進行に苦しめられていた。戦況は膠着状態だったのだが、大英帝国と同盟を結んでいた大日本帝国と味方だったはずのイタリア王国でさえ敵の連合国側についてしまったのだ。

次第に劣勢を強いられる中央同盟国だったが一筋の希望の光が差し込む。その強大な力こそが…


「神託…いまだに意味わからんな~。この力。まあ空を飛べるのは爽快だけどね。寒いからな~。」


「ドイツ帝国だけが持ってたらよかったんすけどね…まさか連合国側にも表れるなんて。」


突如として現れたこの力にドイツの科学者たちはこう名付けたのである。


神託(オーハクル)と…


この力により戦争は瞬く間に変化した。最初はドイツ帝国率いる中央同盟国しか保有していなかったが、次第に連合国側でも能力者が現れ始める。戦いは数ではなく、この力によっての蹂躙へと進化したのだ。

神託を持つものは能力者と呼ばれ、世界各国では能力者の発見、育成が急務になっている。


「でもまた養成学校でヘッケル大先生にしごかれ…学べるなんてうれしーなー…」


「顔が引きつってるぞサイゾー君。今日からだぞ、早くいってこい。」


「う~ん…ジーク小隊長はどうするんですか?暇じゃないでしょ?」


「明日からフランス戦線の応援だな~楽じゃないぜ…」


「どこの戦線も精一杯ですからね…」


「それじゃいってきます…ジーク小隊長も。気をつけてください…」


「ああ…俺は死なないぞ~」


「ホントかよ…」


ーー……ーー


1918年に能力者が現れ始めてから戦争は一変した。能力者の数で戦況が変わるまでになったのだ。そのため世界各国は躍起になって能力者の獲得を急ぎ育成機関を設立した。才蔵の所属するドイツ能力者養成士官学校もその一つであり、世界で初めて出来た能力者養成学校である。


「懐かしの養成学校だなあ」


ドーーーン!!!


「も~どうしていつもうまくいかないの~!!」


「なんだあいきなり?爆発なんてふつう起こるか?」


「すみませ~ん」


ドカッッ


「今度はなんだあ」


「あっすみませんぶつかってしまって…」


「まあ気を付けろなあ」


後ろを振り向くと少女がいた。背は…小さい。


「ごめんなさい急いでいるのでッ」


「嵐みたいな子だなあ…大丈夫か?この学校…」


そう言って少女は養成学校に入って行った。


ーミュンヘン能力者養成士官学校ー


「おお~誰かと思えば才蔵じゃないか!元気してたか?」


「はい…よろしくお願いしますヘッケル先生…」


「元気なさそうだな…まあ仕方ないか、聞いてるぞジークフリートから。ひどくやられたらしいなあ」


「はい…手も足も出ませんでした」


「まあ噂のアレクセイ様だからなあ仕方ない」


「まあ戦騎姫と言われる所以はよーくわかりましたよ…」


能力者は一騎二騎の単位で数えられる。世界ではこれまで数十年で千騎程の人が能力を獲得したが、通常一年で数十人前後しか能力者は現れないのである。


「まあこれから度量不足なのはどうにか訓練で補っていくから。よろしくな」


「よろしくお願いします…」


コンコン…


「はーい」


「失礼します先生」


「失礼しまーす」


「なんだアーリと舞子か」


「なんでふたりがここに⁉」


「あれ?才蔵?」


「ほんとだ。なんで?」


「どういうことだ…」


「ああ…そうか二人もジークフリート隊の仲間だったな。話されてなかったかあ?ジークフリートから」


「?」

「?」

「?」


「あいつマジか…お前ら三人ともここで訓練することになったんだ。ジークフリートの頼みでな。てっきり聞いていると思ったが…まあ仲良くよろしくなあ」


「ええええ~~⁉」

「ええええ~~⁉」

「ええええ~~⁉」


ーその夜 ミュンヘンの喫茶店ー


「まあ様子はすこしおかしかったけど…」


「言ってくれないなんてひどいですわね…」


「二人はどうやってここに?」


「ジーク小隊長から任務だといわれてここに来たんですが…」


「ミュンヘンの養成学校って所からなんかおかしいと思ったけど…」


「どうしていわなかったんだろうね」


「う~ん…」


ー同日某時刻 フランス戦線ー


「あいつらうまくやってるかな~。あ。そういえば、伝えたっけ俺?」


……連絡ミスであった。


現在世界では能力者が約千人ほど確認されているが、そのうちの三百人程がドイツ帝国に所属している。

中央同盟国であるドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー二重帝国、北欧帝国の能力者保有総数は五百人程。対して連合国である大英帝国、フランス共和国、ロシア帝国、イタリア王国の総保有数は三百人と、かなりの数的劣勢がある。このおかげで何十年もこの戦争は続いているのである。


ー同日深夜二時 スイスドイツ国境付近ー


「全小隊、国境内に侵入!警戒を怠るな!」


ゾロゾロ……

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