モノローグ
村に突如やって来た厄災は全てを焼き尽くした。
轟々と燃え盛る火は村を飲み込み、池の水もその熱量で干からびた。
畑で育てていた麦はもちろん、家も灰と化す。
「なんで、こんな所にドラゴンがいるの??」
村の人達はとっくのとうに逃げ出してしまって、足が折れて動けなくなった私は一人ドラゴンと対面していた。グルゥと低く轟く声を聞いて、ニアは死を覚悟した。
このまま燃やされるのか、喰われてしまうのか。
どちらにしろ苦しい最後になるだろう。そんな目の前の未来を想像したニアの手足は震えていた。
怖い。死にたくない。こんな所で終わりたくない。
足が動けば走って逃げられたのだろうけれども足が折れてしまって動けないニアは、死を待つことしか出来ない。
無駄なあがきであるとはわかっていても、それでも何もせずに諦めて死ぬなんて出来なかったニアは、持ちうる魔法をドラゴンにぶつけた。多少魔法に精通しているニアの放つ魔法は村に出てくるようなモンスター相手であれば有効なものであったけれども、伝説と言われるようなドラゴンにはダメージ1つ与えられていないように見えた。
「やだ、死にたくない」
私は、幼い頃禁忌の魔法だと教わった魅了の魔法をぶつけた。