表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

思い出の写真

会社には「しばらく休む」とだけ伝えたが、同僚や友人からのメッセージにも返信する気力が湧かなかった。


ベッドの中で丸くなり、悠人の名を何度も呼んだ。


「悠人……なんで、どうして……」


返事がないのが、ただ、ただ、怖かった。


夜になると余計に孤独が押し寄せてきた。


目を閉じれば、あの日の朝の笑顔が蘇る。

「行ってくる」と笑ったあの顔が。


次の瞬間には、病院の白い廊下と告げられた言葉が脳裏をよぎる。


『……心肺停止で——』


耳を塞ぎたかった。


もう一度、目を開ければ夢であってほしい。


でも、現実は容赦なく突きつけてくる。



ある日、ふとリビングの引き出しを開けた。


そこには悠人が撮った写真たちが入っていた。


空の写真。

街角の風景。

そして、二人で旅先で撮ったスナップ。


紗良の無防備な笑顔と、カメラの向こう側にいた悠人の存在がそこにはあった。



写真を胸に抱きしめ、声を押し殺して泣き崩れても

悠人はもう私を抱きしめてはくれない。



「……悠人……会いたいよ……」


いつまでこの苦しみは続くのだろう。


先のことなど、考える余裕もなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ