『俺は自分の手は汚さない主義なんでね』
「おい、なんでポテトチップスを箸で食べてるんだよw」
「俺は自分の手は汚さない主義なんでね」
ポテトチップスを食べようとすると、いつも彼を思い出す。
高校時代、俺たちのクラスにはいつも「俺は自分の手は汚さない主義なんでね」という言葉を口癖にしていた同級生がいた。彼の名前は岩崎。クールな雰囲気と、その個性的な発言が、彼を何か特別な存在にさせていた。
卒業後、時間が経ち、それぞれの道を歩む中、俺は偶然、テレビで彼の姿を見かけた。驚くべきことに、岩崎は大物犯罪者として指名手配されていた。彼が特殊詐欺グループの元締めをしていたと報道では言っていた。
どうして彼が犯罪に手を染める原因になったのか、俺は理解できなかった。それは岩崎が抱えていた闇や苦悩が、次第に彼を追い詰め、絶望の中で選んだ極端な選択だったのかもしれない。
ある日、警察は岩崎を逮捕することに成功した。彼が犯罪に手を染めた理由や彼が抱えていた問題については、メディアが熱心に報じた。岩崎の過去のトラウマ、経済的な苦境、孤独感などが、彼を追い詰め、結果的に彼を犯罪へと駆り立てたのだとされていた。
しかし、岩崎は逮捕されたものの、驚くべきことに証拠が不十分だったため、彼は裁判で罪を免れることができた。彼の顔には無罪の笑みが浮かび、報道陣に向けて言った。
「俺は自分の手は汚さない主義なんでね」
報道やSNS上で激しい議論が巻き起こり、岩崎は賛否両論の的となった。彼の無罪判決は、被害者やその家族、そして犯罪に対する正義感を持つ人々には憤りを与えた。
岩崎は自らを「解放者」と呼び、以前の口癖を繰り返し、過去の犯罪に関しては一切の責任を取らなかった。彼の無罪判決は、法の限界や証拠の不備に対する怒りと共に、不正義を感じる者たちの心に深い傷を残した。
しかし、岩崎は突如○殺した。
遺書には、ある晩、夢の中で無数の霊たちに囲まれて、かつて手を汚さずに逃れた罪へと引き込まれていく幻覚に苛まされたと書かれていた。
その夢を見た日から彼の周りでは奇怪な現象が続き、彼は絶え間ない幻覚と悪夢に苛まれるようになった。彼の過去の罪を許さぬ何かが、彼を追い詰め、結局は逃れることのできない闇に引きずり込んでいくのだった。やつらは岩崎にこう呟いていた。
「俺たちは自分の手は汚さない主義なんでね」
それが週刊紙に書かれていた話。
そうだ。俺の仕事を教えよう。それは呪い屋。金を貰えれば、誰だって同級生だって呪う。間接的に手を下せる。それが俺の主義いや仕事。