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因縁

続きを読んでいただきありがとうございます。

 オルトロスは紅茶を一口飲むと、眼を開いてユイを見た。この時、ユイは何も言わずただ、オルトロスを見つめているだけだった。


「結局のところ、私はこうして元々の主の仕事を引き継いでいる結果となっているのですが、なかなか平凡で穏やかな毎日を過ごしているわけです。」

「他の魔獣たちは・・・その後どうなったかっているのはわかりますか?」

「いえ、どこに行ったか、はたまた生きているのかすらも私達は詮索していません。私達も彼等同様、他には興味がないものでして・・・。」

 オルトロスは話し終わった後、再度、紅茶を口にした。その姿をみるユイはそんなオルトロスを寂しそうに感じた。


「長話になりましたが、あなた方もそろそろこの森から出たいでしょう。貴女に必要そうな装備がある部屋にご案内いたします。一緒にいるムクロレッサーの力も最大限に引き出せそうな物もございますよ。」

 先にオルトロスが立ち上がると、それに続いてユイとウィキ―が立ち上がりオルトロスについていく。屋敷の奥の部屋、扉も重厚感のある重たい物で存在感を漂わせている部屋に通された。防御に必要な必需最低限ではあるものの、今のユイにとっては十分な装備とウィキ―には緑色に綺麗に煌めくネックレス型の魔法石をもらった。



 装備を装着し終わり、屋敷の出入口に案内され、出立の時にオルトロスが背広の胸ポケットから年季の入った一枚の紙を取り出す。

「それと、これがこの森に関する情報です。あなた達であれば、3日もあれば抜けられるでしょう。」

「長くて3日か・・・自信はないですが、頑張ります。」

「・・・ユイっ!!」

 オルトロスに今いる森に関する地図をもらったユイ。森に関する情報を見ようと地図を開こうとしたとき、ウィキ―がユイに飛びついて倒す。何かが飛んできたと同じように察知したオルトロスは銃弾のようなものと見切ったが、その間に、横から銃弾のようなもので地図に穴が開いてしまった。


「いたたた・・・。」

 ユイとウィキ―の無事を確認したオルトロスは、銃弾のようなもので攻撃されたと認識し、飛んできた方向に視点を向けて確認する。


「おぉ、雑魚にしてはよくよけたな・・・。」

「その声は・・・・ネメアー・・・っ!!」

 ウィキ―を抱きかかえながら起き上がったユイもオルトロスと同じ方向に眼を向けると、そこにはオルトロスよりもさらに大きい男が立っていた。その男は首回りに分厚い髭を生やし、傷だらけの体で獅子のようだった。


「・・・知り合い?」

「・・・元々の主に仕えていた同胞です。・・・当時の面影は全くありませんがね。」

 今まで穏やかな表情を見せていたオルトロスの影が入った睨むような表情を見て、ユイは腕にいるウィキ―を抱きしめる力を強めて警戒し始めた。


「まさか、俺一人だと思っているわけじゃないよな・・・?」

「・・・ッ!?」

 獅子のような男、ネメアーが面白がるかのように笑みを浮かべたのを見て、オルトロスは一瞬、驚いた表情をしたが、すぐに周りから出てくる他の獅子達の存在が露わになると周りへの警戒も始めた。



「忘れるはずもない、お前が俺様に付けたこの傷の恨みを晴らしに来たってわけだ。まぁ、思わぬ犠牲者となるおまけ付きだがな。」

「・・・このゲスがッ!!」

 相手のネメアーは、ユイとウィキ―、そしてオルトロスに見せるかのように自身の脳天から首にかけての大きな古傷を指した。

 オルトロスは、ユイとウィキ―の出立を穏やかに見送れると思っていた矢先、ユイとウィキ―を巻き込んだ状態で、敵と認識する相手に敵に完全に囲まれてしまった。


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