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多忙

大変、お待たせいたしました。

読んでいただきありがとうございます。

 自宅に帰ってきたユイは夕食を済ませるや否や、ゲーム機を起動した。このゲームを始めてからベットで仰向けの体制がお決まりとなり、もう三度目となり見慣れたログイン画面を見届けて、ハジマリの場所にユイは戻ってきた。この空間にユイはすでに安心感を覚えていた。


「ユイ!おかえり!」

「ただいま!」

 この空間に戻ってくる際には本来の姿のウィキ―がユイの所に駆け寄ってくるのは決まりになってきた。ユイはウィキ―を抱き上げてから、ウィキ―がやってきた方向をみると、ウィキ―と同じように本来の姿でリディキルとシィネマはその場に伏せて体を休ませていた。同じように本来の姿でラスフルも伏せてはいたが、体を休ませるような素振りはなく明らかに不機嫌と言える雰囲気を醸し出していた。ラスフルにとってはこのハジマリの場所であるホームは本来の姿が嫌な彼にとってはかなりのストレスのようんだった。


「・・・おせぇ。」

「仕方ないでしょ、現実世界とこっちの時間の進みが違うんだから。」

「そんなの理由になってねえよ!!どれだけ、俺がこの姿がどれだけ嫌いか知らないからそんな悠長なこといってられるんだろ!!」

「そんな我儘なんか通るか!!こっちは学生だぞ!!その合間でやってるんだ!!」

 ラスフルとユイは言い合いになり喧嘩を始めた。その傍らで体を休めていたリディキルとシィネマは頭をあげ、ウィキ―を抱きかかえながら痴話喧嘩をしているユイと傍から見たら吠えているようにしか感じないラスフルの2人をみて、口を開いた。


「ラスフル、貴方がその姿を嫌っているのはただの自分の欲望からでしょう?」

「確かぁ~、綺麗なお姉さん達が寄り付かなくなったり離れていっちゃうからだったっけ~?」

 急にラスフルが本来の姿を嫌っている理由を話始めた彼等の爆弾投下にラスフルは急に動きを止め、言葉が出なくなった。リディキルとシィネマから話された話を聞いたユイはそんなラスフルをじっとりとした嫌悪感を抱きながら見つめ始めた。その視線に気づいたラスフルはゆっくりとユイとリディキル達を交互に見始めた。


「リディキル・・・シィネマ・・・それはいわないはずじゃ・・・。」

「おや、なにもいわないでくれといわれていませんが?」

「おれも何も聞いてないし~!」

 ラスフルが内緒にしておいてほしい内容をいわれ、誰の味方に着かず、中立的な立場にいると思っていたリディキル達が急にユイの見方についたことで驚きを隠せないのと同時に、リディキル達は呆れた顔をラスフルに向け始めた。



「自分の欲望のためだけに人に指図しておいて何様のつもりなんですかねぇ~?」

 まるで、嫌悪感を抱くように見つめるユイと同じように聞いてしまったウィキ―の嫌な視線がラスフルに刺さる。ゲーム世界においてレベルの差はラスフルとユイにあれど、主従関係を前には逆らえないのである。


「ラスフルは今後、野宿以外の時に外に召喚するのをやめます。」

「はいなのです!」

「え!?」

「致し方ないでしょう。」

「当たり前だよね。」

 主から下された結論に同意するウィキ―と、決まってしまったことは仕方ないというようにラスフルを見つめるリディキルとシィネマ。そして、自分の欲望ながらに主に逆らったラスフルの絶望的な態度で痴話喧嘩から始まった小さな争いは終結した。


「さて、話もついたことですし、旅を再開しましょう。次の街への出発準備と厳しい鍛錬が待っていますよ。ランクとつり合いが取れるようにしないといけませんからね。」

 リディキルにそういわれると、気合が入り、真剣な表情をして頷くユイ。そして、召喚書を開いてセーブ地点へ戻ったのだった。

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