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色違いの魔獣

続きを読んでいただきありがとうございます。

「この森よりも遠くにある、普段なら他の魔獣達も近づかない森の奥にムクロレッサーの住処はあります。」

 ユイを目の前にして、ムクロレッサーは顔にさらに落としながら、魔獣の姿からヒト型に戻った。このゲーム世界では、魔獣は基本としてヒト型で生活している。食事の時以外はヒト型で生活している。そのため、街にも人として生活する魔獣がいる。だが、動物由来の生き物が多いため、森など自然を住処とする魔獣は動物の姿で生活する魔獣も多く存在する。


「先ほども言ったように、私たちムクロレッサーはオレンジ色と黄色の2色でもっと鮮やかな色をしています。ですが、私は貴方が見たように茶色とクリーム色の地味な色をしています。」

「例え色違いだったとしても、役職が医者ヒーラーってことは重宝されないの?」

「されません…。私たち以外にも回復を担う魔獣はいますが、私たちムクロレッサーは基本、医者ヒーラーになる確率が高い生き物です。例え、調薬、調合、治療魔法があっても、私の能力値は更に仲間たちと比べて低いんです。」

 ユイが今までやってきたゲームの数々で回復技術が使えるタイプはすごく重宝していた。しかし、それが日常とした仲間であれば後求めるのは今までになかった技術、そして回復力の強さであるということは、言われるまでもなく理解していたことだった。


「そんな中で仲間たちとは違う地味な色を持った私は、まだ母がいたときはどうにかなっていたものの、病気で亡くなってからは彼らにとって身近にあるおもちゃとしてみなされました。そのおかげで、ムクロレッサーの中で伝わる治療魔法は少ししか学べてません。これだったら、野垂れ死んだほうがマシですっ・・・!」

 ボロボロと泣き始めた彼女を前にユイは悲しい顔をするしかなかった。同じ種族であるにもかかわらず、毛並みの色が違うだけで差別されていた。これは現実世界でも同じ現象だった。それを目の前にいるものが受けていた。この事実は変わらない。そんな状況を変えるならとユイは考えを巡らせた。


「ねえ、あなた、私と一緒に来ない?」

「えっ・・・!?」

 考えついた答えをユイは無意識に言葉に出していた。目の前のムクロレッサーは驚いているが、ユイ自身が驚いている。だが、涙が残っている眼ではあるがムクロレッサーが泣くのをやめている。


「貴方も、私を他の仲間たちみたいにおもちゃにするんですか!?私が色が違うから!医者ヒーラーってだけだからですか!?」

「そうじゃないよ、あなた達魔獣の基準なんて私らにとってどうでもいい。それこそ、あなた達の伝わってる治療魔法も他の種族と比べればちっぽけでそれ以上のことを学びたいと思わない?」

「それは・・・」

「それに、あなたが言ってる仲間たちのように今の私が同じ事をすると思う?」

 ユイは、両手をあげて何もしないというアピールをする。それをみたムクロレッサーはユイの事を気になり始めた。すると、今まで自分が何も見ていないことに気が付いた。役職が医者ヒーラーなのにもかかわらず、擦り傷だけであるものの、ユイが負っている怪我を見落としていたのだ。


「その怪我、私に直させてもらってもいいですか?」

「お願いできる?」

「はい!」

 今まで座っていた場所から立ち上がり、ユイのもとに駆け寄ると、ユイの体に手を当てて目を瞑った。


「マジック・ヒール」

 呪文を唱えると、薄ピンク色の光が広がり、優しくそしてゆっくりとであるが、ユイの傷は治っていった。


「これで、完了です。」

「ありがとう。あなたの力は絶大ね。」

「戦闘に関しては弱いですが、一緒についていってもいいですか?」

「ええ、こんな可愛いお医者さんを連れていかないのは損だからね。私と契約しましょう。”ダブル”」

「はい!!」

 ユイが呪文を唱えると召喚書と装飾のあるペンがでてくる。


「貴女に名前を付けないとね。そうね・・・”ウィキ―”なんてどうかしら?」

「ウィキ―・・・それが私の名前ですね!!早速書きます!!」

 ユイが召喚書を開き、そのページにムクロレッサーは一生懸命、自分に付けられた名前を書いていく。


「書けました!!」

「じゃあ、契約完了ね!私はユイ、よろしくねウィキ―。」

 ユイとムクロレッサーのウィキ―が顔を見合わせたとき、突然、召喚書が光りだした。


「え!?なに!?」

「へっ!?」

 突然のことに驚く二人。突然光りだした召喚書の光が弾けると、表紙に魔法陣がかかれた茶色い何の変哲もない本だったものが、黒い表紙に金色の装飾というペンと同じ装飾に変化した。


「綺麗・・・。」

「こんな仕掛けになってたなんて・・・・。」

 変化した召喚書をみようと手に取ると、召喚書が一番最後のページに向かってめくられ始め、特定のページにたどり着いた時、召喚書の中に表示が現れた。その中に光って表示されている文字を発見した。


「通常クエスト 魔獣1体と契約する 完了

報酬 500マナー  経験値 1000

報酬金は換金所にいって換金してください」

 表示がされた文字を触ると、一時的に消滅し召喚書には何も表示されなくなったが、また更にユイのステータスとウィキ―のステータスが表示された。


「 LEVELUP!!

ユイ Lv.1➡5 Job:見習い召喚士

ステータス

攻撃:10 ➡35

防御:20 ➡40

敏捷:15 ➡20

幸運:50 ➡55

MP:70 ➡80


パーティー

ウィキ―  ♀ Lv.3  種族:ムクロレッサー

役職:医師ヒーラー

ステータス

攻撃:3

防御:4

敏捷:10

幸運:40

MP消費:5

HP:30」

何も把握てきていなかったゲームのクエスト部分が進行されたことが判明した。色々な情報が目の前に降りかかるが、状況が分かればユイもウィキ―も顔を見合わせて笑顔になった。

 進化した召喚書と契約用のペンをしまい、出立の準備をする2人。


「さて、この森を抜けて近くに街でもあればそこによろうかな。ウィキ―のほうがこの森に関しては詳しい?」

「はい!この森は木の実が豊富でしたし、薬草も豊富でしたからそこそこわかります。ただ・・・」

「ただ?」

「街に行く方向までは分からないのです・・・。」

「そうか・・・。地図で場所わかるかな・・・。”ニュース”」

 呪文を使って表示は現れるものの、右に左に動かしても、上に下に動かしても地図の画面は緑しか映っていない。


「だめだ、縮小させてもこの辺一帯、かなり大きな森で緑ばっかりだ・・・。」

「ええっ!?そんなにこの森、大きかったんですか!?」

「ウィキ―が知らないくらいってことは、相当大きいってことだね・・・。とりあえず、あなたがここから一番遠くまで動いた事のある方向に真っ直ぐ行ってみよう。」

「それでいいんですか?」

「何か手掛かりになりそうなものがあるかもしれないからね。」

「わかりました!一番遠くまでいったのはあっちです!」

 ウィキ―の指した方向はユイからみて東だった。ユイはウィキ―の案内により、東へ進むことになった。









 ユイとウィキ―の2人は森の中をどんどん歩いていく。たまにウィキ―が今まで住んでいたこの森での話をしてくれていたが、それもどんどん話していくうちに話すこともなくなっていった。


「どれだけ深いの・・・?この森?」

「私もお話をしたところまでは一人で来ましたが、ここから先は来たことがありません・・・。」

 ユイもウィキ―もそろそろ体力の限界が出てきている。それに、日も暮れてきているため、凶暴な魔獣がでないような場所に避難しなければならない。だが、進めど進めどまだ森から抜けられないのだ。


「そういえば、この森で暮らし始める時に必ず入ってきた道があるよね、それは覚えてないの?」

「えっと・・・忘れちゃいました!」

「あぁ・・・そうだよね・・・。」

 キラキラとした満面の笑みで答えるウィキ―に対して、何も答えられないユイ。心の中で「聞いた私がばかでした」とでもいうような顔しか出来ない。


「とりあえず、もう日も暮れてるから寝泊りできるところ探さないと・・・。」

「え?木の上じゃだめなんですか?」

「言っておくけどウィキ―、私、魔獣じゃないよ、人間・・・」

 ウィキ―にユイは種別が違うという説明をしようとしたとき、なにか聞こえたのか喋ろうとしたのを止めた。気づけば、日も完全に傾き、夜という闇が迫り始めていた。


「まずい・・・ウィキ―、貴女、ここで暮らしていた時に襲われたりはしなかったの?」

「基本、木の上で寝てましたので・・・。」

 ウィキ―のこの言葉を聞いた瞬間、絶望に陥った。魔獣相手に人間のくらしを望んではいけないと。でも迷っている暇はない。迷っているうちにも夜が迫ってくる。何かないかと周りを見渡す。薄暗くなってきたからか、右の方向にほのかな光を見つけた。


「ウィキ―、あっちに光がある・・・。」

「え!?でも、何か分からないですよ!?」

「一か八か、賭けるのはありだと思う・・・・。行こう!」

「まっ、待ってくださ~い!!」

 ユイは光がある方向へ一目散に走っていく。それを追いかけるようにウィキ―もついていった。

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