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採寸

続きを読んでいただきありがとうございます。

 手芸部員を引き連れて採寸にやってきたメグミたちを中に招き入れたユイたち演劇部員。何度も演劇部員の劇の衣装を担当してくれるがほとんどの生徒が成長期のため毎度ながら採寸が必要なのである。


「じゃあ、ここからは手芸部のメグミさんの指示にしたがって採寸していってね~。」

 部長であるアカネが演劇部の部員たちに指示をすると、それからの主導権を手芸部の部長であるメグミに渡った。


「では、これから採寸します。2人ずつやっていくので、ご協力お願いいたします。じゃあ、一番はじめにハルナさんと松井くんから始めます。採寸するときは上履きを脱いでください。」

 主役のハルナと、主役の父親役で照明係である松井から採寸が始まった。

 以前の演劇部の出し物は春の新入生歓迎会の時であったこともあり、かなり成長している人もいるため違いがかなり出ている。そのため、手芸部の採寸は男子相手はかなり苦戦するため、手芸部である坂口が淡々とこなしている。その情景を見ながら、ユイはふと今回の話を書いているであろう渡邊のパソコン作業を後方斜め右から見ていた。淡々を文字を打っている姿が後方から見える。たまに誤字がないかを確認したり、話の流れを考えながらパソコンで文字を打つタイピングの音をひそかに耳を済ませて聞き入っていた。


「まだ、完成してないからあんまり見せたくないんだけど・・・。」

 急に開かれた渡邊の口から怪訝な言葉が聞こえてきた。


「うぇ!?」

「さっきから、後ろから作業を見てたの知ってるよ。」

「あはは・・・ばれた?」

「集中しているけど、作業途中を見られるのはあんまり好きじゃないから視線でわかるんだよね。」

「あ~・・・それはごめんなさい・・。」

「まぁ、こういうときじゃないと作業できないから仕方ないし、こんなところで作業してる俺も悪いし、勝手に怒るのは違うと思ってるから謝らせたのはこっちの責任だよ。ごめん。」

「いやいや・・・。こっちもパソコンを作業用で使ったりしてるのが珍しくて・・・つい見入っちゃって・・・。」

 互いに謝る形となったが、ユイの言葉に不思議に思った渡邊はわけがわからないとでもいうような顔をしていた。


「あ~・・・、家にパソコンはあるけど、基本、作業用として使ってなくてゲーム用に使ってるんだよね・・・私。」

「・・・あぁ、なるほどね。まぁ、デスクトップのパソコンだとゲームやりやすい奴もあるから分からなくはないし、使い方は人それぞれだからどうこういうつもりはないよ。」

「・・・そっか。」

「ユイさーん!アカネさーん!」

 渡邊とパソコンの話をしていると、区切りのいいところで採寸に呼ばれたユイ。一緒に呼ばれたアカネの名前を聞いたユイがちょっと怪訝な顔をしたのを見た渡邊が少し笑った。


「ほら、呼ばれてるよ。行っておいで。」

「今、身長差を想像して比べて笑ったでしょ・・・。」

「それはごめん、ほら、メグミさんに怒られるから早く行っておいでよ。」

 渡邊から帰ってきた言葉と、身長差を想像されて比べられたことに少し怒ったユイは頬を少しふくらましながら採寸をするためにメグミたちのところに向かった。


「ユイちゃん、呼ばれたらすぐ来てね!」

「それはすみません。ただ、呼ばれたもう一人がアカネだったので私がチビなのが際立つんですけど・・・。」

「それは仕方ないのよ。今回は登場する役の順番で呼んでるんだから!」

 ちゃんとした理由を持って呼ばれていたことを知ったユイは流石に反論ができない。しかし、アカネじゃなくてポルトス役の菅原や他の小柄な役の人がいたとて、ユイが演劇部の中では一番小さいのは変わりがないのでどうやっても身長差が生まれるのは確実なのであった。


「じゃあ、採寸するね。」

「はい。お願いします。」

 メグミの一声で、両腕を軽く上げたユイにメジャーが回され、採寸がはじまった。


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