勘違い
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目の前に人の姿となって現れた犬であった青年。その姿に驚きに満ちた眼をするユイと警戒をずっと続けているリディキル。そして警戒をし直したウィキ―。
「貴方の目的はなんでしょう?場合によってはこちらも刃を向けなければならないことはご理解の上でしょうか?」
「ああ、それは構わないが、なんせこっちは美人を見っけたら目がないもんでね。後ろ姿でもそれを確認しちゃ、捕まえないわけには行かないだろうってね。」
犬であった青年はリディキル相手にも引けをとらず、立ち向かおうとしてくる。リディキルはなんとなく、彼の言っている対象がユイのこととして予想していた。
「まあ、こんな派手な出方はしたものの、俺はお前さん達とは戦う気はないぜ。なんせ、期待外れを引いちまったもんだからな。」
その言葉を聞いたリディキルは相手の空気感の変わりように拍子抜けをしたというか、呆れの態度をとり始めた。
「なるほど・・・ただの面食いのナンパ犬ってわけですか・・・。」
「ナンパ犬っていうな!!仕方ねえだろ!!女かと思ったら男だったんだから!!」
青年の言葉を聞いた三人は、一瞬、思考が止まったがすぐに何のことか理解できた時、ユイは納得し首を縦に振り、ウィキ―は納得と可笑しさで笑い始めていた。
「リディキルさん・・・女性と間違えられてます・・・クスクス・・・。」
「確かにリディキルはよく見れば男だけど、後ろからだとかパッと身は女の人に間違えても致し方ないくらいだもんね~。」
リディキル自身、ユイのことだと考えていたのだが、ユイとウィキ―の言葉で、自分のことを言われていると理解すると、自分の思考回路の狭さと同時に恥ずかしさと自分の身なりの美しさを求めていた部分を理解してもらった部分とで複雑な感情になっていた。
「リディキル、大丈夫・・・?」
「すみません、暫く一人にしてもらってもよろしいですか?何かあれば、名を読んでください。そこの犬、この二人に何かすれば命はないと思いなさい。」
ユイがリディキルの様子を伺うと、この状況で感情が処理しきれないと感じたリディキルはその場を離れた。
リディキルがその場から離れ、別の場所に行くのを見送ったユイとウィキ―は青年に眼を向けた。
「残念でしたね。惚れた人が男で。」
「上からモノ言ってるんじゃねえぞ、俺はお前らみたいなガキには興味がねぇって言ってるだけだ。」
「そういうこと言うと、リディキル呼び戻しちゃうけどいいの?」
リディキルがいなくなった後、先ほど以上に生意気な口をきく青年。ユイはちょっとした対抗のつもりでリディキルのことをだすと、かなわない相手ということはわかっているので悔しそうな顔をした。ユイはそんな青年のことを見ながら、勝ち誇ったような態度で、手元に持っていたサンドイッチを頬張った。
「お前、それで飯は足りんのかよ・・・。」
「え・・・?」
ふてくされながら急に口を開いた青年の言葉に疑問を持つユイ。
「それで飯は足りんのかよって聞いてるんだ!」
「なにそれ・・・正直言えば足りないけど、そんなお金もないし、道具や食材だってないから正直これでも仕方ないと思ってる・・・。」
「やっぱりな・・・しょうがねぇなぁ、俺が作ってやるよ。」
「え・・・?だって貴方、食材だって、道具だって何も持ってないじゃない!!」
「俺のスキルをなめてもらっちゃ困るんだよ。」
青年はそういいながら、自分のすぐ近くに空間を作り、道具を取り出すと、近くの岩場を調理台として使い始めた。




