ハジマリの場所で
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見慣れた蒼い空間に目覚めるようにハジマリの場所に戻ってきたユイは、周りを見渡した。
「ユイ!」
戻ってきた場所から右方向へ向けば、魔獣姿のウィキ―とリディキル達がいた。エクイプで一時的に待たされると思っていたウィキ―はユイに飛びつき、リディキル達は駆け寄ってきた。
「え・・・?なんで?」
「ユイが戻った後、そのままあのセーブポイントにウィキ―達も吸い込まれてったのです!」
「まさか、こんなにも早く私達の魔獣の姿を見せることになるとは思いませんでしたけど・・・。」
「そぉ~?俺はこの姿、兄貴と一緒に入れるから好きなんだよね~。」
それぞれに意見はあるものの、ユイに摺りつくウィキ―と呆れ顔のリディキル、そして反対にうれしそうなシィネマ。そんな全員の表情を見たユイは不思議と心地よさを感じた。
「ここでは、みんな魔獣の姿でしかいられないの?」
「そうみたいです。私達は自由に姿を変えられるのですが、ここでは人間の姿になろうとしても戻れないみたいです。」
ハジマリの場所の情報もすでに収集しているのは流石、リディキル達である。
「でもぉ、ユイちゃんも俺達の本来の姿みて驚かないんだね。」
「も?」
「貴女には話した、私達の前の主もこの姿を見て驚くことがなかったんですよ。」
「へぇ~・・・。」
シィネマの言葉に疑問をもったユイにリディキルが代わりに答える。それを聞いたユイはリディキルとシィネマの魔獣の姿を見上げる。リディキルは黒の毛並み、シィネマは白の毛並みで覆われたオルトロスだった。体はそれぞれの毛並みで半分筒ずつに別れているものの所々、互いの毛並み色で弦のような模様で互い違いに入ってる。
「別に・・・綺麗だと思うんですけどね・・・。」
思わぬ返答が返ってきたため、その言葉に逆に驚くリディキル達。
「あ、戻るっていって結構な時間を割いちゃった。じゃあ、ウィキ―とリディキルさん、シィネマさん、また戻ってきたらよろしくね。」
そういいながら、ウィキ―を強く抱きしめると、設定画面を開きログアウトボタンを押すと、ゆっくりとその場から姿が消えていった。
「兄貴、あの子、不思議な子だね。」
「全く、私達も惚れる主人はなぜああも不思議なヒトばかりなのでしょうか・・・。」
「・・・あなた達にいわれたくないです。」
取り残されたリディキル、シィネマはユイの発言から思ったことを口にするがその言葉を聞いたウィキ―に影から突っ込まれるのであった。
現実世界に目覚めるように戻ってきたユイ。頭部に身に着けていたヘッドセットをとり、部屋の時計を確認すると夜中の2時半過ぎだった。ゲームの中では4日ほど進んでいたので、現実世界だと10時間半ほどゲームをプレイしていたことになる。
「時間の進みが早いのか遅いのか・・・。それにしても、お腹空いた・・・。」
ゲーム内での食事は空腹感を紛らわす事しか役割がないため、基本、現実世界に戻ってくれば比較的マシだが空腹にはなるものだった。
それを体で実感したユイは、自分の空腹をどうにかしようと自分の部屋から出ていくのだった。




