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第27話 胸糞わるいな

新作『17327回追放されても、僕は諦めない』も投稿を開始しました。良ければ、下のリンクからお読みください。


「ありがとうございます!! ……では、お言葉に甘えまして、『方舟計画』って一体何なんでしょうか?」


 国王の眼光が急に鋭くなり、表情に陰りがみえる。国王はすぐ傍にいた衛兵に目をやり、その衛兵は国王の睨みに対して、驚愕した面持ちを浮かべてから、激しく横に首を振った。あれ、もしかしたら、聞いてはいけないことだっただろうか。周囲の衛兵からも、ざわざわと声が漏れ始める。


「方舟計画??」


「なんだ、それ? お前知っているか?」


「いいや、俺も近衛軍に配属されてから歴は長いが聞いたこともない」


 おそらく声を抑えているつもりなのだろうが、僕にはすべて聞こえている。そう、僕は地獄耳なのだ。


「静粛に!!」


 側近の衛兵が声を荒げて、兵士の口を閉じさせる。このタイミングで発言を控えるようにしてしまうと何か隠しているのでは疑ってしまう。僕だけじゃなく、兵士も皆が不安に駆られているように見えた。


「ふむ、方舟計画について語る前に、どこでその情報を仕入れたのじゃ?」


「僕は聴力が優れていまして、ふと、国王陛下が話されていたのを耳にしてしまったんです。申し訳ありません!!」


 嫌疑をかけられた衛兵はホッと胸を撫で下ろした。しかし、国王陛下は依然、険しい眼差しを僕に向けている。


「相分かった。余の落ち度で情報漏洩が起きたことも配下の者にも申し訳なくおもう。また、聞かされていなかった者の中には不安に思った者もおるだろう。じゃが、この方舟計画は言わば、我ら神の血筋を脈々と受け継ぐために必要となる計画である」


 僕は首を傾げた。正直、まだ話の全容が見えてこない。ただ、神の血筋というのは理解しているつもりだ。先生からの授業で王国の成り立ちの説明があった。


 国王陛下は現人神あらひとがみとして、神格化されているらしい。その証跡が“転移魔法”という神の御業みわざだ。


 絶えることのない戦禍せんかに土地が荒廃こうはいし、食料や資源が底をつく寸前の世界線。人々は限られた資源や土地、食料を奪い合う生活が続いていた。その状況を憂い、救いの手を差し伸べたのが初代国王だ。初代国王が宿していた、神の御業たる転移魔法を行使して、この世界へと転移してきたらしい。民草は、奇跡を成し遂げた初代国王に忠誠を捧げ、神としてまつり上げたという話だ。


 この話には続きがあり、神の奇蹟である転移魔法を宿した、初代国王は子宝にも恵まれた。国王の血筋を引き継ぐ王族は誰しもが、一切の例外なく、神の奇蹟たる転移魔法の魔法陣を身体に宿していたのだ。よって、代々、王族は現人神あらひとがみとして、王族の血統を神聖視しているというわけだ。


 時代が進んでも、神格化は衰えることなく、むしろ魔物と対抗しうる勇者を転移できるという点も含めて、神の奇蹟を宿した神格者というのは疑う者は誰一人いないらしい。


 国王陛下は言葉を続ける。


「魔物がこの王都に、いつ攻め込むことになるか、予断を許さぬ状況じゃ。無論、余だけではなく、余のせがれである、第一王子、第二王子、第三王子も命を賭して戦い抜くつもりじゃ。……じゃが、第一王女、第二王女に関しては戦う術を持っておらん。転移魔法という神の奇蹟を失うわけにはいかん」


 第二王女。レーベの顔が思い浮かぶ。


「よって、第一王女、第二王女を国外へと亡命する計画、それが“方舟計画”じゃ。このを船で脱出して、魔物が存在しない国外逃避を行う。無論、大事な兵士の妻や子供といった者も優先的に、この方舟に収容することで、僅かでも命を救う計画となっていた」


「なぜ、兵士に計画を伝えなかった?」


 ションフォンが間に入り、端的に質問を伝えた。


「……ふむ。救える命に限りがあり、全員を救うことは不可能であることじゃ。この方舟は大型船とはなるが、国民皆をこの船に避難誘導することはできない。また、この計画が明るみになると、兵士の士気に関わる可能性がある。自分の妻や子を守るために闘っている者が、大切な者の命だけは救われるとなっては、戦う意志を損ねてしまうことになるじゃろう?」


 ションフォンは国王を睨みつける。ションフォンは頭脳だけではなく、人物を測る洞察力に優れている。その言葉の裏を探ろうとしているのだろう。


「方舟計画という存在を明かさなかったのは申し訳ない。どうしても王族の血筋をついえる訳にはいかなかったのじゃ!!」


 国王陛下が玉座から立ち上がる。握り拳を掲げて、正当性を訴えている。


「余には此処にいる皆の力が必要なのじゃ!! どうか魔物討伐に力を貸してくれ!!!!」


 最初はぽつぽつと、次第に夕立ゆうだちのように国王陛下を称える声が増していく。最後には大歓声となり謁見の間全体をとどろかせた。


「……胸糞わるいな」


 ションフォンがぼそっと囁いた言葉は、兵士たちの「我らに光を示す(グロリア・イン)現人神に栄光あれ(・エクセルシス・デオ)!!」という大歓声に掻き消されたのだった。


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